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位置情報ビッグデータで見る人の流れNo.7

北陸観光の実態を位置情報データから見てみた―その4【NewsPicks×電通報】

2016/05/26

北陸観光の実態を位置情報データから見てみた その4

電通「人の流れラボ」研究員の秋元です。「北陸観光」シリーズの4回目です。
1回目と2回目と3回目の記事はこちらを参照ください。

北陸観光の実態を位置情報データから見てみた -その1
北陸観光の実態を位置情報データから見てみた -その2
北陸観光の実態を位置情報データから見てみた -その3

1回目の記事で日本人来訪者の分析を行い、2回目の記事では富山県に焦点を当て、3回目の記事で富山県を来訪した外国人の分析を行いました。

最終回となる4回目はアメリカからの富山県来訪者を例に、分析を進めたいと思います。

1泊当たりの旅行消費単価が最も高いのはアメリカからの来訪者

富山県 外国人来訪者数TOP10

上のグラフは2015年1~12月に富山県へ来訪した訪日外国人の国・地域別の来訪者数ランキングとなります。データは2015年1~3月(Q1)分までは「RESAS:外国人訪問分析」から抜粋、2015年4~12月(Q2~Q4)分は、観光庁「訪日外国人消費動向調査」とJNTO「訪日外客数」から算出しています。

これによるとアジア圏からの来訪者が上位を占め、アメリカからの来訪者は8番目となります。

富山県 1泊当たりの旅行消費単価と平均泊数

次に、これらの国・地域別に富山県における平均泊数と1泊当たりの旅行消費単価を見てみます。この散布図は観光庁の「訪日外国人消費動向調査(2015年1~12月)」の「訪問地別×国籍別の1人1回当たりの旅行消費単価」と同調査の「訪問地別×国籍別の平均泊数」から作成しています。(旅行消費単価は「訪問地で消費した1人当たりの総額」となっているため、現地平均泊数で除して「訪問地で消費した1人当たりの1泊当たりの金額」に換算)。

すると、消費単価についてはアメリカからの来訪者が最も高いことが見えてきます。

東京エリア→京都府→富山県入りがアメリカからの来訪者の多いパターン富山県に滞在したアメリカからの来訪者

「入国空港~経由地~富山県入り」の状況を把握するために、今回もドコモ・インサイトマーケティングの協力の下、モバイル空間統計のデータを活用していきます。
入国空港の内訳によると、富山県に来訪したアメリカからの来訪者の97%程度が東京エリア(成田・羽田)からの入国になっています。アメリカからの来訪者 富山県入り前の経由地(東京エリア入国)

東京エリアからの入国者が富山県入りする前に立ち寄る経由地ですが、西側エリアに大きく広がっています。富山県へのアメリカからの来訪者のうち、京都経由の方は全体の13%も存在します。

経由地の他県と比較しても、富山県での消費単価はトップレベルアメリカからの来訪者 1泊当たりの旅行消費単価と平均泊数

経由地として挙がってきた各県と共に、1泊当たりの消費単価と平均泊数を比べてみました。泊数では苦戦していますが、消費単価については隣接県の長野・岐阜県と並んでトップレベルにあります。

アメリカからの来訪者 ジャンル別消費内訳

長野・岐阜・富山の3県で、アメリカからの来訪者の消費のジャンルを見てみましょう。

宿泊と小売を合わせて約7割という点では3県とも変わりません。富山県に少ない消費という点で見てみますと、長野・岐阜県には観光・エンタメ消費が存在しますが、富山県には同消費がほとんどありません。この消費は現地でのアクティビティー費用や美術館・テーマパークなどの入場料に当たります。富山県には立山・黒部エリアといったトレッキングの名所や、富山市ガラス美術館のような知名度のある美術館があります。これらの観光資源の認知が高まってくると、消費単価をさらに増やすことができそうです。

外国人来訪者には「ToyamaBay」「Sushi」「Kurobe」が人気「toyama」を含む発言キーワード

NTTデータに協力いただき、SNSの投稿内容から「英語圏の方のtoyamaに関する発言」を抽出してみました(「2015年1~12月」の「Twitter」によるツイートで、「言語設定が英語」で「toyama」に関するもののうち、日本居住者および日本人を除外して抽出)。

「海の幸」が強く響いているようで「toyamabay」「sushi」が発言トップ2となっています。また「kurobe」「tateyama」や「glass museum」「park(富岩運河環水公園)」といった名所もツイートされています。ちなみに富岩運河環水公園のスターバックスコーヒーは「世界一美しいスターバックス店舗」と表現されることも多く、そのようなツイートも多く見られました。

ツイートから受ける感触として、富山県を来訪した外国人に、富山県の魅力がしっかり届いていると思いました。今後はさらに名所の認知を高め、旅行先に組み入れてもらうことがカギとなると思います。

「海の幸」をフックに来訪者を延ばす!?隣接県のアメリカからの来訪者(東京エリア入国)

東京エリアから入国したアメリカからの来訪者を対象に、富山県および隣接県への来訪者数を見てみました。台湾からの来訪者と同様に、隣接県への来訪者が富山県を上回り、岐阜・長野県へは2倍強となっています。岐阜・長野県は海に面していないため、「海の幸」をフックに富山・石川県とタッグを組むと、来訪者を大きく伸ばすことができそうです。

4回にわたって展開しました「北陸観光の実態を位置情報データから見てみる」シリーズ、いかがでしたでしょうか?

全編通したファインディングスをまとめてみます。

4回目 まとめ

今シリーズではRESASや観光庁の統計データなど、さまざまなデータを活用しています。大きな人の流れについてはオープンデータを活用し、細かな条件設定が必要なデータに関してクローズドなビッグデータを活用し、探索的に分析を行いました。またSNSデータの定性的な活用により「行動+目的」を把握でき、訪日外国人の観光実態をイメージしやすくなりました。

「訪日外国人観光客による地方活性化」「日本版DMOの形成」など、観光分野に関するトピックスが日々報道されており、データの整備や分析に関するニーズはますます高まるものと思います。データの可視化によって迅速な意思決定をサポートできるよう知見をためていきたいと思います。

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