アドバタイジングウィークがやってくる! #05

ウェブ電通報 初登場! 岡さん、広告業界で独立すると何が見えますか?

  • Izawa
    伊澤 佑美
    株式会社電通パブリックリレーションズ コミュニケーションデザイン局 コンテンツ・ディストリビューション部 「週刊?! イザワの目」編集長
  • 池上 翔
    株式会社電通パブリックリレーションズ コミュニケーションデザイン局 コーポレートコミュニケーション戦略室

前回までのあらすじ

5月30日から4日間、日本でAdvertising Week(アドバタイジングウィーク/当連載での通称、アドウィ)が初開催されることを知ったイザワ。アドウィアジアの事務局長、笠松良彦さん(イグナイト代表)や、同イベントのスポンサーであるLINEの田端信太郎さん、Googleの石井哲さんを次々に直撃し、アドウィアジアでどんなことが起きるのか、そこでどんなことが語られるのかを明らかにしてきた。いよいよ開催を目前に控え、アドウィアジア初日に、キラーコンテンツを提供するという広告業界の重鎮に会うべく、表参道のオフィスを訪れた。

ウェブ電通報“初登場”のあの人が!

池上くん:さすがに今日は緊張しますね。先輩も心なしか今日は地味めだし…。

イザワ:お相手が、仕事の時は常にスーツでキメてると知っているだけに、なんかヒヨっちゃったよ…。でも、ピアスはほら、主張してるし!!

カラフルな鳥のピアスを得意げに見せる、イザワ。
カラフルな鳥のピアスを得意げに見せる、イザワ。

池上くん:ヒヨってそのピアスつけるとは、さすがです!!(←決して褒めているわけではない)

イザワ:んじゃ、さっそく行きますか。うぅ、光ってる!!

訪問先は独立系クリエーティブ・エージェンシー「タグボート」。鏡面仕上げの表札が映し出すのは表参道の街並み、いや、移ろいやすい世の中か…?

池上くん:潜入成功!! まだ気付かれてないようです、バッチリですね!!

地味めのイザワに、やたらとキメ顔の池上くん。#昼寝なしでも動けます
地味めのイザワに、やたらとキメ顔の池上くん。#昼寝なしでも動けます

イザワ:いやいや、気付かれなきゃ話聞けないでしょ。たのもー! たのもー!!

池上くん:うわっ! そんな大声出して!

声:お待ちしていましたよ、イザワさん、池上くん。どうぞ。

イザワ:あぁ、岡康道さん!! は、はじめまして。

池上くん:お、お、お、お、お、お会いできて光栄ですっ!!

広告界の巨匠、タグボートのクリエーティブディレクター(CD)岡康道さん。 #ウェブ電通報初登場
広告界の巨匠、タグボートのクリエーティブディレクター(CD)岡康道さん。 #ウェブ電通報初登場

岡さん:僕が電通にいれば、後輩というか、「はじめまして」にはならなかったと思うのだけど。でもこういう形で会えてうれしいよ、今日はありがとう。

イザワ・池上くん:こちらこそ、ありがとうございます!!! 今日はよろしくお願いしますっ!!!

イザワ:さっそくですが、アドウィアジアで、岡さんたちタグボートのみなさんが、特別セミナーをやると伺いました。その話を聞かせてください。

タグボート「初」の公式講座

岡さん:「アドバタイジングウィーク・クリエイティブアカデミー」という一日がかりのコースです。アドウィアジアの初日である5月30日に、11時から18時までかけて行います。

池上くん:それはすごく濃密な一日になりそうです。どんな内容なのですか??

目を丸くして、岡さんに食いつく池上くん。#目が寄りすぎ
目を丸くして、岡さんに食いつく池上くん。#目が寄りすぎ

岡さん:三つのパートに分かれています。タグボートのアートディレクター(AD)である川口清勝は、「新・女たちのアートディレクション」と題して、女性ADにフォーカスしたセッションを行います。最近、女性のADが増えているし、目立った活躍をしている人も増えている。そういう人をゲストにお呼びして、作品に込めた思いを聞いたり、女性ならではの視点に迫る、という内容です。

イザワ:タグボートには、女性メンバーがいらっしゃらないので、逆に面白いセッションになりそうです。思わぬ化学反応が起こりそう!

