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速報!CES現地レポート!No.2

CESを終えて

2014/01/14

ネットと接続して提供する価値が主役でした。

CESから帰国し、時差ボケで目が冴えわたる早朝4時にこの原稿を書いております。今回も筆者独自の視点で、CESから見えるデジタルとプロダクトの関係、マーケティングへの影響についてお話をしたいと思います。

Internet of ThingsからInternet of Everythingへ

前回、現地からの速報では「とにかくInternet of Things!」とぶちまけました。その後、インターネット接続機器大手のシスコシステムズのCEOであるJohn Chambers氏は、IoTの先IoE(Internet of Everything)を提唱していました。IoEは、IoTをさらに拡張して、モノがインターネットに繋がるだけではなく、人やモノに対し必要な情報を必要なタイミングや場所で提供する状況やプロセスの概念です。とにかく、いろんなモノがネットに繋がって、必要なときに必要な場所で、モノが自ら人に情報を提供する。もしくは、モノとモノがコミュニケーションすることで、新しい価値が生まれるということです。

IoEを提唱するシスコシステムズCEOのJohn Chambers氏
IoEを提唱するシスコシステムズCEOのJohn Chambers氏

Chambers氏は基調講演で、IoTは、公共部門と民間部門で19兆ドルの市場規模があり、民間部門で14.4兆ドル、公共部門で4.6兆ドルの新しい収益機会の創出やコスト削減が起こると提唱。

プロダクトの価値はネットと接続して提供する価値へ

CESを通じて、通信、自動車、家電、フィットネス、ヘルスケアなどのさまざまな企業のプロダクトを体験し、米経営者、CMOの考えに触れることができました。共通して感じたことは、プロダクトの価値や競争優位を左右する重要なファクターとして、「ネットと接続して提供する価値」に重きを置いている事実です。IoTそして、IoEが現実となった現在、情報家電のみならず、全てのプロダクトはネットとの接続が前提になる未来が予見されました。それは、ITやデジタルが縁遠いプロダクトであっても、生活者とデジタル(具体的にはスマートフォンが圧倒的になるでしょうが)でのコンタクトポイントが、プロダクトが提供する機能や価値、デザインに加えて重要な要素になることを意味します。今後、多くのプロダクトを担当するマーケターは、そのプロダクトがネットと接続されることで、提供できる新しい価値を考える必要に迫られるでしょう。そして、プロダクトのデザインだけではなく、デジタルコンタクトポイントとして、スマートフォンアプリなどのUIやデザイン、機能について、プロダクト設計同様のパワーをかけることが商品価値に影響することでしょう。

2014年のCESは、プロダクトとデジタルの関係、つまり全てのプロダクトの競争力はデジタル&テクノロジーによって左右される可能性について、すぐそこの未来を垣間見ることができたと筆者は考えます。

おまけ。CESで気になった広告

さて、筆者が近年CESに参加していて気になる広告があります。それは、米コーニング社のゴリラガラスの宣伝です。ゴリラガラスは、通常一般の人が購入する商品ではありません。スマートフォンやタブレットPCなどのモバイル機器を開発・製造するメーカーが調達する、高強度ガラスの商品名です。

では、なぜ気になったか?それは、ゴリラガラスの広告にあります。

米コーニング社のゴリラガラスの広告。
米コーニング社のゴリラガラスの広告

この高強度ガラスというB2B商材を、ゴリラガラスと名づけ、これでもかとゴリライメージで展示やOOHを展開しています。米コーニング社のゴリラガラスのコミュケーションは、B2B商材でありながらブランドを確立しており、たぶん、高機能ガラスとしてのブランド想起も高いのではないかと想像します。B2B商材がブランドを確立することで、ビジネス−具体的に商談の現場−にどのような好影響、定量的な価値があるのか? 筆者としてはCESでゴリラガラスの広告に触れるたびに、B2B広告の可能性について思いを馳せてしまいます。

CESのプレスセンターにて筆者
CESのプレスセンターにて筆者