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倉木麻衣氏(歌手)×福井崇人氏(電通ソーシャル・ソリューション局部長)「つなぐ・つながる ソーシャル・デザインの力」第2回

2014/01/23

「つなぐ・つながる ソーシャル・デザインの力」第2回

 

 

Tsunamiバイオリンと共につながりを感じて

 

福井: 学校訪問翌日に地域の小中高生を招待したフェスティバルでは、ゲストバイオリニストの山内達哉さんと一緒に、NHKの復興支援ソング「花は咲く」などを披露しましたね。バルーン構造の移動式ホールが、感動で揺れ動いているような感じでした。

倉木: 実は私自身は、あのホールでお母さんのおなかに包み込まれるような安心感の中で歌っていた感じでした。それと、山内さんが演奏されたのが、津波の流木で作られた「Tsunamiバイオリン」で、その音色がとてもすてきでした。伸びやかで深みのある音が、会場の皆さんの心を優しく包んでくれました。

福井: フェスティバルの少し前に行われた伊勢神宮式年遷宮の歌謡奉納でも、Tsunamiバイオリンと共演なさった(写真=下)。

倉木: あれは、特別な空間でのライブでした。歌謡奉納で演奏してくださったのは、Tsunamiバイオリンに関わりの深い中澤きみ子さんでした。

福井: ご主人が、その制作者であるバイオリンドクターの中澤宗幸さん。復興支援への思いをつなぐために、2丁のTsunamiバイオリンで、1000人の演奏リレーを目指して活動を続けていらっしゃいます。

倉木: 皆さん、つないでいるんですね。私、伊勢神宮での歌謡奉納で、誰もが小さい頃に歌ったことのある「故郷」を歌わせていただいたじゃないですか。そのとき、小学生時代に歌っていたときとはまったく違う感覚にあらためて気付かされたんです。

福井: 懐かしいだけではなくて?

倉木: 聴いてくださっている皆さんとつながっている感覚ですね。誰もが懐かしむ歌は人の心を癒やしたり、苦しかったいろんなことも含めて心を洗い流してくれる。今、歌手としてそんな歌を歌えている自分は、聴いている方々と絆を深く結び合っているんだなって。

福井: なるほど。そこに、あのTsunamiバイオリンの音色が重なっていたわけですね。

 

「ソーシャル」を通じて自分も成長していきたい

 

福井: 倉木さんご自身のソーシャル・デザインは、今後どう描かれていきますか?

倉木: 昨年デビュー15周年を前に、「“RE:” プロジェクト」というのを立ち上げて、全国でのライブ活動と共に、津波被災地の海岸地域の植樹活動などに参加したりしています。“RE:” というのは、Reborn(生まれ変わる)とか、Restart(再始動)とか、あるいはRetry(もう一度挑戦する)とか、さまざまな意味が込められています。もう一度原点に立ち戻って、今の自分にできることを考え、行動し、そして多くの人に感謝の気持ちを伝えたい、そんな思いが強いですね。

福井: 「“RE:”プロジェクト」はこれからも?

倉木: 「再生」がテーマですから、音楽を通じて人の心の再生のお手伝いをするなど、さまざまな形で続けたいと思います。つなぐ力は、続けることでもっともっと大きくなる。そういった活動を通じて、自分自身も成長していきたいですね。

福井: 倉木さんのパワーをつないでいくわけですね。

倉木: 受け取ってもらったパワーを、今度は皆さんが身近な誰かにつないでくれるとうれしいですね。私たちのやっていることって、結局「思い」をバトンとして引き渡していくことなのかなって思います。

福井: なるほど。ソーシャル・デザイン・エンジンとしてもぜひ協力させてください。

倉木: よろしくお願いします。

(完)