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デジタル活用で成果を出すにはNo.18

ランディングページの見直しでコンバージョンが150%アップ!

2016/06/14

前編に続いて、電通デジタルマーケティングセンターWebインテグレーション部の竹下康介さんと、ネクステッジ電通の制作ディレクショングループの原田洋平さんに、ダイレクトレスポンス広告のクリエーティブや運用について聞きました。
※株式会社ネクステッジ電通は、2016年7月1日付で「株式会社電通デジタル」となりました。
(左から)電通の竹下康介さんと、ネクステッジ電通の原田洋平さん
(左から)電通の竹下康介さんと、ネクステッジ電通の原田洋平さん

ターゲットの見直しでコンバージョン率が150%アップ

──前編では、ダイレクトレスポンス広告で効率を重視するばかりに、ターゲットを狭めてしまうというお話がありました。反対に新しい顧客ターゲットを見つけて成功した事例はありますか?

原田:新規申し込みの獲得を目的にしたランディングページの事例があります。ウェブ関連のサービスを展開するクライアントだったのですが、サービスの普及が進むにつれて新規顧客の獲得が伸び悩むという課題をお持ちでした。利用意欲の高いユーザーがすでに顧客化され、これまでのターゲット設定では頭打ちという状況だったため、ランディングページのターゲットを広げ、内容の見直しを提案しました。

それまでのランディングページは、サービス理解度の高いユーザーを対象にしていたため、詳細な仕様説明や専門用語を使ったコンテンツが中心で、理解度の低いユーザーにはハードルが高くなっていました。コンテンツの内容を整理し直し、初心者にも分かるように平易な表現を使ったコンテンツに変更したところ、コンバージョンが150%アップしました。これまで、獲得できていなかった層のユーザーからの申し込みが増えるようになったんです。

(左から)電通の竹下康介さんと、ネクステッジ電通の原田洋平さん
コンテンツの内容を整理し直し、初心者にも分かるように平易な表現を使ったコンテンツに変更したところ、コンバージョンが150%アップしました

──ダイレクトレスポンス広告のコミュニケーションとは?

竹下:ユーザーの心を動かして「買いたい」と思ってもらうためには、コピー、バナーをつくるときにどんな人にどう伝えたら反応してもらえるかを考えなければなりません。小さいバナーだからといってスピード優先、大量生産、大量消費という考えで運用していくと、目先の成果に振り回される状況に陥りがちです。

「こんな商品・サービスを待っていた」と思ってくれる人がどんなユーザーなのかを考えて、両者をつなぐのがダイレクトレスポンス広告です。

良い成果を上げられた事例では、クライアントを含めたチーム全体での合意形成ができていて、目指すことが明確になっている場合が多いですね。クリック率など瞬間的な数値だけを見て判断するのではなく、クリックした後に最終的なコンバージョンまで達したのか、一連の施策全体を見ることが重要です。そのためには、みんなで近くの数字を見るだけでなく、一歩引いた視点から俯瞰して判断できる人が必要です。

失敗しがちなのは、自分の持ち場だけで各自が最適化し始めるケースです。例えばクリックされやすいバナーというものがあります。セクシーな画像や衝撃的な画像はクリックされやすいですが、クリックした先にあるコンテンツがその期待感に応えられなければ(笑)離脱率が高くなりますし、ユーザーも2回目からは「だまされないぞ」となってしまいます。ただ数字を上げるだけではなく、誠実なコミュニケーションを心がける必要があります。

ネガティブアプローチがあふれるインターネットの世界の不幸

──ダイレクトレスポンス広告のクリエーティブの課題について教えてください。

竹下:ダイレクトレスポンスでは、心理変容を起こすことが必要ですが、そのために押さえるべき要素や手法というのがある程度決まっています。その手法の一つがネガティブアプローチと呼ばれるもので、「その体型で海に行けますか?」というようなコンプレックスを刺激する表現です。導線としては、バナーでドキッとさせて、その先のランディングページで救い(商品)を見せるというもので、これはデジタルマーケティング以前からあるパターンです。

デジタルマーケティング以前からあるダイレクトレスポンスの場合は、広告の入口がネガティブでも、その直後に解決策が提示されるので、広告全体としてはポジティブな方向でコミュニケーションが完結するようになっていました。

