スパイクスアジアに参加して #03

5分で分かるスパイクスアジア2016
~トラディショナルメディア篇~

  • 木下 舞耶
    株式会社電通 第1CRプラニング局 コピーライター

はじめまして、電通第1CRプラニング局のコピーライター、AmeriKansai-jinの木下舞耶です。時間のない皆さまのために、スパイクスアジア2016においてフィルムと、 プリント& パブリッシングの2部門のポイントだけをカバーしました。つまり、これを読めばアジアのどこに行ってもドヤ顔で広告を語れます!

【フィルム部門】

◆インドの父は洗濯をする。日本の父は蛍になる。

 

インドからのゴールド受賞作のDADS #SHARETHELOADは、家庭の中の男女平等を洗濯という視点から語ります。コピーの中にあるLoadという言葉は「重荷」と「洗濯1回分」というダブルミーニング。お父さんも洗濯という家事をすることで母親の荷を軽くすることができるというクレバーなハッシュタグになっています。このキャンペーンでは、服のタグについている洗濯表示マークで男女平等マーク(“Can be washed by both men and women”)を開発し、多角的なキャンペーンで成功しています。インドはカンヌライオンズのGlass lionでも分かるようにwomen empowermentやequalityがトレンドのように感じました。

 ― Gold ―

DADS #SHARETHELOAD
PROCTER & GAMBLE INDIA, ARIEL MATIC
BBDO, MUMBAI

DADS #SHARETHELOAD
 

一方、この日本のCMでは、お父さんが蛍になっています。このOCEDELのFIREFLY MANは、ザ・CMという構成のエンターテインメント。全体に漂う良いチープさがたまらない作品です。授賞式で流れたときも、その日一番の笑いが巻き起こりました。もう一本、日本から入賞していた資生堂のHIGH SCHOOL GIRL?も、クラフト性が高く海外メディアに多く取り上げられ、バイラルフィルムのゴールドとしてふさわしい作品でした。

 — Gold —

FIREFLY MAN
INDEPENDENT INCUBATOR, OCEDEL
ドリル 東京

FIREFLY MAN
 

◆金玉ボーイズ、ゴールド獲得!

 

オーストラリアからゴールドに輝いたのが男性下着ブランドのThe Boysというキャンペーン。カンヌでも受賞していたのでご存じの方も多いかもしれません。このシリーズは今年のスパイクスの中で、私の一番のお気に入り。英語では、男性がタマを形容する言葉は一般的にはballsですが、愛着を込めてmy boysと呼ぶこともあります。その、男性とタマとのspecial connectionに着目して生まれたのがThe Boysです。

CMでは、お風呂上りに、運動時に、剃毛の時に、ボーイズに訪れる困難を描くことで、男性視聴者に「下半身周りの心地よさ」を意識させることが狙いです。脚本も演技も抜かりなく、シンプルな作りなのにご飯三杯ぐらいはいける面白さ。アウトドア部門でも、ボーイズの上下運動で気温を伝えるデジタルOOHがゴールドを受賞していました。

 — Gold (キャンペーン)—

TALCUM POWDER
PACIFIC BRANDS UNDERWEAR GROUP AUSTRALIA, BONDS
CLEMENGER BBDO, MELBOURNE

TALCUM POWDER

 

TRIM
PACIFIC BRANDS UNDERWEAR GROUP AUSTRALIA, BONDS
CLEMENGER BBDO, MELBOURNE

TRIM

 

LUNGES
PACIFIC BRANDS UNDERWEAR GROUP AUSTRALIA, BONDS
CLEMENGER BBDO, MELBOURNE

LUNGES
 

◆グランプリは、オーストラリアからの正統派

 

フィルム部門のグランプリを獲得したのは、ウエスタンシドニー大学のDENG ADUTというCM。新設されたミュージック部門でもグランプリを獲得しています。DENG ADUTという卒業生の実話を映像化したこの作品。スーダンで母と別れ少年兵となってから大学を卒業し弁護士になるまでの壮絶な人生をエモーショナルに描いています。やや憂えげだけどパワフルな音楽に、リッチでハードな映像は、NIKEのCMの雰囲気をほうふつさせます。アイデアのアプローチとしては正統派な気がしますが、音楽プロデューサーも監督も可能な限り強い布陣を集め、最高の仕上がりを目指したというところでしょうか。ちなみにカンヌでは、シルバーを受賞していました。「カンヌがダメでも、アジアで勝てばいいじゃない」とはこのことですね。

 — Grand Prix —

DENG ADUT
WESTERN SYDNEY UNIVERSITY
VCD+WE.COLLECTIVE, SYDNEY

DENG ADUT

 

【プリント& パブリッシング部門】

◆BURGER KING、プリント広告でも王者の貫禄。

 

 — Grand Prix —

MCWHOPPER
Burger King
Y&R, Auckland

プリント& パブリッシングのグランプリは、やっぱりBURGER KINGのMCWHOPPER!このキャンペーンがどれほど成功したかというところは、カンヌや他のスパイクスの部門でも語られると思いますので、ここでは割愛します。

 

◆マックは、バンコクの夜でもアイム・ラビニッ!

 

 — Gold (キャンペーン)—

LOVING THE NIGHT
McDONALD’S THAILAND
TBWA, Bangkok

BURGER KING快進撃の傍ら、同部門でゴールドを受賞したのがMcDONALD’S THAILANDのLOVING THE NIGHTというキャンペーンです。アウトドアクラフト部門でも、フォトグラフィーでゴールドを獲得しています。確かにグランプリほどのインパクトはない作品ですが、夜の街に溶け込むマクドナルドの看板をとらえたモノクロ写真のシリーズは、昼間のポップな雰囲気とはまた違ったイメージを醸成しています。最初は、よくクライアントが承認したな〜と思いましたが、マクドナルドはロゴで遊んでいる広告が多いので、これも許容範囲なのかもしれません。ちなみに、このキャンペーンではムービーもあります。何年か前にDroga5が手がけたPuma – The After Hours Athleteと考え方は似ていますね。

◆まとめ:南半球、強し。

MCWHOPPER無双、私イチオシのThe Boys、フィルムグランプリのDENG ADUTから分かるように、2016年のトラディショナル広告は、オーストラリア&ニュージーランドが明らかに強かった。また、広告賞の常連ではなく、「大学」がクライアントとしてフィルムのグランプリを取っていたのも、新しい。全体的には、カンヌと同じくFor Good色は薄めになってきているので、しっかりブランドコミュニケーションできている良いクリエーティブなら受賞の確率はかなり高いはず。ちなみに、今年のプリント& アウトドアクラフト部門はグランプリなしでした。デザインクラフトの強い日本なら、来年ここが狙い目なのでは?

プロフィール

  • 木下 舞耶
    株式会社電通 第1CRプラニング局 コピーライター

    アメリカ生まれ大阪育ちのAmeriKansai-jin。Emerson Collegeでマーケティング・コミュニケーションを専攻した後、2012年電通入社。電通ダイバーシティ・ラボ所属。飲料、ファッション、官公庁、モバイルアプリなど国内・海外問わずさまざまなクライアントのコピーライティング、CMプランニングなどを担当。趣味はスタンダップ・コメディー。

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