電通スマプラ #24

“インスタジェニック”よりも大事なこと~人気インスタグラマーに聞く、Instagramで愛される情報発信のコツ~

スマプラの世津です。この度、インスタグラマー活用支援に強みを持つTAGPICと電通の協業によって、Instagramの利用状況やインスタグラマーに関する調査を実施するチームが発足しました。前回は、主に閲覧するユーザー側から、Instagramのセルフキュレーションプラットフォームとしての役割について考察しましたが、今日は発信者にフォーカスします。

今回の記事に向けて、TAGPIC社代表取締役で、ご自身もインスタグラマーとして活躍されている安岡あゆみさんと共に、インスタグラマーの李雨瀟さんと中島絢乃さん、旅情報webマガジンLovetabiを運営し、インスタにも力を入れているRemiさんにお話を伺い、Instagramで人気を獲得するための秘訣をとことん教えて頂きました。マーケティングに携わるうえでのヒントもたくさん得ることができましたので、ご紹介したいと思います。
(インタビュー内容は一部再構成しています)

■愛される秘訣は、統一された「私らしさ」

 

世津:さっそくですがインスタってどんな場ですか?インスタのどんな所が好きですか?

李:画像1枚に対して、文章が書けて、コメントも来るところです。投稿することで、責任感が生まれます。日々生活している中で、大変な事や嫌な事や悲しい事もたくさんありますが、基本は笑って毎日をハッピーに過ごすことで、私はすごく救われているんですよ。だから自分が笑って、楽しそうにしている写真をアップします。29歳の今しかできないことを、インスタにも全面的に出しています。

中島:インスタだと、自分の気持ちがより伝わる気がします。投稿の1枚1枚に魂を込めています。

李雨瀟(り・ゆいしょう)さん(左)と中島絢乃さん(右)
李雨瀟(り・ゆいしょう)さん(左)と中島絢乃さん(右)
 

杉原:お二人は、インスタの中での自分らしさをどのようなところで出していますか?

中島:実は私、自分らしさの出し方が分からなくなる時があります。だから例えば2枚いい写真があったら、妹に「どっちが私っぽい?」って聞くんですよ。自分で盛れてると思った1枚を載せるよりも、他の人の目でみて私っぽいと思われる1枚を載せた方が、みんなの中の私のイメージが固まっていくと思うので。

李:私もインスタグラマーの友達とお互いどっちがいいか、聞きあっています。私が友達の写真を選んであげる基準も、その子っぽさが出ているかどうかなんです。どっちの方がかわいとか、盛れてるとか、商品がよく映ってるか、とかじゃなくって、直感的に、イメージが統一されているほうを選びます。自分の判断だけでこの世界観を統一していくのって、結構難しいんです。

世津杉原:客観的な意見を借りているというのは意外です!

 

中島:あと、女の子って憧れがないと同性の投稿を見てくれなくなっちゃうから、ナチュラルだけど1パーセントの憧れ要素を残した投稿を心掛けるようにしています(笑)。

■「私らしい」アレンジを、PRする本人に委ねることの大切さ

 

安岡:例えば、中島さんの投稿で、ドリンクのペットボトルのデザインと服のテイストがおそろいになっているの、多分PR投稿だと思うんだけど、これは服のテイストをわざと合わせたの?

中島:はい、合わせました。

杉原:これはクライアントが喜びますね。

中島:喜ばれました(笑)。私は、自分がかわいくないっていうことを、自分で分かっているんですよ(笑)。だからこそ、普通の投稿じゃダメだ、他の人とは違うひと工夫が必要だ、と思っていて。だからPR投稿をする時も絶対に、何か商品を紹介する理由をつけます。この商品だと、ペットボトルをどうやって載せよう?と思って超悩みましたもん(笑)。飲んでいるところを撮るように、っていう条件まであったので(笑)。

李:最近どんどんPR投稿の指定が細かくなってきています。例えば顔の近くで商品を持ったセルフィーにして下さいとか、商品画像が送られてきて、これをこのまま投稿して下さいとか。商品を遠目に持って、でも目線はそらしてください、っていう細かい構図まで指定されたこともありました(笑)。

