CES Asiaに行ってみた #03

イノベーション発信の主体となることでチャンスが広がる

  • Shingai
    眞貝 維摩
    株式会社電通 第5CRプランニング局 コミュニケーション・デザイナー/クリエーティブ・テクノロジスト

前回に引き続き、「CES Asia」に参加した電通人の視点からリポートを紹介する。


イノベーションのショーケース、CES AsiaとSXSWに出展

第5CRプランニング局の眞貝維摩です。今回、「Smile Explorer」の開発者のとしてCES Asiaでの出展に挑みました。3月に出展したSXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)との対比も踏まえて、出展者の視点からお伝えしたいと思います。

企業や生活者を取り巻く環境が大きな変革を遂げる中、広告会社もさまざまな課題を本質から把握する力を求められています。電通でも、課題の発見を起点とした新たなコミュニケーションの形の探索や、ソリューションのプロトタイピングに取り組み始めています。

そんなプロジェクトの一つ、コミュニケーション・ベビーカー「Smile Explorer」(スマイル・エクスプローラー)」は、「(親にとって)ちょっと大変な移動の時間を楽しくする、コミュニケーション・ベビーカー」というコンセプトのIoTベビーカー。ベビーカーの赤ちゃんをスマートフォンでモニターし、赤ちゃんが笑顔になった瞬間を自動的に撮影して地図上に記録します。赤ちゃんの笑顔をシグナルに、自然と親子のコミュニケーションを生み出し、さらにはベビーカーの行動ログと笑顔の位置情報が蓄積されたビッグデータから、親子連れの最適な街づくりやサービス開発に役立てることも視野に入れています(プロジェクトの詳細は「課題発見のためのプロトタイピング」をご覧ください)。プロトタイピングを経て、対外発表の場として今回CES Asiaに出展することになりました。

CES Asia
DANブースでは入口付近に展示

初めて参加したCES Asiaで強く感じたのは、すでに普及期に入りつつあるプロダクトが大半である、ということ。ブースを訪れる人もショールームのような感覚で、実際に製品を購入しようとする視点や意気込みが感じられました。そして、それは単に購買意欲が高いということだけではなく、市場の変化の早さを感じさせるものでした。新しいものがコモディティ化するのが早いということだけではなく、生活者も積極的に新しいものを取り入れようとする姿勢、勢いを持っているということが印象的でした。そのせいもあってか、「これは何ができるのか」ということだけでなく、「ベビーカーとスマホはどれくらいの距離まで接続可能か」「このパーツの素材は何か」というような細かなことまで踏み込んだ質問をされたりもしました。

CES Asia

3月に米テキサス州オースティンで開催されたSXSWのインタラクティブ部門でも出展しましたが、「課題解決型」のイベントとも言われ、単なる展示会ではなくイノベーションを生み出す場となっています。CES Asiaとは対照的に、スタートアップを中心に、大手企業も実験的なプロトタイプを中心に展示していました。私たちのプロジェクトも、まさに課題を起点としたプロトタイピングでしたので、発表の場としてはより適したかもしれません。ブースでも、「ベビーメーカーの社長の友達がいるから紹介してあげるよ!」などと声をかけられたりしました。

ローカルニーズに触れ、新たな視点が開ける

CES Asiaに出展して大きな収穫を得たと感じたのは、実際に中国のローカルニーズに触れることができたことです。例えば、最も顕著だったのが大気汚染を把握したいというニーズ。子どもは一層影響を受けやすいものですが、現地に来て初めて気づかされた視点でした。日系メーカーの現地拠点でスマホ連動型の大気汚染センサーを開発している人との出会いもあり、実際に中国市場向けに製品化を進める際には協働の可能性も生まれました。

現地のニーズを感じることができたのは、SXSWでも同じです。「アメリカではベビーカーでランニングする人が多いから、親の笑顔も一緒に記録できるといい」「フランスではベビーカーは中古で買うことが多いから、デバイスはアタッチメント型の方がいい」というように、開催地の米国を始め、国際色の強いイベントらしいさまざまな地域からの視点に触れることができました。さらに、ある日系企業の研究所の所長から「映像でも残せば、子どもの言語発達の研究に役立つのではないか」、またIT大手のテクノロジストから「スマイルピンに時間の概念を追加してはどうか」など、SXSWの地だからこその多様なフィードバックが印象的でした。

主体のなることの大切さ

今回、一番大切だと感じたのは「発信の主体となること」です。普段、私たちの仕事はクライアントの裏方に徹することが多く、展示会場でも日系企業の方などから「え、あの電通さんですよね」というような驚きの声が上がったりしていました。

でも、こうして電通が主体となって新しい何かを生み出し、それを対外的に積極的に発信していくことで、世の中のさまざまな課題に対してソリューションを提供できる機会もまた広がっていくのではないかということを、SXSWとCES Asiaでの出展を通して強く実感しました。

課題解決のアイデアは、アイデアのプレゼンテーションだけで終わるのでなく、社会の中で実際に形になってこそ、その真価を発揮するものです。私たちも、今回の出展で得た様々なフィードバックや手応えを受け止め、実際にSmile Explorerを製品として世に出せるよう活動を続けています。その成果をまたご紹介できる日を目指し、頑張りたいと思います。

Smile Explorer
(参考)上記画像をクリックするとSmile Explorerの公式サイトで説明動画をご覧いただけます

プロフィール

  • Shingai
    眞貝 維摩
    株式会社電通 第5CRプランニング局 コミュニケーション・デザイナー/クリエーティブ・テクノロジスト

    2012年電通入社。
    戦略、コンセプトメーキングからクリエーティブまで一貫したプランニングを行う。
    テクノロジー領域を得意としており、デジタルプロモーションの他、サービス開発やプロダクト開発なども手掛ける。
    Music Hack Day Tokyo 2015 最優秀賞など。

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