宇宙と企業をつなぐコミュニケーターたち #01

「感じる宇宙」から「使える宇宙」へ

「宇宙」への視線が熱さを増している。そんな中、広告コミュニケーションの世界には、さまざまな企業と宇宙のマッチングをあれこれ模索し推進しているプランナーやチームが存在する。ここでは、現場で活躍中の電通のコミュニケーター3人に、企業と宇宙のコラボレーションの実践事例や可能性を聞いてみた。3回シリーズで紹介する。

電通 CDC 小田健児氏
小田健児氏

宇宙を見えるようにしてきた数々の実績。

もともと宇宙好きだったこともあり、これまでに宇宙を使ったさまざまなクリエーティブやキャンペーンに携わってきました。きっかけは6年前、電通にいらしていたJAXAの上村俊作氏との出会いで、そこから一気にいくつもの宇宙案件に取り組み始めました。

そうした取り組みテーマの中で最も意識してしてきたのは「見えにくい宇宙を見えるようにして身近にする」こと。例えば、リクルート・タウンワークの「宇宙バイト」シリーズでは、地上で行っているアルバイトは果たして宇宙のような空間でもできるかを実験。ウェブですぐ話題になりテレビCMまで展開されました。また、世界初の宇宙飛行士体験アプリ「kibo360°」では、国際宇宙ステーションの内部がアプリ内であらゆる方向に360度リアルに再現されました。

2012年には、グーグルの「ハングアウト」という当時登場したばかりのコミュニケーションツールを使って、国際宇宙ステーションに滞在中の星出彰彦宇宙飛行士と、自宅のパソコンやスマートフォンから全国みんなで同時にビデオチャットする「THE SPACE HANGOUT」が実現。ネットを介し、みんなで宇宙とつながる世界初の試みとなりました。その他、14年に打ち上がり20年に帰還予定のJAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」では、6年の長期にわたる応援キャンペーンも行われています。

宇宙技術を使って“究極のカンファタブル”をつくる。

そして今年の6月、より本格的な宇宙への取り組みを行うために、電通社内の横断組織として「宇宙ラボ」を立ち上げました。宇宙を使ったクリエーティブやキャンペーンはもちろん、商品やサービスの開発ローンチも考えています。これまでも、この宇宙ラボのメンバーは、衛星写真をデザインに利用したダウンジャケットや、切手を貼って投函すると紙飛行機の形そのままに手紙が届く手紙セットなど開発しています。今後も、アイデアとテクノロジーの組み合わせでさまざまなものを形にしたいと考えています。

具体的には、いろいろな企業の商品やサービスに、宇宙だからこそ生まれるアイデアやテクノロジーを提供して、新たな形を探していく。バイトの新ジャンルを生み出した「宇宙バイト」も、求人情報誌におけるひとつの商品が開発されたケースといえます。BtoBの開発もあれば、BtoCの開発も可能。教育やスポーツ、都市開発など、衣食住含む全ての分野で、宇宙にまつわるアイデアとテクノロジーの掛け合わせができるのではないでしょうか。「感じる宇宙から使える宇宙へ」とテーマのステージを上げて、宇宙のさまざまなリソースで人々の生活をカンファタブルにすることを追求していきたいです。

こういった宇宙ラボの活動の中で、JAXAや民間ベンチャーの取り組みが加速していけばうれしいですね。宇宙開発のコンペティションなども、もっと広く一般に開催されると、さらに活発化するでしょう。宇宙技術はITと成長過程が似ており、どこかでブレークスルーが起きるはず。そのきっかけになればと思います。


 
宇宙ラボ
Dentsu Space Lab

正式名称:DENTSU SPACE LAB。宇宙の多様なリソースを、企業のソリューションや生活者のエンターテインメントのツールとして「使えるように」変換し可視化していく創造集団。活動テーマは「Ultimate Comfortable」。ひとりでも多くの人類が快適に笑いながら暮らせるように、の願いが込められている。CDC澤本嘉光ECDをチーフとし、小田健児を中心とした気鋭のクリエーター陣をコアメンバーとしつつ、最終アウトプット追求のために電通グループ内外の多様な人的リソースを柔軟に取り込んで運営していく。
www.dentsu-space-lab.jp

宇宙ラボメンバーの一部
宇宙ラボメンバーの一部
 
宇宙バイト

~特殊な空間でのバイトが話題に~

宇宙のような環境で通常のアルバイトができるか実験。15年1月の第1弾では、応募者が無重力空間でフライパン返しや引っ越し荷造りに挑戦した。多くの若者の支持を受け、現在もシリーズ展開として継続中。

宇宙バイト
 
 
 
kibo360°

~世界初の宇宙飛行士体験アプリ~

国際宇宙ステーションの内部を360度あらゆる方向に完全再現。画面にステーション内部が表示され、端末を持って歩くと、その動きに合わせて画面も動く。アップストアの2013年教育部門ベストアプリで総合ランキング1位にも。

kibo360°
 
 

プロフィール

  • Oda kenji pr
    小田 健児
    株式会社電通 CDC

    次世代のテクノロジーを使った今までにない新しい表現や体験の企画・クリエーティブディレクションを行う。ファッションの概念を変えた「あそべるTシャツ」やアルバイトの新ジャンル「宇宙バイト」など、遊び心をテーマにしたインタラクティブなクリエーティブが特に得意。電通の宇宙に関する相談窓口「宇宙ラボ」(DENTSU SPACE LAB)代表。One Show GOLD他国内外の賞を受賞。

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