ママのポテンシャルバリュー #01

ママラボの舞台裏 ①

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    田中 理絵
    株式会社電通デジタル シニア・コミュニケーション・デザイン・マネージャー

電通総研ママラボの主任研究員・田中理絵が、ママラボについて、そして、いまどきのママを取り巻く環境を分かりやすくお伝えします。

 

—— 田中さんは、この4月に育児休暇から復帰したそうですが、現場に復帰して約3カ月、いかがですか。

田中:徐々に感覚を取り戻しているという感じです。働くお母さんの共通の悩みだと思いますが、この2カ月間は子どものことで突発的に休んでしまうことも結構あったので。ただ、育休中  のほうが両立できるのか不安でしたね。いざ始めてみると「あ、意外とできるもんだな」と。

 —— 周りの人の理解というか、体制はどうでしょう。

田中:家族もそうですが、職場でもサポートしてもらって、とてもありがたいです。電通はわりとママでバリバリお仕事をしている先輩たちが多く、それが当たり前だという文化なので、やりやすいですね。

 —— 復帰後、ママラボの代表になったのですね。

田中:そうですね。復帰前にやっていたものは全部やめて、今はママラボです。設立当初は北風祐子さんが所長でしたが、今は実績も増えて、メンバーも拡充したので、誰がママラボを代表してもいい、という形にしたいなあと思っています。

 —— 改めてママラボについてご紹介してください。

田中:ママラボは、2008年に電通総研を中心にできた社内横断のチームです。活動は研究が中心ではなく、もっとビジネス寄りです。中長期でどう変わるかという市場予測から、商品開発、プロモーションまで。ママの変化をふまえて、どう商品をつくり、どうメッセージしていくか、企画から出口まで、徹底的にママ視点でソリューションするチームです。今のママの気持ちはどうなの、というリサーチは当然しますが、分析だけではなくソリューションベースで、いろんな業種のクライアントの案件を推進しています。

 —— なるほど。事例を教えていただけますか。

田中:例えば白物家電は技術競争がとても激しい業界で、いつも最先端の技術がフィーチャーされますが、現実にママが欲しいと思っているのはこういう物なんですと代弁する。メーカーの方ももちろんユーザー視点に注力して開発されていますが、同じことでも、どう伝えるかが重要だったりします。例えば、「省エネ」「エコ」「節電」など、いろいろ言葉がありますが、震災直後は、「省エネ」より「節電」という言葉が効くというデータを見せて、伝え方を変えよう、ということだったり。
あと、流通では4月の新入学・新生活から始まって、行楽シーズン、母の日、父の日、夏休み…というように、1年にはたくさんの催事があります。その時々に、売り場をどう盛り上げるか、どういう商品ラインアップで、どう見せるとママにとって魅力的なのか。商品開発からCMの内容、売り場のPOPまで細かく、年間を通してお手伝いさせていただいたことも、ママラボらしい仕事だなと思います。

 —— ママラボでは、田中さん以外のメンバーも、皆さんママですか。

田中:ママもいるし、独身もいるし、現在、産休・育休に入っているメンバーもいます。男性がプランナーのこともあります。こういうと巨大組織のようですが、メインのプランナーはずっと少数精鋭です。ママラボは、プランナーからクリエーティブ、メディアまで、メンバー総勢何名です、といった垂直統合型のチームではありません。もちろん、ママの目線でそれを全部やるんですが、そのときの商材やテーマに最適な人で体制を組んで、ママラボメンバーは1案件に1人いればいい。案件ごとに顔ぶれが変わる方が自然なんです。固定メンバーで仕事しないので、すごくオープンです。

 —— ところで、先日の「日経トレンディネット」や「日経流通新聞」の記事で、「アラママ」という言葉が新鮮でした。なぜ今「アラママ」なのでしょう。

田中:「アラママ」は、"3年以内に子どもが欲しいと思っている女性"と結構シンプルに定義しています。通常、ママラボは「小学生以下の子どもを持つママとその家族」をメインにやっていますが、なぜ「ママになりたい」という、“ママ以前”の人を取り上げたかというと、震災後の“普通の幸せ”ブームや、芸能人の出産ラッシュ、ソーシャルメディアで私生活の投稿も増えて、一気に育児が “見える化”したと思うんです。そのときに、ママへの憧れが高まっている人たちがどれぐらいのボリュームで、どんなものが欲しいと思っているのかという視点で、ちょっとリサーチをかけてみました。

実際に、20代後半の未婚女性の4人に1人が、「3年以内に子どもが欲しい」と答えました。4段階で聞いて、「そう思う」という明確な回答だけで25%いるんです。
具体的には、彼女たちはすごくアクティブにお買い物をしたり、美容とか健康の意識が高い女性なんですけど、一見関係ないですよね「子どもが欲しい」ことと「美容」は。でも、ママブームがあって、結果的にトレンドに敏感な女性ほどママに憧れて、そういう人が美容家電を欲しいという。恋愛したいからキレイになりたいっていうよりも、ママになってもキレイでいたいわっていう思いで買うんだなと。それがすごくリアルでしたね。

 —— 出産前に旅行へ行っておきたいとか、結婚前から考えていたりするんですね。

田中:芸能人の妊娠・出産などの情報から、「安定期になったら旅行する」と言う人がとても多くて驚きました。生まれたら大変だということも分かっていて、もう覚悟ができちゃっているんですよね。だから、今のうちに行きたいんだ、みたいなことが結構スッと受け入れられていて。現在の自分のことだけを考えているのではなくて、いろいろと先まで考慮した上で行動をするという点が面白いかなと思います。あと、本来、まずは「結婚」が先に来るはずなんだけど、先に「出産」のイメージを持っているというのが、現代的だなと。

 —— 次回に続きます。

プロフィール

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    田中 理絵
    株式会社電通デジタル シニア・コミュニケーション・デザイン・マネージャー

    2006年電通入社。生活者・市場研究を専門領域とし、コンサルティング、コミュニケーション戦略立案を行う。 2012年までラグジュアリーブランド市場研究(BLUX)、「電通ワカモン」、「電通ギャルラボ」など複数のチームで研究リーダーを担当。 2013年に育児休業より復帰し、「ママラボ」代表に。

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