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Japan VR Summit開催 VRで新たな未来を切り開くリーダーたちが集結

2016/05/17

    JVRS

    グリーとVRコンソーシアムは5月10日,VR(仮想現実)をテーマとした大型カンファレンス「Japan VR Summit」(JVRS)を東京・港区で開催した。世界的な潮流となるVR市場に関心を持つ企業の経営層らと、すでに第一線で活躍する国内外のキープレーヤーたちをつなげ、市場の共創を目指したもの。満員の会場は500人超の参加者の熱気に満ち、テレビカメラが何台も設置されるなどメディアも多く詰め掛けた。VRのパイオニアで昨年フェイスブック傘下となったオキュラスリフトや、HTC、プレイステーションVR(PS VR)の発売を10月に控えたソニー、当日にフジテレビとVR領域における業務提携を発表したグリーなど、VR領域を牽引する顔触れが勢ぞろいし、「ヘッドマウントディスプレー」「海外市場」「VRゲーム」「開発環境」「VRへの投資」の五つのテーマの下、パネルディスカッションが実施された。

    冒頭のセッション「VRがもたらす大変革」では、理化学研究所 適応知性研究チームリーダーの藤井直敬氏をモデレーターに、オキュラスの池田輝和氏、HTCのレイモンド・パオ氏、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの吉田修平氏の3人が登壇。注目のデバイスである、オキュラスリフト、HTC Vive、PS VRが解説され、クラウドファンディングから始まったオキュラス、スマートフォンメーカーのHTC、家庭用ゲーム機を牽引するソニーが、それぞれの立場と視点で開発に当たっている様子が明かされていった。

    「オキュラスリフトを、世界中の人たちが1人1台保有するような、眼鏡レベルのデバイスにしていきたい」(池田氏)、「今ある全てのスクリーンが、いずれVRに置き換わることになると思う」(レイモンド氏)、「オキュラスやViveがなかったら、ここまでPS VRを推進することはできなかった。今後も力を合わせてVRの世界を盛り上げていきたい」(吉田氏)など、印象的なコメントが飛び出す熱い1時間となった。

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    「VRで生まれるヒットゲーム」では、コロプラの馬場功淳氏が「VRには本気で取り組んでいる」ときっぱり。「映像が誕生した瞬間から僕らは四角い画面にとらわれていたが、VRでは制約が完全に取り払われる。これはすごいこと」と語り、ゲームコンテンツや、さらにファンド設立や映像制作など積極的に事業を拡大していると説明した。情報や人脈にアクセスしやすい米国でVR専門のパブリッシャー、エンハンス・ゲームズを設立したレゾネアの水口哲也氏は、PS VRのローンチタイトルとして注目が高まる「Rez Infinite」を、またバンダイナムコエンターテインメントの原田勝弘氏は4月15日に東京お台場で期間限定オープンした世界初のVRエンターテインメント研究施設「VR ZONE」などについて語った。

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    「投資家から見たVR戦略」では、いち早くVR領域に特化したファンドなどに取り組む企業が登場。米国に比べてまだまだ投資が活発とはいえない日本の現状について、日本初のVRに特化したインキュベーションプログラムや米国でのVRファンド事業に携わるgumiの國光宏尚氏は「VRはインターネット、スマートフォンに続く『サードウェーブ』」「波が来てからでは遅い。いち早く信じて取り組んだところが勝つ」と強調。「Colopl VR Fund」を運営するコロプラネクストの山上愼太郎氏は「自社ではカバーできない領域に投資する」戦略を紹介した。北米で世界に先駆けてスタートアップに特化したVRファンド「GVR Fund」を設立したグリーの青柳直樹氏は「2018年に一気に市場が拡大する」「まだライバルが少ない今が、投資のチャンス」と語った。AR(拡張現実)との対比や、プラットフォームやフォーマットの有望性、投資を獲得する戦術など多角的な議論の後、國光氏は「北米ではツールやプラットフォームが先行しているが、結局最後はコンテンツ。日本人しかできないコンテンツがある」と述べ、青柳氏も「コンテンツが(日本にとって)最も勝機がある」と同調した。

    終盤、青柳氏は「日米でのギャップを感じていたが、日本にも本気のプラットフォーマーがすでに存在し、われわれもここでやっていけると確信した」と語り、「この火を絶やしてはいけない。ここからどういうアクションを起こせるか、どういうサービスをつくっていけるか。多くのプレーヤーの賛同を得て、一つの産業をつくっていきたい」と、JVRSへの思いでイベントを締めくくった。秋に第2回が開催予定。

    JVRS

    また会場の外には、協賛する大手メーカーやゲーム会社のVR体験ブースが設けられ、午前中には整理券がなくなる盛況ぶりだった。

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    全てのセッションと登壇者は下記の通り。

    Session I 「VRがもたらす大変革」
    モデレーター:藤井直敬氏(理化学研究所) 
    パネリスト:池田輝和氏(オキュラス)、Raymond Pao氏(HTC)、吉田修平氏(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)

    Session II 「海外VRビジネス最前線」
    モデレーター:荒木英士氏(グリー)
    パネリスト:Maureen Fan氏(Baobab Studios)、James Chung氏(Reload Studios)、Li Shen 氏(テンセント)、Jesse Joudrey氏(VRChat共同創業者)

    Session III 「VRで生まれるヒットゲーム」
    モデレーター:久保田瞬氏(MoguraVR)
    パネリスト:馬場功淳氏(コロプラ)、原田勝弘氏(バンダイナムコエンターテインメント)、水口哲也氏(レゾネア、エンハンス・ゲームズ)

    Session IV 「VR開発を支える最新技術動向」
    モデレーター:橋本善久氏(リブゼント・イノベーションズ)
    パネリスト:伊藤周氏(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン)、下田純也氏(エピック・ゲームズ・ジャパン)、西川美優氏(日本AMD)

    Session V 「投資家から見たVR戦略」
    モデレーター:國光宏尚氏(Gumi)
    パネリスト:青柳直樹氏(グリー)、山上愼太郎氏(コロプラネクスト)、Amitt Mahajan氏(Presence Capital)