インサイトメモ #19

ロンドンオリンピックとメディア視聴環境の変化

  • メディアイノベーション・ラボ
    株式会社電通

〈 掲載日:2012.07.27 〉

今回のインサイトメモは、ロンドンオリンピックが開催されることで変化するメディア視聴環境について考察しました。

■ 3,687億円の国内消費押し上げ効果

ロンドンオリンピックは2012年最大のイベントであり、開催国のイギリスのみならず、世界中に莫大な経済効果を生むと 言われています。日本に限っても、デジタル家電、飲食関連を中心に3,687億円の直接的消費押し上げ効果があることが分かりました(2012年3月に電 通総研試算)。中期的には、8,037億円もの経済波及効果が期待されています。

■ 視聴スタイルの多様化で8時間の時差と戦う

今回のオリンピックは、多くの競技が日本時間の深夜に行なわれるため、日本とイギリスの時差(サマータイムで8時間)を どう捉えるかで視聴形態が大きく変わってきます。ライブ視聴を行なう場合は、時差と寝不足と戦わなければなりませんが、レコーダーなどで録画したものを見 る場合には翌日以降の視聴にはなってしまいますが寝不足にはならないでしょう。ユーザーライフスタイルによって、オリンピックを視聴する態度に違いが生じ てきます。実際、電通総研の調査でも、「どのような手段でロンドンオリンピックの試合を観戦したいか」という質問に「自宅のテレビで中継を見る」が 87.5%、「自宅のテレビやレコーダーに録画して、後から見る」が21.3%ということで、圧倒的にライブ視聴の割合が多いものの録画で視る視聴者も一 定程度存在することが分かります。更に、スマートフォン向け放送「NOTTV」では、オリンピックの生中継放送と録画放送が行なわれるなど、時差を気にせ ず試合を楽しめる環境が整ったと言えるでしょう。

■ ソーシャルメディアとの連携で盛り上がりが加速

開催期間前には、インターネット上の専門サイトに応援する映像を投稿してもらうことで選手を元気づけようという試みを行 なったほか、開催期間中になると競技に参加した選手からのメッセージを閲覧できる仕組みを構築しました。他にも視聴者同士で放送を視ながら選手を応援する といった機能を搭載した「視聴者参加型アプリケーション」によって、ライブ視聴ならではの楽しみと興奮を提供するという取り組みも生まれています。電通総 研が行なった調査でも「オリンピック中、試合を観戦しながらソーシャルメディアを利用したい」と回答した人が全体の15.7%存在しました。若年層ほどそ の傾向が強く、特に20代は30.0%が「Yes」と回答しました。ロンドンオリンピックをリアルタイムでテレビ観戦しながら、ソーシャルメディアを利用 する若年層が大きく増えるでしょう。

オリンピック中、試合を観戦しながらのソーシャルメディア利用

■ オリンピックを契機にインターネットによる生中継視聴が加速

米国では全302種目の決勝戦を含む3,500時間以上の試合を生中継します。インターネットに繋がる環境があれば、タブ レット端末などでほぼリアルタイムで視聴することが出来ます。通信と放送の融合を主導する英国でも2,500時間をインターネット上で無料生中継します。
日本でもライブ中継しない競技に関しては、インターネット上で放送する動きもみられます。日本民間放送連盟(民放連)は、民放テレビ132社がロンドンオ リンピックの共同公式動画サイト「gorin.jp(ゴリンドット・ジェイピー)」を開設し、150時間分の試合をインターネット上でライブ視聴出来る環 境を整備しました( NHKのインターネット生中継では約1,000時間)。gorin.jpの制作および運営はプレゼントキャストに委託され、民放テレビ132社は北京オリ ンピック以来、大会ごとにgorin.jp を運用しており、今回が3回目となっています。
このように各国で通信と放送の融合時代に備える動きが顕著にみられることから、2012年はロンドンオリンピックが切り開くインターネット中継元年と言えるでしょう。

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    電通総研メディアイノベーション研究部では、メディアや情報通信環境の変化を着実に捉え、進化し続けるオーディエンス(視聴者)の動向を探っていきます。
    世の中のキザシをいち早く発見し、オーディエンスとの「最適なコミュニケーション」を提案しています。

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