安岡:細かい指定をしないほうがインスタグラマーの個性を生かしたアレンジができて、その人らしさが出せるのにね(笑)。

李:そう。細かすぎると、全員同じ投稿になってしまうので見ている側もつまらないですよね。もうちょっと何か他の要素を入れていきたいです。顔と商品を写したものだといわゆるPRっぽい写真になっちゃうので。

安岡:クライアントも、間に入っている広告会社も、そういったインスタグラマーの「工夫したい」という意思をふまえたオーダーをしてもらえるといいですよね。ある程度、パッケージがちゃんと見えるとか、競合商品と一緒に載せない、って言うぐらいの最低限の握りで、本人たちに選択肢を与えた方がいいです。厳しいデザイン規定の設定は、自社発信のクリエーティブでは有効だと思いますが、インフルエンサーを使ったPRでは、インフルエンサーなりの発信方法に任せた方が、効果もいいんですよっていうことを、私も言いたいです。

杉原:表現に、インフルエンサーの持つ個性が生かせる余地を残しましょう、ということですね。

中島:「絶対にパッケージを見せた画像にして下さい」とか言われますが、普段、パッケージを見せる投稿をすることってないじゃないですか(笑)。なので、最近はそのパターンで指示がきた場合、商材がコスメだったら動画に撮って投稿しちゃってます。

李:以前、商品を手に持って撮って下さいという指示が来たんですが、私の経験上、絶対そういう見せ方じゃない方がいいと思いました。私も普段から、投稿へのいいね!数が増えるように、いろいろな撮影パターンを試しているんです。一時期、顔の横で商品を持って、寄りの画角で映す、というパターンを試していたんですけど、最近はもう少し遠目から撮った方が、いいね!数が増えることが分かりました。コーディネート投稿の場合は、全身を映すよりも、ひざ下切りぐらいの方がいいね!が多くついたりします。あとは、投稿する時間にも左右されます。

李雨瀟(りゆいしょう)さん
李雨瀟(りゆいしょう)さん
 

中島:ハッシュタグとか文章もそうですね。PR案件で指定されたハッシュタグは、なるべく文章を邪魔しないよう自然に入れ込んで、それ以外のハッシュタグはコメント欄に入れちゃいます。

安岡:PRで指定されたハッシュタグの使い方ひとつでも、インスタグラマーたちの方がうまく画像と関連づけて入れられます。細かく指定しすぎるのもよくなくて、クライアント名だったりとか、キャンペーンだったらキャンペーン名のハッシュタグぐらいにしておいて、あとは各自お任せにする方が、いいんですよ。

■うそはつかない、自然な文脈でのPR発信

 

李:個人的には、自分の感じたことを自然に投稿しているんだけど、やっていることはPRだったりするんですよね。

中島:難しいですよね。だから私は、投稿の中でうそをつかないようにしています。例えば、今までに使ったことのない商品を紹介する場合は、ちゃんとそのことをコメントに書きます。使っていない商品なのに、「ずっと使ってるよ」って書くのはうそになるので嫌なんです。インスタに載せたアイテムをフォロワーが真似して買ってくれることがあるのですが、そういう影響力を考えるとPRとはいえ真実ではないことを発信するのはすごく申し訳ないから、正直な投稿をします。もちろん、実際に使ってみていいと思ったところはいいって言います。ちゃんと身の丈にあった、正直な情報を発信し続けること。そうすると、PR表記をつけた投稿に対しても、フォロワーは理解してくれて、「良い商品を紹介してくれてありがとう」と言ってもらえたりします。

中島絢乃さん
中島絢乃さん
 

李:例えば、10代の女の子向けの商品を紹介するときは、自分が使ったっていう紹介の仕方だけじゃなくて、妹にもあげました、っていう書き方をしたりもします。

安岡:商品によっては、ターゲットの年齢層が低めのものも多いので。あ、そうだよね、どちらかといえば妹向けだよね、と説得力があります。この紹介の仕方はすごく上手だなと思いました。

Tagpic代表・安岡さん
Tagpic代表・安岡さん
 

■今は、イメージや世界観を伝えるマーケティングツール

 

世津:Remiさんは、個人のInstagramアカウントと、旅のメディアLovetabiのInstagramアカウントとで、投稿の内容や発信方法を変えていますか?

