HAROiD #02

前代未聞の「視聴者同時参加型テレビCM」
~テレビの力、そして新たなCM手法の挑戦~[後編]

  • Tanaka kenichiro pr 2
    田中 謙一郎
    株式会社HAROiD 取締役副社長
  •      profile
    春田 英明
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター 事業開発室 事業コンサルティング1部長(兼)ラジオテレビ局 ビジネス戦略部
  • Shinpo yasufumi pr
    新保 泰史
    株式会社電通 ラジオテレビ局 ネットワーク1部 シニア・メディア・マネージャー (兼) 動画ビジネス推進部

前代未聞の視聴者同時参加テレビCMとして展開された、「絶対押すなよ! 氷結ゲット〜ダチョウ倶楽部のあの王道ネタにみんなで参加!〜」。わずか60秒×2回、しかもライブでスマートフォンを使って参加するという制約の中で、「絶対押すなよ!」の連呼に反応し、約600万ものタップ数を記録しました。

前編に引き続き、技術面をサポートしたHAROiDの田中謙一郎氏、電通ビジネス・クリエーション・センター事業開発室の春田英明氏、電通ラジオテレビ局の新保泰史氏に、成功の要因、そして今後の展望などについて聞きました。

左から、田中謙一郎氏(HAROiD)、新保泰史氏(電通)、春田英明氏(電通)
左・田中氏

CMで視聴者同時参加の一大イベントをつくる。その可能性を証明

 

─ 今回のキャンペーンが成功した要因をどのように感じていますか。

新保:前代未聞の「視聴者同時参加テレビCM」として展開したわけですが、改めてテレビというメディアの力を再認識しました。視聴率を毎分で見ると、偶然かもしれませんがCMオンエア前に視聴率が上がっています。その背景には、PRをいくつか実施しましたが、キリンからのLINE告知も効果があったと思います。テレビを見るきっかけを身近なものから促してあげる。テレビCMが参加型コンテンツとして認められれば、視聴者は興味を持って能動的に見てくれる。企画次第で、行動を喚起させ、最終的には流通にもつながっていくということを経験できました。

田中:われわれとしてもテレビのパワーのすごさを感じました。例えばスポーツ中継とか、番組でいうと24時間テレビなどは国民的なイベントになっていますよね。そういう、みんなが集まる、みんなが見る、みんなが感じるということを、テレビCMで生み出すことができた。

テレビCMでもイベントがつくれる、お祭りがつくれる、ということを感じましたね。

春田:デジタルや技術というと、効率の向上といった方向で考えられがちです。加えて今回はそれらが、ものすごく面白いものを生むことに貢献した事例ともいえます。エンターテインメントになったんです。

テレビの力、技術の力、それを掛け合わせてエンターテインメントとしてのCMができた。それが全く新しい形でしたので、視聴者にすごく刺さったのではないかと思っています。

新保:テレビに合う形のデジタル展開だったと思います。60秒という時間の制約があって、しかもその日1回しかやらないし、オンエア時間も分からない。それが来たときに、「今、参加しなきゃ!」という「今」感が大事かと思いました。こちらとしては、今この瞬間に、今見ているあなたに届けているわけです。しかも先着順というギミックもある。余計に気分的にあおられて、みんなが参加してくれたのだと思います。

「絶対押すなよ! 氷結ゲット〜ダチョウ倶楽部のあの王道ネタにみんなで参加!〜」と銘打って各日とも1回のみオンエアされたテレビCM

視聴者がテレビCMのオンエアを待つ。そのとき、テレビCMはコンテンツになり、さらに効果を数字として見える化

 

─ 2週連続で展開したことの意味・効果はどのように感じていますか。

新保:2週連続には、やはり意味がありましたね。最初の週に「来週もやるから」と振っておいて翌週につなげる展開にしました。ですから翌週は、体験したことがある人は構えてくれたと思います。テレビには、視聴者の定期的な視聴行動がありますので、やはり効果が出たと感じています。

春田:Twitterを見ていると、2回目の27日には「もう流れた?」「まだ流れていない」といったやりとりがされていて。テレビCMのオンエアを待ってくれているユーザーもいるようでした。

新保:テレビCMを待ってもらえるのはうれしいことですよね。テレビCMにはコンテンツとしての価値があり、それを作れることが分かりました。今後は、よりデジタルとシナジー効果を生み出して、よりテレビCMの「コンテンツ化」を進めるという新しい道が開けるのではないか、と思っています。

新保氏
新保氏
 

春田:そういう意味では、もともとあるテレビのメディアパワーやテレビCMの力を今回の企画によって、より「見える化」できたといえますね。

新保:テレビでは、よく話題づくりということがいわれますが、話題づくりというのは数値化しにくいですよね。それが、今回の取り組みにより視聴者がどう行動したかを数字として具現化ができた。これはテレビに関わっている人間にとって、非常にうれしい結果でした。

春田:広告会社としては、そうしたデータをクライアントに見える化して届けられるのは喜びです。さらにクライアント側にとって、こうした出稿によって自社内にノウハウを蓄積できるというメリットもあると思います。

新たな取り組みに、関係者からは好評を博す

 

クライアントやコンビニサイドを含めて、反響はどうでしたか。

春田:コンビニサイドでいうと、企画説明に伺ったときからコンビニシステム担当者から「面白いね」といっていただいて、確認事項など煩雑な面もあったと思いますが、快く協力していただいて進められました。コンビニにも貢献できる可能性を秘めていると思いました。

