AI小説創作プロジェクトが、日経「星新一賞」への応募報告会

人工知能(AI)による小説創作を目的としたプロジェクトチーム「気まぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」。このほど結果が発表された文学賞、日経「星新一賞」に、AIの創作作品を応募した。3月21日には、その「応募報告会」を東京・汐留の電通ホールで開き、プロジェクトメンバーが現状を説明し今後を展望した。

 

報告に先駆けて、プロジェクト代表を務める公立はこだて未来大の松原仁教授が、この研究の趣旨と目的を説明。同プロジェクトは2012年9月に発足させたもので、作家・故星新一氏の得意とした「ショートショート」をコンピューターに書かせることを目指す。

各地の大学の研究者が参加しており、著作権者の了解の下、星氏の作品に見られるパターンや創作方法を分析。加えて、コンピューターには難しい領域とされる文章生成のプログラムをつくり、AIによる“星作品のような小説”の創作を追究。応募した日経「星新一賞」は13年に新設されたもので、理系的な発想力を問う文学賞。同チームからは2作品が応募された。

松原氏は始めた経緯について、「将棋や囲碁など、『AIが難しい問題を解く』分野については一定の成果が出ている。これからは『AIが新しいものを創作する』という分野にチャンレンジしたい。コンピューターにも感性が扱えることを示したい」と語った。また、「現在はストーリーの枠組みを人間が与えて、それをAIが文章化している段階。最終的にはAIが全てつくり、その中からAIが自分で良い作品を選べることがゴール」と展望した。

続けて、メンバーから研究成果が発表された。東京工業大の村井源助教は、星作品をコンピューター自らが読んで分析し、ストーリーを理解する研究について発表。名古屋大の佐藤理史教授は、今回の応募作品にも使われた、コンピューターによる文章生成システムについて解説した。

なお、今回の日経「星新一賞」には、別チームからもAI作品が応募された。「人狼知能プロジェクト」というチームによるもので、コミュニケーションゲームにおけるAIの活用を研究している。その一環として、今回2作品を応募。当日は、代表を務める東京大の鳥海不二夫准教授が、ストーリーをAIがつくり人間が文章を作成した今回の応募作について説明した。

報告会の最後には、日本SF大賞の受賞作家である長谷敏司氏が登壇。両チームから応募された4作品に対し「きちんとした文章、きちんとした小説になっていて驚いた。今後は、キャラクターの扱い方や場面ごとの説明を十分に行えるかが課題となるのでは」と述べた。

4作品の中には一次選考を通過したものもあり、将来的には文学賞の入選を目指していく。松原氏は、「小説として、まだやらなければならないことは多い。今後もまた何かすてきな報告ができればいいと思う」と報告会を締めくくった。

 

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