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B.LEAGUE開幕 ~アリーナスポーツの無限の可能性を追う

2016/10/21

    日本最高峰の男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」が9月22日、ついに開幕を迎えた。
    公式試合では世界初という全面LEDコートを核にした革新的な演出は、テクノロジーを駆使したクリエーティビティーが生み出す新たなアリーナスポーツ体験の可能性を示した。バスケットボールの未来を担うB.LEAGUEの狙いやビジョンをリポートする。

    B.LEAGUE
    ©B.LEAGUE

    日本における男子バスケットボールのトップリーグは、長らくNBL(ナショナル・バスケットボール・リーグ)とbjリーグ(日本プロバスケットボールリーグ)に分裂した状態が続いていた。国際バスケットボール連盟(FIBA)に問題視されたことにより2015年、日本バスケットボール界の再生に向けてタスクフォースが発足、Jリーグ創設時の立役者でもある川淵三郎氏が初代チェアマンに就任した。川淵氏の主導の下、同年4月、B.LEAGUE(ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ)が創設され、試合運営から競技規則に至るまで文化を異にする2リーグの統合プロセスに努力が重ねられた。

    そして訪れた9月22日、国立代々木競技場第一体育館で「アルバルク東京」対「琉球ゴールデンキングス」がティップオフ(試合開始)。ついに「Bリーグ」が開幕を迎えた歴史的な瞬間だった。ソフトバンク、ソニー・ミュージックエンタテインメント、富士通、カシオなどスポンサー陣をパートナーに、日本バスケットボールの競技力を高めていくとともにアリーナでのライブ観戦体験において新地平を目指す。

    B.LEAGUE
    ©B.LEAGUE
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    ©B.LEAGUE

    全面LEDコートを包む大音響
    アリーナを舞台にエンターテインメント性を追求

    B.LEAGUEのエンターテインメント性へのこだわりを象徴したのが、開幕戦での全面LEDコートを使った演出。パフォーマンスへの影響や耐荷重など、緻密な検証実験を選手らと共に繰り返しついに実現した。オープニングでのコートが中央から崩れ落ちるかのような演出には、観客席から大きなどよめきが起こった。

    B.LEAGUE
    ©B.LEAGUE

    バスケットボールにおいて音楽も重要な要素。協賛社であるソニー・ミュージックエンタテインメントの協力の下、クリエーティブユニットPKCZによる公式アンセムやShuuKaRenによる開幕戦テーマソングを制作。当日のハーフタイムにも登場し、ソニーのペンライトシステム「フリフラ」による光の会場演出と共に盛り上がった。

    B.LEAGUE
    ©B.LEAGUE

    B.LEAGUEのデザインへの強いこだわりは、ロゴやグッズなど随所に見られる。東京開幕戦のチケッ
    トはクレジットカード型の特別仕様。“カウントダウン”カレンダーとセットで、歴史的瞬間の一生の
    記念としての保存性も意識した。チケットは販売開始から20分で完売。

    B.LEAGUE

    今日のそして未来の “ブースター”をつかむコミュニケーション

    フジテレビが開幕戦を、日本バスケ界初の全国ネット・ゴールデンタイム生中継。5月24日の制作発表から当日に向けて、報道やスポーツ番組、27時間テレビ、イベント「お台場冒険王」など、あらゆる番組やイベントで告知を図り盛り上げた。試合の模様はNHK-BS やスポナビライブ、LINEライブでも同時中継され、ヤフーの検索ランキングでは20のキーワードのうちB.LEAGUE関連が19を占めるなど、ネット上でも話題を集めた。

    B.LEAGUE

    集英社の全面協力で『メンズノンノ』とコラボレーションした『Bリーグバイブル』は、アマゾンの予約販売で完売、発売前に重版されるという異例の事態となった。AR(拡張現実)での仕掛けが搭載された表紙には、Bリーガーたちと三代目J Soul Brothersの岩田剛典さん、山下健二郎さんが登場。プロモーション動画では、人気選手や “ブースター(” バスケファン)として女優の広瀬アリス・すずさん姉妹らが、バスケの技であるスピニングボールを披露した。


    Special Interview
     

    デジタルマーケティングで観戦体験を進化させる

    B.LEAGUE チェアマン 大河正明氏

    B.LEAGUE

    B.LEAGUEは従来の2リーグが合併したのではなく、新しい指針の下で新しいリーグを設立し、そこに旧リーグのクラブが参加する形で成立しました。その狙いは三つ。まずは、日本の競技力を底上げし、世界に通用する選手やチームを生み出すこと。2019年に中国で開催されるFIBAワールドカップに向けて、選手の育成や強化を図っていきます。

    二つ目は、エンターテインメント性の追求。室内競技であることを生かし、音や光などを使った演出・参加型のイベントなど、試合以外の時間も観客に満足してもらえるようにしたい。そして三つ目は、「夢のアリーナ」の実現。先日の開幕戦では、公式戦では世界初となる全面LEDコートや国内最大のつり下げビジョンを導入しました。バスケットボールが産業として成長し、一流の選手、1億円プレーヤーが出てくるようになるには、体育館ではなく「アリーナ」という非日常の空間をどこまで用意できるかも大きな要因だと考えています。

    B.LEAGUEは、プロリーグとしては日本で初めて、全チームのデータを統合したデジタルマーケティングにも力を入れていきます。日本のバスケ人口の層は厚く、サッカーに次ぐ65万人の競技登録者に加えて、趣味でプレーを楽しむ「エンジョイ層」も多い。顧客データベースの構築は、B toCビジネスの基本。バスケットに関わる一人一人の満足につなげていきたい。さらに、最新テクノロジーを選手の能力向上や戦略分析、観戦体験の拡張に取り入れるなど、ソフトバンク、富士通、ソニー・ミュージックエンタテインメントなどのパートナー企業ともウィンウィンの関係を構築しながら、B.LEAGUEの魅力を高めていきたいと思っています。

    BリーグのスローガンはBREAK THEBORDER。従来の常識を打ち破りながら、若者を中心としたファン層をしっかりと捉えて進化していきたいですね。