HAROiD #01

前代未聞の「視聴者同時参加型テレビCM」
~テレビの力、そして新たなCM手法の挑戦~[前編]

  • Tanaka kenichiro pr 2
    田中 謙一郎
    株式会社HAROiD 取締役副社長
  •      profile
    春田 英明
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター 事業開発室 事業コンサルティング1部長(兼)ラジオテレビ局 ビジネス戦略部
  • Shinpo yasufumi pr
    新保 泰史
    株式会社電通 ラジオテレビ局 ネットワーク1部 シニア・メディア・マネージャー (兼) 動画ビジネス推進部

日本テレビ系「踊る!さんま御殿!!」枠内で、9月20、27の両日、「絶対押すなよ! 氷結ゲット〜ダチョウ倶楽部のあの王道ネタにみんなで参加!〜」と銘打って各日とも1回のみオンエアされたテレビCM。参加視聴者は先着順によりコンビニで氷結1本を無料で受け取れるキャンペーンです。合計15万本のサンプリング商品を先着で得られる応募権利がすべて申し込み完了となり、成功を収めました。

視聴者同時参加という新たなテレビCMにチャレンジした、HAROiDの田中謙一郎氏、電通ビジネス・クリエーション・センター事業開発室の春田英明氏、電通ラジオテレビ局の新保泰史氏に、その手法、具体的な反響などについて聞きました。

左から、新保泰史氏(電通)、田中謙一郎氏(HAROiD)、春田英明氏(電通)
左から、新保泰史氏(電通)、田中謙一郎氏(HAROiD)、春田英明氏(電通)

テレビCMにスマホで参加。タップ数に応じて“氷風呂”の氷が割れる

 

─ キャンペーンはどのような仕組みでしたか。

新保:テレビCMを起点として、スマホを媒介にコンビニへの来店を促すという仕組みです。これまでにない、全く新しい仕掛けによって実現しました。CMにはダチョウ倶楽部さんが登場し、熱湯風呂ならぬ、氷に覆われた氷結風呂にまたがって「絶対押すなよ!」という王道ネタをやる。その氷はCGでスマホで参加すると、そのタップに応じて実際のCMの氷がリアルタイムで連動して割れていきます。最後には、上島さんが熱湯ならぬ氷のお風呂にみんなに押されて落ちるという進行です。

春田:参加した視聴者は先着順でクーポンコードが取得でき、それをコンビニの店頭の情報端末に入力するとキリンの氷結を1本もらえるクーポンが発券されるというのが基本的な流れです。

新保:オンエアは日本テレビ系で毎週火曜日の午後8時から9時にキリンが提供した60秒のCM枠を活用しました。最初はこの枠を確保するところから動きました。通常なら60秒CMを放送して終わりなのですが、今回はテレビCMを見た人がセカンドスクリーンのスマホで参加する、そしてコンビニに行ってもらうという、単にテレビCMを見て終わりではなく、実行動に移してしてもらう企画になっています。

「絶対押すなよ! 氷結ゲット〜ダチョウ倶楽部のあの王道ネタにみんなで参加!〜」と銘打って各日とも1回のみオンエアされたテレビCM

重要ステークホルダーのコンビニにクライアント自ら送客。Win-Winの関係を構築

 

─ キャンペーンを立ち上げた背景は?

春田:商品の認知度を高めたり、キャンペーンの世界観を伝えるという通常のテレビCMの効果にプラスして、リアルな売りに直結させたい、ということがクライアントの課題でした。

今回連動させた、コンビニ各チェーンは、キリンにとって重要なステークホルダーです。そこへの送客を図ることも営業支援の観点から重要なミッションでした。

新保:それとキリンにとっては、コンビニに販売スペースを確保することが重要でした。そこで、テレビを使って話題を喚起し、コンビニに足を運んでもらう。集客できれば販売スペースを継続的に確保する交渉材料になりますし、コンビニといい関係をつくれるのではないかと期待しました。

新保氏
新保氏

HAROiDと電通のタッグで生み出された、視聴者同時参加の“一大イベント”

 

─ 今までにない試みだったと思いますが、技術的側面はどうでしたか。

田中:HAROiDが設立時から目指していたのは、いわゆるO2O2O(オンエア・ツー・オンライン・ツー・オフライン)です。テレビからネットを通じて店頭へ導くというように、テレビの新しい価値をつくることを一つのゴールにしています。すでにHAROiDではデータ放送やスマホを使った参加型番組のシステムを日々運用しているので、運用ノウハウやシステムが構築されていました。

 

新保:60秒のテレビCMを流す中で、CG加工された氷をスマホでタップし、視聴者の行動に合わせて割れていくのはライブ(生放送)で行われました。視聴者が自ら行動を起こし自ら参加する、しかも全国一斉に。テレビとのシナジーを生みやすいのが、HAROiDの技術なのだと実感しました。

田中:氷のCGでは苦労しました。いかにリアリティーを持たせるか。視聴者のスマホのタップ数に応じて、いい感じに割れていくようにしなければなりませんし。そのためには、全視聴者のスマホからのタップをリアルタイムに全て取得し、それを集計し、テレビに描画することを実現する必要があります。システムとクリエーティブを高いレベルで両立することが求められます。

春田:技術的にはHAROiDでないと実現できない部分がたくさんありました。要するに、テレビでみんなが同時に参加するという、一種の“大イベント”をやったわけです。同時にやるというのは、すごく難しい技術なんです。

─ 告知はどのようにしたのですか。

新保:番組の中では、何時何分にCMが流れるかなどは言えないので、事前告知として、キャンペーンサイトを立ち上げたり、LINEやTwitter、Facebookなどで広告を展開。さらにクライアントのFacebookも活用するなど、ウェブ上での告知が中心でした。