岡さん:僕も川口に任せていて詳しくは分からないけど、ガーリッシュと無縁の彼がやるってところに、ある種の面白さが生まれると思いますよ。そこにいないと分からないような何かが。

池上くん:すでにワクワクしています! 他はどんなセッションが??

岡さん:CMプランナーである多田琢と麻生哲朗は、CMプランナーのレゾンデートル(存在意義)というか、「集結。私はCMをこう作る。」と題して、CMに取り付かれた企画職人たちをゲストにしたセッションをやります。多田と麻生含めて7人のCMプランナーが登壇して、それぞれのCM哲学やCM作法などを話す予定だね。

イザワ:お二人の他にはどなたがいらっしゃるのですか?

岡さん:ワトソン・クリックの山崎隆明くん、電通の澤本嘉光くん、ワンスカイの福里真一くん、シンガタの権八成裕くん、そして電通九州の村田俊平くんに声をかけています。

イザワ:おぉ、超ベテランから今をトキめく若手まで、勢ぞろいですね。

岡さん:澤本くんとか、福里くんみたいに、年を重ねてもCMプランナーの現場をやり続けるってのは、過去の広告史にはない、きわめて珍しいことなんですよ。たいてい、みな年を重ねるにつれてCDになったり、50代だったら組織のマネジメント職になっているのが普通。でも最近は、CMプランナーの現場をやり続けることが許される時代になってきました。CMプランナーであり続けるには、それなりに確立した哲学があるはず。CMプランナーとは何なのか。立ち位置とか、考え方とかを話していくことになると思いますね。

池上くん:岡さんはどんなセッションを予定しているのですか?

岡さん:博報堂ケトルの木村健太郎さんをゲストにお迎えして話をしていこうと考えています。「職人にとってグローバル化は必要なのか」というのが大きなテーマです。大きな企業が今、掲げるテーマって、たいてい「デジタル&グローバル」でしょ。アナログだけじゃ生きていけないから、デジタルは受け入れるとしても、グローバルって本当に必要な価値観なのかなっていうのが、僕は前々から疑問なんです。世界に行かなきゃって思っている人も多いと思いますが、広告の世界では必ずしもそうじゃなくてもいいと思うんです。グローバルな視点をもっている木村さんとこの機会に話してみたいなと。木村さんとの対談と、会場の人たちからGmailを使ってライブな質疑応答を繰り返してみようかなと思っています。インタラクティブな1.5時間をお楽しみください。

バトンを渡すか、渡さないか

イザワ:今回のアカデミーをやろうと思ったきっかけはなんですか? 過去の岡さんインタビューで、「バトンは渡さない」っておっしゃっていたのを拝見したので、教えない主義なのかと…。

ショートヘアにして夏仕様のイザワ。#どうでもいい情報 #地味と見せかけて、中は派手
ショートヘアにして夏仕様のイザワ。#どうでもいい情報 #地味と見せかけて、中は派手

岡さん:いつも、「バトンは渡さない」という気持ちがあるのは確か。でも実は同時に、「なるべく走りやすい形で渡してあげたい」という、相反する二つの気持ちがあるんですよ。僕だけじゃなく、4人ともね。教えない主義じゃなくて、教える公式な場が今まではなかっただけなんです。

池上くん:公式な場ってどういう意味ですか?

