押忍!カイゼン道場! #02

デイリーポータルZの林編集長が提唱「ファンタジーで成長する」

  • Img 5550 prof
    林 雄司
    ニフティ株式会社 デイリーポータルZウェブマスター
  • Prof abe
    阿部 元貴
    株式会社電通国際情報サービス(ISID) オープンイノベーションラボ コミュニケーションプランナー
  • Thumb03 pr
    野崎 和久
    株式会社電通国際情報サービス(ISID) オープンイノベーションラボ プロデューサー

電通国際情報サービス(ISID)の研究開発組織、オープンイノベーションラボ(イノラボ)では先端技術を用いたプロトタイプを制作しています。
前回の「TIGER」に続き、デイリーポータルZの林雄司編集長がイノラボのプロジェクトについて改善案や見せ方などを勝手に提案してくれます。今回は、街を運動場にしよう!という「エブリスポ!」について、イノラボの野崎和久さん、阿部元貴さんにプレゼンしました。

(左から)イノラボの阿部元貴さん、野崎和久さん、デイリーポータルZの林雄司編集長
(左から)イノラボの阿部元貴さん、野崎和久さん、デイリーポータルZの林雄司編集長

地縁にこだわらないチーム分けを

阿部:今回はイノラボのテクニカルパートを統括する野崎を連れてきました。

野崎:今回改善をお願いしたいプロジェクトは、「エブリスポ!」。街を運動場にしよう! がコンセプトです。

林:今回も強い気持ちで臨みたいと思います。

エブリスポ!
エブリスポ!は、スポーツとテクノロジーを掛け合わせ、日々の何げない運動を計測し、それをポイント化することで運動マインドを向上させるプログラム。参加者はチームに分かれてポイントを競い合い、与えられたミッションをクリアすることで、楽しみながら運動を継続することができる。
エブリスポの成長シナリオ

阿部:いきなりファンタジー! と書いてありますが。

林:最終的にファンタジーだな、という結論になりました。

野崎:ごめんなさい。ちょっとよく分からないです…。

林:(強い気持ちで)説明しますね。今回、いろいろと資料を拝見しましてチーム対抗の部分に可能性を感じました。

野崎:いいポイントですね。正直に言って、チーム分けに悩んだりすることが多いので。

林:スポーツって、チーム分けが必ず国だったり地域だったり、地縁に由来していますよね。それを地縁以外の趣味とか好みとか、そういったチームビルディングができるのではないかと。

チーム分けも多様化できる

野崎:なるほど。ダイバーシティー的な。

林:そう。例えば、こういうことなのですが。

チーム分け案・好みで

林:一見他人だけれども、こしあん(好き)とつぶあん(好き)で分ける。

野崎:ダイバーシティーの事例でいきなり、あんこですか!

林:これは趣味で作ってきたんですが。

チーム別イメージ

野崎:あっ、本当だ。TUBUAN(つぶあん)、KOSHIAN(こしあん)ってなっている。

林:こういうことやっているから、スライド作るのに時間かかるんですよね。

阿部:時間掛かっているの伝わってきます(笑)。

林:以前、和菓子屋でお客さんが「これこしあん? つぶあん?」って聞いてて、こしあんって言われたら「じゃぁいい!」って帰っちゃって。強いこだわりがあるんだなぁって。

野崎:どら焼きはこしあんがいいけど、たい焼きはつぶあんがいいみたいな。皮の固さが違うからこだわっている人が結構います。

林:こしあんとつぶあん以外にも、学校で先生を「お母さん」と呼んだことがある人とない人。出身校は共学か男子校かなど、属性で分けることもできます。ちなみにお二人の出身校は?

阿部:僕は共学です。

野崎:男子校ですね。

築山:私は女子校です。

林:あれ?

阿部:プロジェクトメンバーの築山です。女性目線で改善案を聞いてもらおうかと。

林:なるほど。共学と男子校と女子校、見事にチームが分かれましたね。

イノラボ築山さん
イノラボ築山さんも参加

焼き鳥はタレか塩か

林:その他の属性として、次のようなチーム分けも可能です。

その他の属性案

林:名前とか誕生日が近いって、それだけで親近感が沸いたり。あと、タレか塩かは必ずもめますから。そして、エブリスポ!のような、

阿部:ちょっと待ってください。右側の写真については触れないんですか?

林:あ、右の写真が気になりますか?

野崎:ええ。

林:隙間が空いちゃったので埋めただけです。

デイリーポータルZ林編集長

阿部:では右の写真は気にせずに…。林さんはタレ派? 塩派?

