loading...

Stylus Global TrendsNo.1

今日のイノベーションがつくる未来のライフスタイル

2016/05/31

多岐にわたる業界のイノベーション事例をグローバル規模でリサーチし、企業の未来戦略をサポートする英マーケティング・コンサルティング会社Stylus。その注目のリポートをお届けします。


今日のイノベーションは、未来の生活者のライフスタイルをどのように形づくるのか。Stylusが、ラグジュアリー市場を中心に、三つの消費者ジェネレーション「ジェネレーションZ」「ミレニアル世代」「ベビーブーマー」の約15年後を描いた。

「ジェネレーションZ」 ユニークな体験を求める冒険家
2030年の年齢: 21~35歳(1995~2009生まれ)

「ミレニアル」の次の世代として、注目が高まりつつある「ジェネレーションZ」。遊び心と好奇心が強く、物質的な所有を目的とした消費より、唯一無二の体験に価値を見いだす傾向が強い。それは、ユニークで奇抜ともいえるファッションにも表れている。メキシコやインドといった新興大国の消費者が、この世代の一大消費者層となるだろう。

Keyword 1: 感覚的空間

luxury perspectives

送った写真や映像が一定時間を過ぎると消滅する画像チャットSNS、Snapchat世代であるジェネレーションZは、「限定的な瞬間」を重視する。彼らにアプローチするには、期待を高めるような特別感のある、時間が限定された施策でのアプローチが有効だ。例えば、オンデマンドで没入感の高い全方位体験を可能にするVR(仮想現実)は、一つの場所に縛られることを嫌うノマド志向の彼らに、感覚に訴えるブランド体験を提供するにはぴったりだ。

Keyword 2: ぜいたくの定義が変わる

luxury perspectives

ブランドネームや高価格ではなく、「本物であること」や「純粋な品質」こそがぜいたくとされる。コーヒーのシングルオリジン(単一産地)へのこだわりもその一例だ。

Keyword 3: 一口サイズのラグジュアリー

luxury perspectives

シェアリングやレンタルの制度が普及し、より多くの人がハイエンドなライフスタイルを楽しむようになるだろう。クラブの会員権から車、サングラスにいたるまで、多くのぜいたく品がシェアされ、消費者は“一口サイズ”のラグジュアリーを味わう。ホテルのコンシェルジュや専門家によるオンデマンドサポートなど、今まで一握りの人だけが享受していた特権的なサービスの共有も進むだろう。

Keyword 4: 融合する異分野

luxury perspectives

テクノロジーとファッションといった異分野が融合し、テクノロジーで新たに生み出された付加価値がラグジュアリー文化を形成する。小売りの現場は、多様な趣味嗜好に対応する品ぞろえを用意する。

「ミレニアル世代」 非ブランド主義マニア
2030年の年齢:36~49歳(1981~1994生まれ)

言わずと知れた、欧米を中心に最も重要な世代として注目される「ミレニアル世代」。いかにも高級そうなアイテムより、自分のアイデンティティーと一致する製品を好む。親世代よりも経済力は低いが、自分たちのライフスタイルに合うものは貯蓄してでも高級品を手に入れたいと考える。親の世代よりも、ハイエンド商品の購入傾向が強い。

Keyword 1: 機能的シンプリシティー

luxury perspectives

豪華さを打ち出した従来型ラグジュアリーブランドではなく、無駄を徹底的にそぎ落とした機能性の中に高級感を感じさせるニッチブランドを、直感的に軽やかに選択する。

Keyword 2: 「超」パーソナル

luxury perspectives

大事なのは、ブランドロゴではなく自分の個性をアピールできること。自分の体型にジャストフィットするオーダーメードのファッションや、パーソナルなニーズに合わせてカスタマイズした商品など、先端テクノロジーを駆使した「超」パーソナルなサービスや製品が彼らの心をつかむ。

Keyword 3: 健康こそ富

luxury perspectives

ミレニアル世代にとって、健康やスタイルは富に代わるステータスだ。特に、都市在住者にとって、新鮮な空気、汚染のない環境は高い価値を持つ。

Keyword 4: すぐに満足したい

luxury perspectives

テクノロジーの進化で、商品はいつでもどこでも即時に届けられるなど、よりパーソナルで迅速なサービスが提供される。お気に入りのブランドに対しては、クローズドな情報や「金銭では買えない体験」などをVIP待遇として求める傾向も。

「ベビーブーマー」 人生を知り尽くしたステータス探究者
 2030年の年齢:66~84歳(1946~1964生まれ)

約15年後に60代後半から80代中盤の高齢消費者層を形成するベビーブーマーは、ラグジュアリーの価値を重視するが、若い世代よりも消費行動は保守的だ。ブランドネームや社会的なステータスに伴う安心感が、購入を決意させる。自分たちの子ども世代に残す「ヘリテージ性」も重視する。

Keyword 1: うんちくは力

luxury perspectives

職人の技術や製造過程のストーリーが、ラグジュアリーブランドの価値を高める。ブティックなどの現場では、販売する側がブランドや製品に対する情熱を顧客と共有し、購買体験を特別なものにする案内人であることが求められる。

Keyword 2: 「本物感」への渇望

luxury perspectives

製造技術の進化による高級自然素材パッケージも、この世代の「本物感」への渇望を満たすだろう。超絶技巧の仕上げにプレステージ感が高まる一方で、わざと残された素材の素朴さが特別な愛着を感じさせる要素となる。

Keyword 3: 快適な移動

luxury perspectives

老いてもなお冒険家として活動的でありたいこの世代を支えるためには、快適に移動できる手段が重要になってくる。例えば、自動運転する車から高級レストランのケータリングサービスを注文するなど、移動中もパーソナルでリラックスできるラグジュアリーな環境を提供するホスピタリティーサービスが登場するかもしれない。

Keyword 4: 新アーカイブ

luxury perspectives

デジタル技術を介して伝統的なブランドと接触する機会が新たに生まれる。VR(仮想現実)を使って、趣味などに対応してパーソナルにカスタマイズされたブランドアーカイブを自宅で視聴する、といったことも可能になるだろう。


▶︎Stylusのレポートに関するお問い合わせ・ご相談はstylus@dentsu.co.jpまで。