新明解「戦略PR」 #01

ちょっと目線を変えてみれば、そう、それはもうPRの世界。

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    井口 理
    株式会社電通パブリックリレーションズ コミュニケーションデザイン局 局長 チーフPRプランナー

もっと気楽に、もっとカンタンに。でもちょっとしたエッセンスでPR的なバリューを増幅させていくことができるのではないか?というのを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

そーいや、戦略PRって一言でなんだべ?

2009年頃から巷に流布する「戦略PR」という言葉。わかったようでわからない、でも答えはない、みたいな。英語で書くと「Strategic PR」。でも海外で外国人と話をするときに、これを無防備に使おうものなら「Strategic PR? ナニその表現。戦略のないPRなんて、もともとありえないっしょ? ナニ言っちゃってんの、ニッポン人よ!」と一喝されてしまいます。そりゃーそうだ。たまには頭を使わない、ルーティンみたいな仕事もあるけれど、いつもはいろいろしっかり考えているんです、PRパーソンってやつは。もちろん私もご多分に洩れず、脳みそフル回転してまっせ。ま、普段はとぼけた顔で「何も考えちゃいねーな、コイツ(- -#)」と一瞥されることも、ままありますが…。

そんな折、今年の6月に「戦略PRの本質 実践のための5つの視点」を上梓するにあたって、もろもろ「そーいや、戦略PRって一言でなんだべ?」みたいなことを考え続けてみたところ、自分でもズバズバっと言い切れない感じだったわけですね、はい。そこで、いろいろな人に「あなたの考える戦略PRってそもそもナニよ?」と聞いてみたところ、これまた十人十色で理解はさまざま。こりゃー、いかんね、誠にいかん!ということで、ま、でもまずは自分なりの定義を世に問うてみようかい、と相成ったわけでございます。もちろんその定義にはさまざまなご意見がありましょうから、それはまた別途、議論の場を設けてもらうとして、このコラムでは「戦略PRのそもそも」に迫る形で、まずは身近に見る「戦略PRのエッセンス」、すなわち「あぁ、こういうのもありなのね。ま、確かにね」的なものをちょろちょろと紹介しつつ、皆様の賛同を得ていければな、と考えています。

戦略PRの本質
1,260円(税込)/
朝日新聞出版


「難しい言葉は、なるべくわかりやすくしていただけますか?」

ちなみに、話はちょい逸れますが、本を書く上で一番気をつけようと思っていたのは「小難しく書かないようにしよう」ということ。ただでさえ、この業界はマーケティング領域やデジタル領域で新しい言葉が日々生まれ、たまにプレゼンでは何語をしゃべっているのかがわからなくなるようなことがままありますよね。かくいう私めも、先日のある会議中、クライアントの若い女性とのやりとりでハッとしたことがありました。

「私、勉強不足なんで、難しい言葉は今後、なるべくわかりやすくしていただけますか?」と嘆願する女性。「よーし、よしよし、おじさんがね、優しい言葉で…」などと思いつつ、「どこですかー? わかりづらいところは? 懇切丁寧にご説明申し上げますよ〜ん」なんて言いましたらですね、「えーと…ここの、『PRはファクトありき。そのファクトに個別の生活者のベネフィットを掛け合わせることで、生活者が企業に対してエンゲージメントを感じるようなストーリーを構築し、これをペイド、アーンド、シェアード、オウンドのPESO※1のメディアミックスでコミュニケーション設計にアジャストし』とかっていうのがわかりづらくて…」とご指摘いただきまして…。「わっ! 恥ずかし(赤面)」と瞬間的に思いましたね、ほんと。これをね、真顔で相手に棒読みされてごらんなさい。いかにテキトーなワードを並べて「なんとなく」の雰囲気で会話作っていたのか、がもうバレバレ。「わー、オレこんなこと得意げにしゃべってたんだ??」という…。うう、忘れたい。なかったことにしたい、どっか穴ねーか、隠れる穴。ひー。

というわけで始まります、「新明解『戦略PR』」。もっと気楽に、もっとカンタンに。でもちょっとしたエッセンスでPR的なバリュー(あ、情報価値のことですね。ふー、カタカナ言葉はつい使っちまうなー)を増幅させていくことができるのではないか?というのを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。根がテキトーなので、不定期連載となりますが、ご容赦ください。まずは、直近で見てきたカンヌライオンズの受賞作なども、PRカテゴリーに限らず、でもPR的目線で自分なりの評価をここにかましてみたいと思います。それでは、続く。

※1 Paidメディア、Earnedメディア、Sharedメディア、Ownedメディアの総称

プロフィール

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    井口 理
    株式会社電通パブリックリレーションズ コミュニケーションデザイン局 局長 チーフPRプランナー

    1990年株式会社電通PRセンター(現株式会社電通パブリックリレーションズ)入社。コミュニケーションデザインを手がけるチーフPRプランナー。
     
    企業のコーポレートコミュニケーションから、製品・サービスの戦略PR、動画コンテンツを活用したバイラル施策や自治体広報まで、幅広く手掛ける。最近では、熊本県の赤い特産物をアピールするため仕掛けた「くまモンほっぺ紛失事件」のPRプランを手掛け、世界的なPR業界紙「Holmes Report」が主催するアワードで「世界のPRプロジェクト50選」に選出された他、多数の口コミを起こしたキャンペーンとして、世界的な口コミアワードである「WOMMY AWARD2014」を日本で初めて受賞。
    その他、受賞歴に、Asia Pacific PR Award、日本PR協会「PRアワード グランプリ」、国際PR協会「ゴールデンワールドアワーズ」、SABRE AWARDS ASIA PACIFIC、PR WEEK アワード・アジア、Asia Pacific SABREアワード、Spikes Asia 2014、Global SABRE アワードなど。
    実務のみならず、大学やトレードショー、PR協会での講義による若手育成にも従事。「Cannes Lions 2012」「Spikes Asia 2012」PR部門、「SABRE AWARDS ASIA PACIFIC 2014」「PRWeek Awards Asia 2015」「ヤングカンヌPR部門日本代表選考」審査員。「New York Festivals パブリック&メディア・リレーションズ部門」Grand Jury。2013年6月に「戦略PRの本質~実践のための5つの視点~」を上梓。

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