しかし、デジタルマーケティングの場合、バナーでネガティブなことを伝えた後、解決策はクリックした先にあるため、ネガティブとポジティブが分断されてしまいます。ネガティブな表現だけが目につきやすいところに、ばらまかれてしまっているんですね。業界内でも、「過度な表現は控えよう」という流れが生まれつつありますが、コンプレックスを刺激する表現はクリック率やその後のコンバージョン率が良いケースも多いので、なかなか抜け出せないのも事実です。

(左から)電通の竹下康介さんと、ネクステッジ電通の原田洋平さん
コンプレックスを刺激する、ネガティブな表現だけがばらまかれてしまっている

ただ、クリックしない大半のユーザーにとっては、「そんな表現は見たくない」「こんな広告を出す会社は嫌いだ」とマイナスの評価になりますし、インターネット、デジタルマーケティング全体の信頼を損ねることにもなります。小さなバナーでブランディングをしていくのは非常に大変ですが、度を越した表現で嫌われるのは簡単です。

コンテンツマーケティングとダイレクトレスポンス広告の融合でできること

──今後ダイレクトレスポンス広告はどうあるべきだと思いますか?

原田:ダイレクトレスポンス広告は、明確な目的のもとでPDCAを回していく必要があります。近年は、フィード型のように一見で広告と判断できない広告が普及してきました。記事だと期待してクリックした先が、商品をただ紹介するだけの広告であった場合、ユーザーは「だまされた」という気持ちになり、結局離脱してしまいます。ダイレクトレスポンス広告にしてもフィード型広告にしても、ユーザーの気持ちと、ブランドとしてのコミュニケーションのあり方を考える必要があります。

フィード型広告の場合、広告と切り離して捉えがちなコンテンツマーケティングの考え方に似ていると思います。ブランドとして潜在的なユーザーへ有益なコンテンツを提供し、少しずつ自社商品への興味を高めてもらい、最終的にお客さまになっていただくというような、リードジェネレーションの考え方ですね。このような施策は、ブランディングとダイレクトレスポンス広告を融合して設計していく必要があると思います。ネクステッジ電通では、ダイレクトレスポンスを専門とするメンバーとコンテンツ企画を専門とするメンバーが同じチームでサービスを提供していますので、独自のソリューションを提供できます。

竹下:デジタルマーケティング以前のダイレクトレスポンスとは、「あえて」やるものでした。流通経路や事業規模の問題で、店舗を持たずに電話やはがきで受注して届けるという手法をあえてとっていたのです。そのころは、チラシ、購入した人へのカタログの送付やダイレクトメール、電話など接点も限られていましたから、ある程度フレームにはめやすく、成功パターンもありました。

一方、デジタルマーケティングはダイレクトレスポンスそのもので、いつの間にかそれが当たり前になり、逆にブランディングが置き去りになるような、旧来の流れとは逆転した現象が起こっています。しかし、デジタルマーケティングも手法やテクニック論だけで勝てる時代は終わり、既にダイレクトレスポンスとブランディングの両方から考えないと成功しない時代になっています。本質的な意味での「マーケティング」を考える必要があります。

デジタルマーケティングでは、テクノロジーの進化によりできることが爆発的に増えているので、ツールや手法が注目されがちですが、ツールを目的にするのではなく、ユーザーに届けて「楽しい」「大好き」という体験を提供して、ユーザーから選ばれる存在になるためには、何をどう使うかを考える必要があります。

これまでは、バナーやランディングページだけがクリエーティブとされていましたが、今はタイミングや場所などを含めたユーザーとの接点全てがクリエーティブのソリューション領域になっています。

これからは、今までよりもっと広い意味での「デジタルマーケティング」の設計能力が求められます。そして、電通には長い歴史の中で培ってきたマーケティングやコミュニケーションの知見があるからこそ、変化の激しいこの時代においても、本質的な価値を提供できるのです。


ネクステッジ電通は、2016年7月から「電通デジタル」に合流します

電通デジタルが提供する主なサービスのうち、パフォーマンスマーケティング、デジタル広告運用領域を中心に、引き続きクライアント企業の「成果」に立脚し、事業の「成長」の一端を担うべく業務に取り組んで参ります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。