Remi:Lovetabiのアカウントに関しては、地名の表記とハッシュタグの指定といった最低限のルールを課したうえで、ライターに好きに投稿させています。投稿頻度も週に2~3回程度、内容はLovetabiのPRという感じでやっています。LovetabiのURLをクリックさせる目的ではなく、Lovetabiには旅の記事が集まっている、という事を伝えるためにやっています。

世津:投稿方針については模索中、といったところですかね?

Remi:そうですね。直接リンク先に飛ばすというよりも、Instagramのアカウントとして魅力ある物にできたらいいな、と思って力を入れていますね。

杉原:インスタの果たす役割として、例えばリンク先に飛ばす事なのか、ブランディングなのか、どういう所が一番強いと思いますか?

Remi:もちろん、インスタで見た情報を元にアクションを起こす人もいます。実際、旅行先を決めるのにインスタで探して決める人は多くて、例えばビーチを探す時に、インスタのハッシュタグ検索欄で「#ビーチ」と検索して出てきた写真を見て行き先を決めたりとか、インスタで見たホテルやレストランを訪れたりとか。インスタは写真の投稿場所が地図上に出て来るので、その位置情報を元に旅をする人もいます。でもそういった行動は、あまり数字には現れてきません。なので、今はInstagram=ブランディングツールだと思いますね。

Remiさん
 

安岡:目に留まった投稿の中で特に気になったものは、検索もするし、その投稿に関連するURLにも飛んで行きますよね。無理やりリンク先に飛ばせようとして作ったクリエーティブって、閲覧しているユーザーにもその広告色が伝わってしまい、結局好まれない、という結果になります。

Remi:ただ、インスタで見かける広告自体は、ノイズとは感じません。広告だと分かっても、ネガティブな印象は生まれなくて、「なんか奇麗な写真が載ってるけど、広告か」と感じるだけで、とりあえず目には入るし、企業名も頭に残ります。しかもその場で直接ウェブへ遷移できるので、アクションにつながりやすい。一定の効果はあるんだろうなと思います。

杉原:これからインスタって、どういう使われ方が増えていきそうですか?

Remi:そもそもインスタ活用自体が最近始まったような気がしてるんですよ。インスタをそういう風に使ったPRもあるんだ!って感じはじめた段階です。なので、今後の広がり方や利用法については、自分のアカウントの運用経験も踏まえて知見をためて行きたいです。

世津:今までも、そういった予測できない形でさまざまなソーシャルメディアのトレンドが移り変わって来たから、今度はインスタの時代が始まろうとしているというところでしょうか。

杉原:これだけはやってはいるんですけど、まだまだ知らない楽しみ方があったり、発見できることがあるんだと思います。


 

インタビューを終えて

いかがでしたか。今回彼女たちの話を伺って、インスタグラムのもっと本質的なところが見えてきたような気がします。見せたいものだけ見せる飾り立てられた部分よりも、ひとつのアカウント=人格を表現していくうえでの統一感やリアリティーが大事になってきます。これは、個人ユーザーにも、企業や商品ブランドにも言えることなのではないでしょうか。

今後ユーザーが増えるにつれ、世代や性別ともにさらに分散していくことも見込まれるインスタグラムは、まさに今から大きく成長していくプラットフォームです。マーケティングツールとして活用することを考えた時に、発信者とそれを受け取る側双方にとって受け入れやすい、生活がもっと楽しいものになるようなコミュニケーションを、真摯に考えていくことが成功の必要条件です。

プロフィール

  • Profile setsu
    世津 洋子
    株式会社電通デジタル

    2011年電通入社。16年から電通デジタル。ストラテジックプランナーとして自動車や製薬、食品、レジャー、玩具など様々な業界のクライアントを担当。ターゲットの心を動かし、売りにつなげられることを第一に、メディアニュートラルなコミュニケーション戦略をデザインしている。

  • Sugihara.jpg
    杉原 美穂
    株式会社電通 マーケティングソリューション局

    2013年入社。国内外の企業・マーケットにおいて、新商品開発からキャンペーンプランニング、及びブランディング案件を担当。「電通スマプラ」に所属し、スマホを使った消費行動及び、instagramの知見開発に取り組む。

バックナンバー

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