林:僕はタレ派です。最近、意外に少数派なのですが。

築山:そうですか? 私もタレですよ。

野崎:僕は基本的に塩、時々タレみたいな感じかな。

築山:天気予報みたいです(笑)。

野崎:例えばお店秘伝のタレで50年継ぎ足して作ってる、みたいなことを言われればタレを頼みます。

林:阿部さんは?

阿部:僕もタレですけど。みんながタレって言ったら塩にするかも。

林:そういう人いますよね。

阿部:われわれはタレだけのグループじゃないって言いたいというか。

林:このように、属性で分けると話が盛り上がりますよね?

築山:確かに。

ボートマッチを導入して

林:そこで、どうやって好みや属性で分けるのか。

野崎:そこがポイントですね。

阿部:今のチーム分けはこちらサイドで決めてる感じですよね?

野崎:そうです。最初の実証実験モデルはランダムにチーム生成を行っていました。そのチーム生成エンジンも含めてエブリスポ!エンジンと呼んでいます。

林:そのエンジンではどのようにチーム分けを?

野崎:スポーツのレベルが近い人たちを不公平のないようにチーム分けするという。

林:最初に運動テストを?

野崎:そうですね。1週間くらいの期間で毎時間の運動強度を測りつつ、あまり走れない人と走れる人を各チームにバランス良く振り分けて、チームの強さが近くなるようにします。

築山:林さんが考えるチーム分けの方法は?

林:選挙の前になるとボートマッチっていう自分に合った政党を教えてくれるウェブのサービスがありますが、それをもっと身近なものでできないかと。「目玉焼きにはソースかしょうゆか」とか、「あんこはこしあんかつぶあんか」を選んでいく。

チーム分けのためのボートマッチ

林:ボートマッチの結果、10個すべての趣味が合ってる人はもう双子なんじゃないかと。

阿部:生き別れの双子に会えるボートマッチ(笑)。

野崎:今のエンジンは、コミュニケーションの活性化をスポーツの部分でしか見ていません。だから、ご提案のような要素を入れるとコミュニケーションがすごく活発になるような気がしてきました。

イノラボ野崎さん

林:がんばれタレ派! 塩派に負けるな! とか。

野崎:練習終わりの飲み会は、焼き鳥屋に行こうぜみたいな。

林:飲み屋で焼き鳥を頼んだら全員タレで、その時に初めて選ばれた理由が分かったり。

阿部:集まってから何が一緒なのか探っていくのはすごく面白い。

築山:でも、ボートマッチの質問項目に「焼き鳥はタレか塩か」って質問があるんですよね?

林:バレバレですね(笑)。

行動が似ている者同士でも

林:同じことが行動でもできると思っていて。単純にSNSで今日のランチにカレーを食べた人で勝手にチームを生成する。

チーム分け案・行動から 例

阿部:カレーなう。

林:ハリウッド映画でこういうのありそうですけど。

野崎:ありましたっけ? カレーを食べた人が集まる話。

林:アベンジャーズとか、きっとこういう映画ですよね?

築山:全然違うと思いますよ(笑)。

林:とにかく、このように行動でチーム分けもできる。そして、活動量計を身につけているので、いつも朝7時14分に起きている人、とか。地域に関係なく行動ログからもチームが生成できる。

チーム分け案・行動から

林:いつもトイレで会うけど名前を知らない、よその部の同僚とか。

阿部:そういう人いますね。

林:あれは多分、膀胱のサイクルが一緒なんですよね。あと毎朝、駅の駐輪場で一緒になる人。あれって、ちょっとトキメキがありますから。

阿部:確かに。しかもその人とチームを組みたいと思ってしまった。

林:行動が似ているわけですから、きっと相性がいいはずです。

野崎:絶妙な距離感を保ちつつ。

林:残業している人同士がつながるといいなぁ。22時ぐらいでまだデスクに向かっている人が無言でリスト化されるような。

阿部:チーム社畜、みたいなチーム分けになりますね。

林:チーム社畜、すごく弱そう。

阿部:「ごめん仕事入った」って帰っちゃったり。

野崎:みんな寝不足で疲れていて。

林:集まってもみんな仕事の電話しているとか。

築山:連帯感は強そうですが。

林:社畜としての連帯感。みんな弊社、御社と呼び合って。

モニターの向こうにいるのはメルケルかも、というファンタジー

林:この考えを突き詰めていくと、昔の人ともチームが組めると。

究極は昔の人とチームでも

野崎阿部築山:?

林:週8回ナポリタンを食べるうお座の板橋出身、という属性が今はいないけど30年前にいました、という。

野崎阿部築山:…。

林:あれ? また今回もポカンとなってないですか?

野崎:えっと、具体的に過去の人と組んだ時って、どういった戦いになるんでしょう?

林:過去の人のログを取っておいてbotみたいに少しずつ出しにしていくのかな。年は違うけど月日だけ同期して。

築山:なるほど。ありそうなのは、昔のアスリートとか。トレーニングの量などでその人と競い合うことが同じ時代に生きてなくてもできる!

