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広がり続けた「ドラゴンクエスト」その力となったもの

2016/09/06

今年5月27日に30周年を迎えた「ドラゴンクエスト」。社会現象にもなったこのシリーズは、ゲームの枠を超え一つのブランドに進化している。その背景にあるのは、ドラゴンクエストがもたらす「人とのつながり」だと生みの親である堀井雄二氏は語る。
30周年プロジェクトを担当した電通の谷澤伸幸氏が作り手の思いとシリーズの未来について話を聞いた。

堀井氏

人との関係性を育んだことが、30年につながった

谷澤:30周年おめでとうございます。今はどんなお気持ちでしょうか。

堀井:30年というのは、なかなか実感が湧きません(笑)。無我夢中でやっているうちにここまで来た印象で、「よく続いたなあ」と、びっくりしています。30周年のイベントにも参加し、感激しました。実は、ドラゴンクエストの誕生日(1作目が発売された5月27日)をちゃんと意識して祝えたのは、30年で今回が初めて。ドラゴンクエスト初の誕生日イベントだったんですね。多くのファンの方々と、これまで関わった多くのスタッフと共にその誕生日を迎えられたことが、すごくうれしかったです。

谷澤:ドラゴンクエストが、人々に長く愛される理由は何だと思われますか。

堀井:ドラゴンクエストをプレーしているうちに、友人と「どこまでクリアした?」と張り合ったり、仲良くなったりという「人との思い出」が生まれ始めました。親に怒られた人もいるでしょう(笑)。一種のコミュニケーションツールになったのかもしれません。その思い出があるので、新作が出ると「またやろうか」と買っていただけたのではないでしょうか。

 

ゲームだけでなく、いろいろなドラゴンクエストとの触れ合いを

谷澤:さらにドラゴンクエストはゲームの枠を超え、誰もが知るコンテンツになったと思います。例えばゲームをしたことがなくても、スライムを知っている人は多いですよね。

堀井:その意味では、鳥山明先生と、すぎやまこういち先生に携わっていただけたことが大きかった。素晴らしいキャラクターと音楽があったからこそ、あの世界観ができました。自分にとっても大切な巡り合わせでしたね。

谷澤:30年にわたり、ゲームづくりで心掛けていることはありますか。

堀井:ユーザーをちょっと驚かすことですね。ゲームに小ネタをたくさん仕込むのもその一つです。それと、今の人たちは「参加型」の楽しみ方が好きですよね。SNSの発信もそうですし、30周年のイベントでも積極的に参加してくれている。もともと、ドラゴンクエストは主人公の名前を自分で決めるなど、ユーザーが自分で旅しているような気持ちになることを目指していました。旅を通して、戦ううちに強くなっていく。そこにユーザーが感情移入する。そういった参加型の要素はドラゴンクエストの軸ですし、今後さらに深めていきたいです。

谷澤氏

谷澤:ゲームやドラゴンクエストの未来において、新たに求められる要素もあるのでしょうか。

堀井:昔はゲームが貴重で、皆が時間を割いて遊ぶ主要コンテンツでした。でも今は、時間を使うものが山ほどあります。だからこそ、これからのゲームはどれだけ「自分からやりたい」と思ってもらえるか。そのためには、ゲームをやることで「ユーザー自身が何かを得られる」「人とつながれる」といったメリットが必要。ドラゴンクエストでも、そういったことを意識していきたいですね。

谷澤:スクウェア・エニックスさんから30周年プロジェクトを一緒にという話を2年前に頂き、あっという間にここまで来ました。今回の30周年事業では、多くの企業にも協賛いただいています。工夫の詰まったタイアップ企画もたくさん生まれました。

堀井:本当に感謝ですね。多様な企業が、一緒に30周年を盛り上げてくださっている。想像もしなかったコラボがたくさん出てきて、企業もドラゴンクエストを楽しみ、ブランドを生かしていることが伝わってきます。今後もゲームに限らず、いろいろな形でドラゴンクエストに触れる機会が広がるとうれしいですね!

ドラゴンクエスト誕生30周年記念ポータルサイト
http://www.dragonquest.jp/30th/