岡さん:僕たちは1999年に4人そろって電通を辞めて、タグボートを立ち上げました。当時、僕が部長で、川口、多田、麻生の3人は部下だった。けっこう僕は会社にかわいがってもらっていて、えこひいきもしてもらっていたのに、突然辞めたから会社も業界もビックリしちゃってね(笑)。そうすると、どういうことが起きるかというと、「後輩」がいっさいいない、後輩との「接触ポイント」もいっさいない、という状態になるんですよ。電通を辞めて、得たものもたくさんあるけれど、失ったものもある。一番大きなものは、「後輩」ですね。

池上くん:そうか、後輩がいないから、公式に教えるっていう機会がないわけですね。

岡さん:それを取り戻せるというわけじゃないけれど、こういう機会に少しでもなにか若い人たちに刺激を残せたらいいなと思っています。

池上くん:でも、タグボートで、新規メンバーの採用をして「後輩」をつくろうと思ったことはないんですか?

岡さん:いわばミュージシャンと同じで、4人でやろうと言って立ち上げたわけだから、もともと新しく人を採用して永続させることを目的とした組織じゃないんですよ。まあ、でもそれも、4人の判断で決まることだから急に方針転換するかもしれないですけどね。そこは今、なんとも言えないかな。

ファースト・ペンギンのはずが…

イザワ:ミュージシャンで例えると、4人はそれぞれどんな役割なんですか?

岡さん:そんなこと初めて聞かれたなぁ(笑)。分からないけれど、CMプランナーが一番派手ですからね、リードボーカルとギターが多田と麻生かな。でもって、川口がドラムかな。僕は基調となるベースとか?

イザワ:ミュージシャンというと、音楽性の違いによる解散などがよく問題になりますが、これまで危機はなかったのですか?

岡さん:最初から解散の危機だよ(笑)。だって、お互い優秀だったことは知っていたけど、4人はプライベートで仲が良かったわけじゃないから。でもお互いを認め合っていたし、独立して困難なことを乗り越えていくうちに、だんだん団結していった。僕たちは完全な独立系だったので、電通と組むことも、その他の広告会社と組むこともできる。でも、電通と組んだら博報堂とはライバルになってしまうし、博報堂と組んだら電通とライバル。そうすると、みなさんにとって、油断ならない存在になっちゃうから、孤立するというか四面楚歌状態だったよね。だから団結する以外なかった。

音楽性の違いは、広告でいうところの仕上がりの好き嫌いに当たるかな。微妙にそれは各人で違うんだけど、曲を作った人に準ずるというか、なるべく作った人の思いを尊重しています。ルールとして決めたわけではないけど、自然とそうなりました。一人で作っているわけじゃない。

タグボートの名刺には共同創設者4人全員の名前が入っていて、該当者にチェックが入っている。
タグボートの名刺には共同創設者4人全員の名前が入っていて、該当者にチェックが入っている。

池上くん:でもどうして独立したんですか? 電通という企業にいて…。

岡さん:いろんな理由があるけど、自分はマネジメント職が向いてなかったのも大きいね。あとは、日本で独立系のクリエーティブ・エージェンシーを作ったらどうなるか、っていう僕なりの企画を試したかった。

イザワ:その企画の結果はいかがでしたか?

岡さん:僕たちは、これで生活ができているから一応の成功だと思いますが、残念だったのは「ファースト・ペンギン」になろうとしたのに、結局「奇妙なペンギン」で終わったってことだね。僕らの後が続かなかったからね。

イザワ:リスクと引き換えに、いの一番に勢いよく飛び込んだら…。

岡さん:誰も続いて飛び込まない(笑)。それはちょっと自分が思っていた未来とは違ったかな。

池上くん:でも、電通から独立したクリエーティブ・ブティックはたくさんありますよね?

岡さん:基本は電通の資本が入ってるでしょ。それは外部から見たら、独立してないのと一緒だよ。だって、博報堂の仕事は受けられないからね。電通出身で完全な独立系って、僕が知る限り、僕たちと最近ではワトソン・クリックだけなんだよね。

ファースト・ペンギン
ファースト・ペンギンとは、群れで行動するペンギンの中で、最初に海に飛び込む勇敢なペンギンのこと。ファースト・ペンギンが飛び込んで安全が確認された後、ほかのペンギンたちもそれに続けと次々と海に飛び込む。NHKの連続テレビ小説「あさが来た」でも使われて話題になった。#五代さんの名言

池上くん:伺っているだけでも、かなり孤独な戦いですね。

未来のスターの「刺激」に

イザワ:岡さんは今年、還暦を迎えられるわけですが、まだまだマイクを置くっていうわけではないですよね?

