DMCラボ・セレクション ~次を考える一冊~ #03

『ワークシフト』

~すでに起こった未来に対し、

企業やブランドは何ができるのか?

  • 2
    京井 良彦
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター  プランニング・ディレクター

今回は、ロンドン・ビジネススクール教授で、英タイムズ紙の選ぶ「世界のトップビジネス思想家15人」のひとりに選ばれたリンダ・グラットンの著書『ワークシフト』を取り上げます。
本書は「2025年、僕たちはどんな働き方をしているか?」がテーマになっています。2025年といえば、東京オリンピックの5年先。そう考えると、そんなに遠い話ではなさそうですね。

2010年には中国が45カ所の空港の建設を進めていた、携帯電話を使用した送金システムのイノベーションを牽引しているのはケニア、2025年までに世界の50億人以上が携帯端末で結びつくなどなど、ふんだんなデータから僕たちの未来に何が待っているかが明らかにされていきます。
本書では、人々の働き方が変わる要因は、以下の5つのトレンドによるものだと述べられています。

①テクノロジーの発展
②グローバル化
③人口構成の変化と長寿化
④個人、家族、社会の変化
⑤エネルギーと環境問題

そのような環境変化の中で、人々が主体的に以下の3つにワークシフトすることが必要になってくると説かれています。

①広く浅いゼネラリストではなく、専門技能を次々習得する連続スペシャリストへ
②孤独な競争から、みんなでイノベーションする協創へ
③金儲けと消費から、価値ある経験の選択へ

このようなシフトは、「予想」ではなく「予測」、つまり今すでに起きているトレンドの延長上にある必然だということです。

企業やブランドは、この未来予測をどう捉えるべきでしょう。
人々の働き方が変わるなら、当然、ライフスタイルや価値観も変わっていきます。ならば、企業やブランドから人々への提案も変わっていかなければならないはずですよね。

特に③のように「お金や消費ではなく、自分にとっての価値ある経験」を主体的に選択する働き方は、そのまま消費行動にも影響を与えます。企業やブランドの従来の価値観による一方的な商品やサービスの提案は、意味がなくなっていきます。企業やブランドは、一人ひとりにとってどれだけ価値ある経験を提供できるか、そのサービスや商品に、一人ひとりと関与するどんな意味やストーリーがあるのかが問われるようになっていくわけです。
ならば、企業やブランドは今からその対応をしていく必要があります。提案するサービスや商品もコミュニケーションも、究極的には一人ひとりの価値観にどう最適化していくかを考えていかなければなりません。

これらは「すでに起こった未来」です。本書には以下のように結論づけられています。

 

  「漫然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ち受け、

「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生がある。

 

これは人々に向けられたメッセージですが、企業やブランドにも同じことが言えるはずです。人々の未来を拓く提案をしていくために、今こそ動く必要があるわけですね。

         【電通モダンコミュニケーションラボ】

プロフィール

  • 2
    京井 良彦
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター  プランニング・ディレクター

    1969年生まれ。大手銀行でのM&Aアドバイザーを経て、2001年電通入社。
    営業局でグローバルブランドや官公庁など多岐にわたるクライアントを担当し、現在はソーシャルメディアやデジタル領域を中心とする戦略プランニング、コミュニケーションデザイン、共創マーケティングを手掛ける。東京都市大非常勤講師。著書に『ロングエンゲージメント』(あさ出版)、『つなげる広告』(アスキー新書)などがある。

バックナンバー

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