ママのポテンシャルバリュー #04

働くママが増えると、どうなる?②

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    田中 理絵
    株式会社電通デジタル シニア・コミュニケーション・デザイン・マネージャー

今回は前回に引き続き、「主婦の再就業による直接効果と経済波及効果」から、働くママが増えることにより家計内で増える消費と、それによって影響の大きい産業についてお伝えします。
 

「働くママのいる世帯では、教育費が1.5倍、通信費は1.2倍」


そもそも、働くママと、専業主婦ママで、何か違う消費が生まれるのでしょうか? まずはこの点が現在どうなっているか、「共働きの世帯」と「専業主婦の世帯」の家計消費を、平成21年の全国消費実態調査を用いて比較します。世帯人数や子どもの有無によって消費される量や内容が変わるため、ここでは「妻が25-49歳で、祖父母と同居していない、子どものいる世帯」に限定します。

「共働き世帯」は「専業主婦の世帯」よりも、収入(可処分所得)は年間95万円多く1.2倍、支出(ローン・貯金等は除く)は43万円多く1.1倍になっています。消費項目では「教育」で1.5倍(月額12,665円のプラス)、「調理食品」で1.26倍(月額1,777円プラス)、「通信」1.18倍(月額2,814円プラス)、「自動車等関係費(自動車本体、ガソリン代、駐車場代など)」1.15倍(月額4,020円プラス)、「外食」1.12倍(月額1,705円プラス)です。他にも「お酒」は月額にして共働き世帯で425円あがります。

ママラボが6月に行った調査でも、働くママは「スマートフォンを持っている」「祖父母とメールする」「自動車を日常利用している」「冷凍野菜を使う」「お酒が好き」などが専業主婦のママに比べて多い結果になりました(詳細は日経トレンディネットに掲載しています。)なお、現在の共働き世帯は、専業主婦世帯よりも平均年齢が高いのですが、これらの結果はすべて5歳刻み年齢ごとに比較していますので、年齢による差異ではありません。

 

産業別では「商業、不動産、教育、通信、輸送機器」に影響大


先にみたとおり、専業主婦のうち就業希望者が働く主婦に変わった場合、消費が活性化する分野には特徴があります。それを産業への直接効果でみると「教育・研究」2,536億円、「情報通信」2,161億円、「飲食料品」2,085億円、「輸送機械」(自動車など)1,713億円と試算しました。なお、外食については飲食店が「対個人サービス」に入り、その効果は4.414億円となります。その他、「商業」にも大きな効果があり、5,126億円。また、「不動産」3,417億円も大きく影響がある産業として上がってきます。

 

ママが働き始めたら、増やしたいのは、旅行と小遣い!


さて、では意識としてはどうでしょうか。子どもをもつ25-49歳のママに「自分の収入が増えたら何を増やしたいか」を聞いてみました。図の通り、1位「旅行・レジャー」54%、2位「自分の小遣い」52%、それから7位に「ファッション・化粧品」26%、8位に「夫の小遣い」22%といったハレ消費のマインドが再就業してすぐは上がりそうです。その他は試算内容と合致していて「教育費」51%、「外食」36%、「ローン返済」32%、「住宅購入」15%、「食費」31%となりました。

 

なぜいま「働くママ」なのか?


家計・産業・マインドの3つに共通して、働くママが増えると「教育・通信・外食・食費(調理食品、酒含む)」が増えるといえそうです。また、ママが外で働く分、家事時間を短縮できる「宅配食材サービス」「家事代行サービス」「家電・トイレタリー」市場にも熱い注目が集まっています。働くママは以前からいますが、今後いよいよ「働くママ」向けに舵を切った商品・サービス市場が活性化しそう、というところにきています。それは、「企業内で働くママ自身が商品開発をする」ことが現実的になってきたからです。働くママは「労働時間が短いから、補佐的な業務しかできない」のではなく、「働くママにマッチする商品・サービスを生みだすのは、働くママ自身」となってきているのです。

プロフィール

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    田中 理絵
    株式会社電通デジタル シニア・コミュニケーション・デザイン・マネージャー

    2006年電通入社。生活者・市場研究を専門領域とし、コンサルティング、コミュニケーション戦略立案を行う。 2012年までラグジュアリーブランド市場研究(BLUX)、「電通ワカモン」、「電通ギャルラボ」など複数のチームで研究リーダーを担当。 2013年に育児休業より復帰し、「ママラボ」代表に。

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