林:最近知ったのですが、小説の「八十日間世界一周」って、元は新聞連載に日付を合わせていて、3月23日の紙面には3月23日の旅行記が載っていて。みんなそれを本当だと思って、うちの船を使ってくださいみたいな申し出があったらしいのですが、作者のジュール・ヴェルヌはずっと家で書いていた。

築山:昔とか架空のことでも、今の日付と同期していると急にリアルになりますよね。

野崎:過去の人とチーム組んでるって分かった瞬間にすごいファンタジーを感じるでしょうね。

林:ほら、ファンタジー!

野崎:あっ、それで、ファンタジー!に!

根底にあるのはファンタジー

林:どこかに自分のことを理解してくれる人がいるはず、っていうファンタジー。そして、モニターの向こうにいるのはメルケルかも、と思わせるファンタジー。

阿部:唐突にメルケルが登場しましたが。

イノラボ阿部さん

林:全く関係ないアカウントをメルケルだと思って読むと面白いと思うんですよね。メルケル、今日はうどん食べてるな、とか。

野崎: それを意図的に作ってしまう?

林:海外訪問などのメルケルの公式記録をもとに作れると思います。「今日はロシア訪問だから帰りのピロシキが楽しみ!」とか。

築山:それ、ステマっぽいですね。

林:確かに。でも誰が得するんでしょうね。

野崎:でも、興味のある対象がモニターの向こう側にいると思っていると、そのチームの活性化にもつながる感じはします。

エブリスポ!ファンタジー・エンジンは採用される?

阿部:今、エブリスポ!を使ったいろいろな企画を考えたりしていますが、その時に悩むのがチーム分けで。

野崎:まさに先週くらいから悩んでいました。

阿部:どういうチームで競ったら面白いか、というポイントから企画を始めた方が確かに参加してくれると思います。

野崎:これからのチーム分けは、コミュニケーションの活性化が結構ポイントにはなりますね。

阿部:そもそも、それを狙ってエブリスポ!はチーム戦にしているところはあるので。

築山:スポーツ系のアプリは、アメリカなどで作られていることが多くて。アメリカは個人主義の国なので、一人でつけて一人でがんばるというメンタリティーがあります。日本人は「みんなで渡れば怖くない」的な意識を持った人が多いですよね。そこでチーム戦という企画になった経緯もありますし。

野崎:一人でストイックに運動を続けるって非常につらいんですよね。コミュニケーションを取りながら、今日集まる?とか走る?とか。そういう確認が必要というか。

イノラボ阿部さんと野崎さん

林:ちょっと! 僕を置いてけぼりにしないでください!

野崎:すいません! あまりにも的を射たご提案だったので、つい内輪で盛り上がってしまいました(笑)。

林:今回のファンタジー!は採用ってことで?

野崎:それは、いったん持ち帰って…。

築山:慎重に検討しますね。

(つづく)

イノラボ

プロフィール

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    林 雄司
    ニフティ株式会社 デイリーポータルZウェブマスター

    1971年東京生まれ。1996年から個人で「東京トイレマップ」「死ぬかと思った」などのサイトを製作。2002年にデイリーポータルZを開設して以来ずっと編集長を務める。編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)「会社でビリのサラリーマンが1年でエリートになれるかもしれない話」(扶桑社文庫)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思っている。

  • Prof abe
    阿部 元貴
    株式会社電通国際情報サービス(ISID) オープンイノベーションラボ コミュニケーションプランナー

    2015年12月にイノラボに参画。参画以前はソーシャルメディアを使った、パラリンピック、FIFAワールドカップ等のスポーツ観戦の新たな視聴体験を提案。今後はコミュニケーション・プランナーとして、イノラボのコミュニケーション戦略の立案から実行までを担当する。温泉が好き。

  • Thumb03 pr
    野崎 和久
    株式会社電通国際情報サービス(ISID) オープンイノベーションラボ プロデューサー

    2011年イノラボ創設時期から参画。イノラボのテクニカルパートを統括する。最先端のデバイスやテクノロジーを用いる研究開発プロジェクトを主導し、過去には『スマイル募金!』や『iART』などをプロデュース。またエンタメ的な要素の強いオトナコドモラボ における企画、演出、技術などを一括して担当し、サウンドとリンクする光デバイスをもちいたライブや、香りと音を連動させたライブなどの実証実験、よしもとクリエイティブ・エージェンシーと協力したお笑いサイネージ実証実験なども担当。現在もサイネージ、ウェアラブル、スポーツ、モビリティなど様々な分野でリーダーとしてプロジェクトを推進し、次世代サービスの実現を目指している。

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