田中:テレビCMとスマホ、そしてコンビニをつなげるという画期的な企画でしたから、各種ニュース媒体でも記事としてかなり取り上げてもらったことも後押しとなっています。

田中氏
田中氏

「絶対押すなよ!」というギャグネタをギミックに、「分かりやすさ」を徹底

 

─ クリエーティブはどのように決まったのですか。

新保:やはり、60秒という短い時間の中で、参加を促すものなので、パッと見て分かりやすい方が参加しやすいのではないかということは頭にありましたね。また、生放送で実施するので、インフォマーシャルとして日本テレビに制作してもらわなくてはなりません。クライアント、日本テレビ、HAROiDが協力して、クリエーティブをつくる結び付けは大切でした。

春田:最終的にはスマホを持ってコンビニに来店してもらう必要がある。テレビを見ている状態でスマホを取り出し、何らかのアクションをする。そこにクーポンを出したときのインパクトも大切でした。これがまず一つのコンセプトです。そして、やはり氷結というブランドの世界観である氷を登場させることになりました。

新保:定番中の定番である「絶対押すなよ!」というギャグネタを、こういうギミックで使うことで新しいエンターテインメントになるのはないかというのもありました。そうしたいくつかの組み合わせで、全員で議論していく中で誕生したクリエーティブです。

田中:普段は熱湯風呂に落とすのを、氷結ということで氷を割らせてそこに落とす。タップするという行動に移させるときに、「押すなよ!」といって押させる。そういうゲーム的な要素もあって、しかも自分がタップしたのが、テレビ画面に即座にカウントされて出てくる。視聴者みんなの力でやるので、参加感があるわけです。

新保:ただ、いろいろな案が出てきて、会議でもみんな悩みました。当然タレントのスケジュールもありますし。そこでダチョウ倶楽部というプランが出てきたときに、「それがいい!」と結構盛り上がりました。キリンサイドでもOK頂いた時は、面白いCMが出来そうなワクワク感はありましたね。

春田:コンビニなど流通サイドを含めて関与する人が多い中で、「ダチョウ倶楽部が出てきて氷が割れて落ちるんですよ」と本当に一行で内容を伝えることは分かりやすい表現だったと思います。シンプルで力強い企画であったためにコミュニケーションもスムーズにできたのではないかと思います。

春田氏
春田氏(右)

タップ数は600万回。視聴者が自ら動く、能動的なテレビCM手法を確立

 

─ オンエア当日の苦労や、その後の反響は。

新保:CM中のスマホタップ数でいうと、各日とも約300万回。60秒の中で前振りが40秒くらいしかありませんから、実際は20秒ほどの間にみんなが必死になって押しまくってくれたということですね。

春田:参加者には先着順で1回目は8万本、2回目は7万本のサンプルを用意していました。CM終了後、改めてスマホでクーポンコードを取得する仕組みです。それで、合計15万本分、全てが応募で埋まりました。特にスピード感がすごかったのが2回目で、翌日のお昼前にはもう全て発行できたんです。

新保:一般的にテレビというと、基本的にお茶の間で見る、どちらかというと受動的なスタイルで見ている、という印象が強いかもしれません。それを今回の企画では、テレビCMを通して能動的に行動させることができ、最終的には店舗に足を運んでもらえた、というテレビメディアの新しい可能性を感じました。そして、これからもさまざまな広がりがあることを改めて実感しました。

左から、田中謙一郎氏(HAROiD)、新保泰史氏(電通)、春田英明氏(電通)
 

プロフィール

  • Tanaka kenichiro pr 2
    田中 謙一郎
    株式会社HAROiD 取締役副社長

    2000年バスキュールに入社。テクニカルディレクターとしてユニリーバ、ナイキ、トヨタ、オリエンタルランドなどのデジタルキャンペーンにおけるインタラクティブクリエイションのチャレンジに関わる。カンヌ国際広告祭ゴールドなど国内外における多くのデジタル関連の広告賞を受賞。12年よりテレビを舞台にインタラクティブ化を推進するチームのリーダーとして多くのキー局の参加型番組の実現に貢献。15年5月よりHAROiDにフィールドを移し、テレビとインターネットによる新しい価値を模索している。

  •      profile
    春田 英明
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター 事業開発室 事業コンサルティング1部長(兼)ラジオテレビ局 ビジネス戦略部

    1994年電通入社。雑誌局で出版社担当業務の後、99年メディア・プランニング局に異動し、クロスメディア最適化プランニングシステムの開発や各種クライアントの統合プランニング業務を担当。その後、放送局を中心としたメディア・コンテンツ企業などとの新規/協業事業開発、コンサルティングを担当し2014年からビジネス・クリエーション・センターに所属。
    放送局のデジタル化、動画配信/セカンドスクリーンなど視聴環境変化への対応に向け、テレビコンテンツの新たな尺度による価値化や新規ビジネスプロデュースなどに従事している。

  • Shinpo yasufumi pr
    新保 泰史
    株式会社電通 ラジオテレビ局 ネットワーク1部 シニア・メディア・マネージャー (兼) 動画ビジネス推進部

    2006年電通入社。新聞局で日本経済新聞を中心に新聞全体のプランニング業務を担当、11年にラジオテレビ局に異動し、日本テレビ系列を担当。放送局の各種テレビ番組・スポーツ・イベント等に従事。現在も「テレビ×デジタル」をテーマとして、OtoOtoO(onair to online to offline)や動画配信ビジネスなどの広告主の課題解決に向けたソリューション開発に注力している。

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