広告以外で、デジタルマーケティング #01

“対面型営業活動”でデジタルマーケティング

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    魚住 高志
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター

1年ぶりに連載を再開させていただきます。過去2回「ビッグデータは広告会社にとって敵なのか?味方なのか?」といったタイトルで連載をしてきました。その間も、社内外から「広告会社はこういう領域にも取り組んでいるのですね」といった驚きの声を何度もいただきました。

ところで、最近は“ビッグデータ”という言葉を耳にすることは少なくなったのではないでしょうか?

その理由として、マーケティングツールを支えるクラウド環境でもビッグデータ処理が可能となり、ビッグデータを活用したマーケティング高度化の取り組みが一般化したことが挙げられます。“ビッグデータ”の可能性を語り合うのではなく、もう実際に“ビッグデータ”を利用して何をするのかが問われるようになったといえます。

そこで、本連載のタイトルを「広告以外で、デジタルマーケティング」としました。広告会社はビッグデータを活用した“デジタルマーケティング”で、デジタル広告以外に何を実現しているのかを数回に分けてお話します。

というのもデジタルマーケティングの概念は広く、人や立場によって定義がさまざまでありながら、広告会社における“デジタルマーケティング”は、デジタル広告のターゲティングやデジタルコンテンツの最適化に限定する(もしくはされる)傾向にあるように感じます。ところが一方で、広告やコンテンツ以外の領域で、広告会社はデジタルマーケティングによってどのような価値を提供できるのかを、強く問われ始めているとも感じているからです。

対面型営業をデジタルマーケティングで支援する

この1年間ほど、対面型チャネルをメインとする自動車や保険やエネルギー、またはB2B企業の営業開発部門や経営企画部門の方とお話をする機会が多くあるのですが、皆さん口々に「営業が顧客に会うことができなくなった」という課題を挙げられます。その理由は、顧客の情報収集チャネルがウェブになったことと、企業や住居のセキュリティー意識が高まり、訪問が困難になったことが挙げられます。顧客に会えなくなったことで顧客理解が不足し、最適なタイミングでの商品提案または適切なアフタフォロー体験の提供が困難となっているようです。

このような課題感を受け、先日、企業の対面型営業の高度化をデジタルマーケティングで支援するソリューションを、電通、セールスフォース・ドットコム、インティメート・マージャー、EmotionTech(旧wizpra)の4社で発表しました。

顧客体験をマネジメントするソリューション

このソリューションを一言で説明するならば、「営業が顧客訪問できずとも顧客変化を非対面で察知し、適切なタイミングでサービス提供することで顧客体験をマネジメントするソリューション」です。それは以下2つのソリューションで構成され、6つのステップで提供していきます。

【ソリューション①】※ステップ1〜3・6で提供
EmotionTechと共同開発した独自調査手法を用いて、顧客を4タイプ、企業の対面型営業活動を11のプロセスに分解。各顧客タイプごとに、過去の各営業プロセスにおける顧客体験評価を定量化し、課題を抽出。

【ソリューション②】※ステップ4・5で提供
セールスフォースの「Salesforce Marketing Cloud」「Salesforce Sales Cloud」、インティメート・マージャーが保有する約4億件のオーディエンスデータを連携させ、営業活動支援ツール上で非対面顧客データを活用する仕組みを提供し、営業の顧客理解の深化に伴う適切な営業活動を支援。

■ステップ1:営業業務プロセス上の課題発見
独自調査と分析により“営業活動に対する顧客体験スコア”を算出し、顧客4タイプと営業活動11プロセスにおける課題を仮説化。

■ステップ2:SFA連携による課題検証
(既に導入されている場合)SFA上の営業活動や販売履歴などのデータと顧客体験スコアを突き合わせ、詳細分析し、仮説化された課題を検証。

ステップ3:課題改善施策プランニング
電通の営業業務コンサルタントが課題改善施策をプランニング。

ステップ4:非対面顧客データ取得
対面営業業務上の課題の主な原因となる顧客理解不足を解消する非対面での顧客セグメント(各種ライフステージ変化など)情報を取得。

ステップ5:業務支援ツール導入
非対面顧客データと連携した業務支援ツール(MA、SFAなど)の導入。

ステップ6:施策の効果検証
非対面データを活用した営業活動による顧客体験スコアの変化を、定常的に取得し分析(営業所や営業担当など最小単位で可能)。

営業アプローチの11プロセス

本ソリューションの最大のポイントは、DMP(データマネジメントプラットフォーム)を、以下図のように「広告マーケティング領域」ではなく、企業内業務領域である「営業マーケティング領域」に適用していることです。DMPを活用した広告ターゲティングは異常なまでの最適化を遂げていますが、いずれ限界が訪れます。飽和市場において、新規顧客獲得から既存顧客維持にマーケティングコストをシフトする企業が多い中で、DMPをリアルマーケティング(非デジタル)、サービスマーケティング(非広告)、体験価値マーケティング(UI/UX)といった領域に適用することは、DMPの新たな活用方法といえるのではないかと思います。

顧客体験をマネジメントするソリューションのポイント

今回はソリューション全体概要を説明しましたが、各ソリューションの詳細については次回以降で補足してきたいと思います。特に「ソリューション①」については、顧客体験および顧客感情を数量化し、どこか右脳だけで語られがちないわゆる“カスタマージャーニー”を左脳的に表現・解釈する方法論についてお伝えします。そして「ソリューション②」については、多くの企業で課題となっている、過去の大規模キャンペーンなどで収集しながら活用し切れていない見込み客情報の新たな活用方法の考え方についてお話していきます。

プロフィール

  • Uozumi profile
    魚住 高志
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター

    2004年電通入社。プロデューサー。
    ビッグデータ領域での事業プロデュースやクライアントコンサルティングに従事。
    特に、ITベンダーやベンチャー企業とのアライアンス推進や、O2Oやメディア測定領域での電通オリジナルのビッグデータソリューション開発を推進。
    日本マーケティング協会「マーケティングマスター」。

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