岡さん:もちろん。まあ、発注が来なくなればやめるんだろうけどね。クリエーティブは依頼される仕事だから、頼まれている以上はやめないですよ。

池上くん:今も電通にいらしたら、違う考えでしたか?

岡さん:そうでしょうね、今頃、定年の準備してるんじゃないかな。

イザワ:でも、今は定年がないですもんね。これからも広告をつくり続ける岡さんにとって、「広告」ってなんですか?

岡さん:入社した時は、年収ランキングを見て電通に入ろうと決めたくらいなので、それ以上の思い入れがあったわけではないですが、今となっては広告しかやってないですからね。広告の表現をやり始めてから30年以上そのことしか考えてない。この17年は出世のことも考えてない。だから、なんでしょうね。広告と自分の生涯を分けては考えられない。一緒のことになっている。4人ともそうかもしれないですね。

イザワ:そんな、広告界の巨匠である岡さんに「教わる」機会があるなんて、本当に楽しみです! でも、クリエーティブって、教えられるものなのでしょうか?

岡さん:いや、無理でしょうね。教えられないでしょう。ノウハウじゃないですからね、結局は自分で育たないとダメです。でも育つためには刺激のようなものが必要だと考えています。今までは接する環境になかったので、刺激にすらなれなかった。未来の広告界のスターが、何十年後かに「あの時のタグボートの話を聞いて、とても刺激を受けた」と言ってもらえたらうれしいですね。それが目標かな。

池上くん:ではまずは僕がそのスターの端くれになります!!

イザワ:端くれはスターとは呼ばないの! ど真ん中じゃなきゃ!

池上くん:先輩、キビシー!(笑)。

岡さん:その意気込み、いいね。頑張って。

イザワ・池上くん:すでに今日が「刺激」になりました! ありがとうございました!

岡さん、ありがとうございました。
岡さん、ありがとうございました。

タグボートの4名の刺激を直に受けられる「アドバタイジングウィーク・クリエイティブアカデミー」への申し込みはこちらから⇒ http://www.advertisingweek.asia/academy/

次回はアドウィアジアの開催レポートをお届けします!

プロフィール

  • Izawa
    伊澤 佑美
    株式会社電通パブリックリレーションズ コミュニケーションデザイン局 コンテンツ・ディストリビューション部 「週刊?! イザワの目」編集長

    2003年電通PR入社。メディアリレーションズ部にて、企業・団体に関するプロモーションに従事。2011年にオウンドメディア「週刊?! イザワの目」を立ち上げ、編集長に就任。国内外の最新PR事例を取り上げて解説する特集や、旬な人物に迫るインタビューが人気。
    現在は、編集者、ライター、PRプランナーとして、企業のオウンドメディア運営やコンサルティングのほか、広報業界向けメディアへの寄稿なども手掛けている。東洋経済オンラインにも連載執筆中。

  • 池上 翔
    株式会社電通パブリックリレーションズ コミュニケーションデザイン局 コーポレートコミュニケーション戦略室

    2008年電通PR入社。イシュー・リスクマネジメント部にて企業・団体の平時および緊急時のリスク対応に従事。2011年に電通プラットフォーム・ビジネス局に出向し、ICTサービスのプロモーション、プラットフォーム関連事業のリスクマネジメントに従事。2012年から2年間、ディレクション局にて通信会社、食品会社、スポーツ関連企業等、さまざまなセクターのクライアントのPR戦略立案・実行に携わる。2014年から現職。企業広報のコンサルティングおよびPR戦略のプランニングに従事。

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