新保:どこでもやっていない今回の取り組みは、クライアントにとっても新しいものでしたので、社内でも非常に反響があり、好評だったと聞いています。Yahoo!急上昇ランキングでは、2週とも上位(2位、4位)を獲得するなど、その日1回60秒のCMでここまで検索されることには驚きました。

その背景には、テレビの力を「見える化」することの難しさがあります。もちろん視聴率というものはありますが。それが今回は、行動として数字化できましたので、とても理解しやすいものとなりました。テレビを通してコンビニへの顧客の誘導という結果まで、データと数字をワンストップでクライアントに届けることができました。それが非常に良かったのではと思っています。

田中氏(左)
左から、田中氏、新保氏、春田氏

よりパワー、集客力あるテレビCMの可能性。新たなクライアント課題解決法に

 

今後はどのような展開が考えられますか。

田中:仕組みや仕掛け、技術はこのチームで確実に用意できることができます。ですから、われわれが用意した材料を使って、いろいろなことが企画できる。クリエーティブの方とも組んで、テレビCMを使ったイベントなどにも取り組んでいきたいですね。

春田:こうした場や技術を持ったチームにアイデアが組み合わされば、実際にこれだけの人がテレビCMで盛り上がり、行動に移すということが今回の企画で証明されたと思います。そういう意味では、クライアントの課題を解決する強力な手段が一つ増えたわけです。

やり方にはいろいろあると思っています。今回のようにタップしまくるというのもあるし、何か謎をみんなで解く、あるいはチーム対抗戦など、それこそアイデア次第で可能性は広がります。ですから、いろいろな人にこのチームに参加してほしいと思っています。

春田氏
春田氏
 

新保:デジタルとソリューションを掛け合わせるとテレビCMにも本当にいろいろな出し方があると感じました。それによってテレビCMの効果を「見える化」することができた。生みの苦しみで大変なことはたくさんありましたが、さまざまな切り口でさまざまなことにトライできるベースができたと思っています。

この財産をもとに、もっと効果的、もっと違う切り口で、クライアントにとってメリットのあるテレビCMの活用を提案していきたいと思っています。60秒を全国の人が同じタイミングで見て、行動に移させることができるのは「テレビならでは」なのではないかと思います。

田中:それによってブランドのファンが増えたり、ロイヤルティーを上げていったり。今までのテレビCMとは違った使い方が生まれたということですね。

また、今回はコンビニの情報端末を活用したのですが、店内にあるコピー複合機やWi-Fiも、動いたユーザーの受け入れに利用できそうです。この点では、HAROiDの出資元でもあるビーマップという会社と密に連携しており、ソリューションの拡充をされに広げていく計画です。さらには送客する先もコンビニだけでなくスーパーなど、さまざまな業種に拡大していける。これからいろいろ試行していきたいと思っています。

春田:今回のキャンペーンでは、全国ネットでライブで同時体験しているわけです。これまでは、その人たちとつながる手段もきっかけもあまりなかった。それが今回のような仕掛けによって、実際にデジタルでつながった。もともとテレビという場として成立しているところに技術を導入していくと、つながることができる。そこに意味があって、面白い部分であると思っています。

これからもこのチームを中心に、社内に仲間を募って、さらに新しいことにトライしていきたいですね。

左から、田中謙一郎氏(HAROiD)、新保泰史氏(電通)、春田英明氏(電通)
 

プロフィール

  • Tanaka kenichiro pr 2
    田中 謙一郎
    株式会社HAROiD 取締役副社長

    2000年バスキュールに入社。テクニカルディレクターとしてユニリーバ、ナイキ、トヨタ、オリエンタルランドなどのデジタルキャンペーンにおけるインタラクティブクリエイションのチャレンジに関わる。カンヌ国際広告祭ゴールドなど国内外における多くのデジタル関連の広告賞を受賞。12年よりテレビを舞台にインタラクティブ化を推進するチームのリーダーとして多くのキー局の参加型番組の実現に貢献。15年5月よりHAROiDにフィールドを移し、テレビとインターネットによる新しい価値を模索している。

  •      profile
    春田 英明
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター 事業開発室 事業コンサルティング1部長(兼)ラジオテレビ局 ビジネス戦略部

    1994年電通入社。雑誌局で出版社担当業務の後、99年メディア・プランニング局に異動し、クロスメディア最適化プランニングシステムの開発や各種クライアントの統合プランニング業務を担当。その後、放送局を中心としたメディア・コンテンツ企業などとの新規/協業事業開発、コンサルティングを担当し2014年からビジネス・クリエーション・センターに所属。
    放送局のデジタル化、動画配信/セカンドスクリーンなど視聴環境変化への対応に向け、テレビコンテンツの新たな尺度による価値化や新規ビジネスプロデュースなどに従事している。

  • Shinpo yasufumi pr
    新保 泰史
    株式会社電通 ラジオテレビ局 ネットワーク1部 シニア・メディア・マネージャー (兼) 動画ビジネス推進部

    2006年電通入社。新聞局で日本経済新聞を中心に新聞全体のプランニング業務を担当、11年にラジオテレビ局に異動し、日本テレビ系列を担当。放送局の各種テレビ番組・スポーツ・イベント等に従事。現在も「テレビ×デジタル」をテーマとして、OtoOtoO(onair to online to offline)や動画配信ビジネスなどの広告主の課題解決に向けたソリューション開発に注力している。

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