インサイトメモ #18

日米のタブレット端末利用実態にみる普及への鍵

  • メディアイノベーション・ラボ
    株式会社電通

〈 掲載日:2012.07.17 〉

米国では、2012年1月時点で18歳以上人口全体の約2割が「タブレット」端末を保有しており、この勢いは今も続いています。2010年の春に本格投入が始まってから2年も経過していないデジタル製品としては、驚くべき早さで普及が進んでいるといえます。

日本では、タブレット端末に一定の関心を持っている人は多いのですが、まだ利用をためらっている人も多いようです。パソコンやスマートフォンと異なるタブレット端末の役割が、日本ではアメリカほどはっきりと見えてきているようではないようです。

そこで、今年2月に、日米でタブレット端末利用の比較調査を実施しました。

■ 日米のタブレット保有者の間に大きな利用頻度の差

●  グラフはタブレット端末上で、保有者が各種のメディアやコンテンツをどのくらいの頻度で利用しているかを示しています。

タブレット上のメディア利用

●  まず、日米の共通点をみると「ソーシャルメディア」や「ネットメディア(ポータル・ニュース・専門サイトなど)」「動画共有サービス」が比較的上位を占めています。いわゆるインターネット上で様々な端末向けに提供されている無料サービスといえます。
●  次に、日米の相違点をみましょう。まず、全てのサービスを通じて日本のタブレット保有者よりもアメリカの保有者の利用がより活発だといえます。日本の利用者の利用水準が米国に近づいているのは動画共有サービスなどごくわずかでした。
グラフを見る限り、米国のタブレット保有者の間では、日本よりも利用が定着していることは間違いないでしょう。逆に日本では、どのメディアサービスに関してもまだ「伸び代」が大きいといえます。

 

■ 電子書籍がタブレット利用の定着に及ぼす影響

●  日米で特に利用頻度に差がみられたのは電子書籍でした。
米国では、2007年末に有力小売事業者が電子書籍専用端末を投入し、電子書籍市場に参入しました。それ以来、電子書籍ブームといえる状況が続いています。2010年春に一般消費者向けの本格的な多機能タブレット端末が発売された時、米国の消費者の最初の期待は、電子書籍を読む端末としてのタブレットの役割へと寄せられました。
●  今回の調査結果をみても、タブレット端末を電子書籍を読むために利用している人の割合は、他のメディアやサービスを利用する人の割合を上回っており、引き続き最も高いグループに留まっています。このように、電子書籍や、これと利用方法が近い電子新聞・電子雑誌などの用途がタブレット端末を保有・利用する動機として大きなものといえるでしょう。
●  タブレット端末は、携帯電話よりも大きな画面で画像を含む大量の情報を表示できるメリットとパソコンより気軽に自由な体の姿勢で使えるメリットの2つを備えています。電子書籍系のサービスは、タブレット端末ならではのこの2つの魅力を十分に活かせるサービスといえます。

 

■ タブレット端末の普及と利用定着の可能性

●  調査結果からみると、タブレットの利用が定着するための条件としては、
 ①他の端末の利用形態にはないタブレットならではの中心的サービス と、
 ②利用者ごとの好みを反映するサービス の2つの方向の組み合わせが必要と考えられます。
●  日本でタブレット端末の普及が今よりも加速・定着するためには、何が必要でしょうか。
●  米国では、電子書籍の普及という文脈を1つの求心力としてタブレットが普及し、その周辺に多様なサービスが開花しつつあります。日本でも電子書籍サービスの本格化が期待されるところです。
● 

電子書籍系以外にも、テレビ放送との連携による求心力のある動画中心のサービスづくりなど、日本ならでは普及の起爆材が探求されています。2012年以降、この「伸び代」がどのような順序でどのように現実化されていくのかが注目されます。

 

プロフィール

  • メディアイノベーション・ラボ
    株式会社電通

    電通総研メディアイノベーション研究部では、メディアや情報通信環境の変化を着実に捉え、進化し続けるオーディエンス(視聴者)の動向を探っていきます。
    世の中のキザシをいち早く発見し、オーディエンスとの「最適なコミュニケーション」を提案しています。

バックナンバー

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