女子高生が装着完了。「きゅんくん」が開発したウエアラブルロボットとは?

電通国際情報サービス(ISID)の研究開発組織、オープンイノベーションラボ(イノラボ)は、世界中から先端技術を集めて共有、実証実験を行い、その可能性を世に問うテクノロジーブティックだ。

イノラボの外部研究員として世界で活躍するクリエーターに、ロボットとファッションを融合させた「ロボティクスファッション」を手掛ける「きゅんくん」がいる。彼女は1994年生まれの21歳。イノラボの新研究領域 “Robotinity & Fashion”を担う。

きゅんくん
きゅんくん

きゅんくんがこのほど開発したのが、ウエアラブルアームロボット「METCALF clione(メカフ クリオネ)」だ。メカフとは彼女がウエアラブルロボットを「メカフク(メカ服)」と呼ぶことに由来する。彼女のメカフシリーズは2作目になる。クリオネとはご存じ、軟体動物門腹足綱裸殻翼足類(裸殻翼足目、または後鰓目裸殻翼足亜目)ハダカカメガイ科のあの生き物。今回の外装がブルーのグラフィックで透明感があり、海洋生物を思わせることから。

これが「METCALF clione」だ
これが「METCALF clione」だ

デザイナー、コスプレイヤーとともに初お披露目!

イノラボは3月22日、東京・港区のISID本社でこのMETCALF clioneの発表を行った。世界初のお披露目だ。

当日はきゅんくんと、METCALF clione のデザインに関わったグラフィックデザイナーの Rei Nakanishi さんのインタビュー形式で進行。もともとはきゅんくんの名刺や、彼女の使っている “Kyn” ロゴのデザインを請け負っていたReiさん。一緒にロボットを作りたいというきゅんくんの願いが、初めて実現した。

きゅんくん(右)とグラフィックデザイナーRei Nakanishiさん(左)、METCALF clioneを装着したコスプレイヤーの近衛りこさん
きゅんくん(右)とグラフィックデザイナーRei Nakanishiさん(左)、METCALF clioneを装着したコスプレイヤーの近衛りこさん
Reiさん
Reiさん
Reiさんがデザインしたきゅんくんのロゴ
Reiさんがデザインしたきゅんくんのロゴ

まずはプロモーション動画を紹介。女子高生が朝起きてから学校に行くまでの日常的なライフスタイルに、 METCALF clione を取り入れたコンセプト動画だ。私服だと非日常的な印象になってしまうので、日常感を醸し出すため制服を着ている。

 

 

きゅんくんは2年ほど前からMETCALFを開発している。学生時代はロボット工学を専攻していたそうで、その後ファッションに興味を持ち、それらを融合して“ファッションとしてのロボット”を展開するに至った。今回の METCALF clione は、従来の METCALFをバージョンアップさせた後継機になっている。数々のこだわりが詰まっているにもかかわらず、設計から完成までは、なんと約3カ月という短期間。

青色のグラフィックをアクリル板にプリントし、透明感のある美しいデザインを実現
青色のグラフィックをアクリル板にプリントし、透明感のある美しいデザインを実現

METCALF clioneを装着しているのは、有名コスプレーヤーの近衛りこさん。「透明感のある METCALF clione には彼女が適任だった。構想の段階から彼女にモデルをお願いしようと思っていた」とのこと。

前回モデルからより小型化&軽量化、操作はスマホで

従来の METCALF と異なる1つ目は、軽量化だ。「前モデルはアルミニウムを前面に押し出したデザインで3キロと日常の着用には重かった。今回は軽量化を意識し、アクリル板とアルミニウムを利用して前モデルの約半分の重さにすることに成功した」

2つ目は、グラフィックを配置したこと。きゅんくんは「今までのロボットでデザイン性のあるグラフィックを取り入れているものはほとんどなかった。METCALF clione はファッションのためのロボットなので、デザイン性も重視している」と説明。デザインを担当したReiさんは「扱う素材がロボットだからといって特別なデザインはせずに、ファッションの延長として自然なグラフィックを取り入れている」と語る。

そして3つ目の重要なポイントが、スマートフォンから METCALFの操作が可能になったことだ。従来はマイコンのプログラミングで動かしていたが、今回はアスラテック社の「V-Sido(ブシドー)OS」を用いることで、手元のスマートフォンから起動などの動作が直感的にできるようになった。

ロボットアーム開閉時の動きはバレエから影響を受けているそう
ロボットアーム開閉時の動きはバレエから影響を受けているそう

世界に羽ばたくきゅんくんから目が離せない

きゅんくんは「人間の形にとらわれないファッションやデザインをしていきたいと思う。今後の METCALF clione の展開としては、関節の数を増やして自由度を高め、より柔軟な動きを取り入れていく。また、肩だけでなく他のさまざまな部位のロボットも作って、いずれはいろいろな人がファッションとしてロボットを取り入れられるようにしていきたい」と思いを語った。

このMETCALF clione 、大阪市のグランフロント大阪で開催される「うめきたフェスティバル」の「うめきた未来ラボ 」で3月30日から4月2日まで展示され、6月には、フランスで行われる国際的メディアアートイベント「バンニューメリック」でも稼働展示する。

きゅんくんがリードするイノラボの “Robotinity & Fashion” は、これからもファッションとテクノロジーの融合をテーマに、個のライフスタイルに適合できるウエアラブル端末を開発する。ファッション表現の幅を広げて、世界中の人々の自己表現の多様化に挑戦していくというから、目が離せない。

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