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シンブン!今だからできること。今しかできないこと。No.1

シンブン!

今だからできること。今しかできないこと。

2014/01/24

新聞メディアにとって、今は大きな変革の時。そんな今だからこそ、新聞広告は様々なチャレンジが可能となり、広告クリエーティブの幅もグンと拡がっています。このコラムでは、電通新聞局員が、新聞メディアの「今だからできること。今しかできないこと。」をテーマに、新聞広告の最前線をお届けします。

 

ロゴには、従来の「新聞」のイメージにとらわれない自由な在り方を表すため、あえてカタカナを用い、同時に、ジャンプしそうな勢いを込めました。

 

コラムは、主に以下の3つのテーマで連載していきます。

●新聞起点、マーケティングの新潮流

●外部有識者へのインタビュー

●東北復興のために新聞ができること

また、その時々のトピックスを織り交ぜていきます!

 

【第1回】 新聞起点、マーケティングの新潮流 「3世代消費マーケティング(前編)」

 

最近、「3世代消費」をテーマにした広告を目にする機会が増えていると思いませんか?3世代ディズニー、3世代旅行、3世代割引・・・3世代と明確に打ち出していないまでも、クリエーティブ表現の中に3世代家族が映り込んだ広告はよく見かけますよね。特に祖父母世代への直球コミュニケーションの手段として、新聞広告の事例は多く見られます。また、検定ブームの昨今、「孫育て検定」なるものが実施されたり、年末には「三世代おせち」なども各社が販売していました。

 

この3世代消費、従来から言われている「団塊マーケティング」「6ポケット」「シニア市場」などと重なる部分もありますが、団塊世代の子ども、つまり団塊ジュニアが子育て期に入っていることもあり、マーケティングの潮流になりつつあるようです。かく言う私も、仕事をしながらの子育てには、ばあばのサポートが欠かせません。必然的に3世代消費の機会も増えている気が…。

そこでよくよく調べて見ると、今この時代だからこそ、「3世代消費」が意味をもって人々に受けとめられていることが分かってきました。前編となる今回はその時代的な背景との親和性を見ていきたいと思います。

 

1.母娘消費が後押し!母系家族の台頭による世代間コミュニケーションの増加

従来、娘方の孫は「外孫」といわれ、祖父母にとっては少し遠い存在でした。かわいがりたいけれど、他家に嫁いだ娘の子だし…。しかし現在では「母娘消費」ともいわれるように、実の母娘の仲が良く、一緒に買い物や旅行に出かけたり、服や小物も共有して使ったり。そして結婚・出産後もその関係が継続する。こうした母娘をハブとして世代間コミュニケーションが活発化し、3世代消費が盛り上がっている可能性があります。

データからは、圧倒的に妻方の祖父母の関与の高さがうかがわれ、月に2回以上孫に会うとする祖父母は、夫方が30.2%であるのに対し、妻方は43.7%と10ポイント以上も差があります(図表1)。

同様に、孫が関わる行事への祖父母の出費も、妻方の方が格段に高いです(図表2)。3世代消費は母系家族の台頭とともに拡大しつつある、ということが言えそうですね。

2.女性の社会進出、共働き夫婦の増加

女性の社会進出が進み、共働き夫婦が増加することで、日常的に祖父母のサポートを必要とするケースが増えてきています。年時点で、孫と同居している祖父母は、割合にして10%に過ぎません。しかし同居してはいないものの、すぐに会える「近居」まで含めると75約%が日常的に孫と接しており、特に年以降、近居は明らかな増加傾が見られます(図表3)。祖父母は育児の頼れるサポート役でもあるのです。

更に、孫がいる人はそうでない人と比較し消費行動が活発な可能性があります。「最近年間で新聞広告をみてしたこと」でも、各種レスポンスの割合が高くなっています。孫とのコミュニケーションは、消費の拡大を後押ししているかもしれません(図表4)。

ただし、こうした調査は主に首都圏を対象としているため注意が必要です。電通新聞局では今後、新聞社と共同で地方も含めた調査を予定しており、地域差も見ていきたいと思っています。

 

3.少子高齢化や、格差社会などの社会・経済的背景

少子高齢化や長引く不況の影響で、給料は上がらないのに公的負担は重くなる一方。こうした負担を一番感じているのは教育費がかさむ子育て世代です。約1500兆円の個人金融資産残高の6割は60歳以上の高齢者が持っています。経済的に祖父母を頼ったり、家族そろって消費することで全体として支出を抑えるインセンティブが働くのは自然な流れ。今後消費税アップなど、家計には厳しい状況が続きます。生活防衛意識の高まりとともに、世代消費の機会はますます増えていくかもしれません。

 

マーケティングは時代を映す鏡。こうした時代背景を伴ったマーケティングの潮流は、持続・拡大するケースが多くみられます。3世代消費は、一過性のマーケティングのブームというよりは、今後も様々な領域・事象で表面化していく可能性があるのではないでしょうか。

 

3世代消費の効果的なアプローチとしては、祖父母世代への直球コミュニケーションが欠かせません。次回のコラムでは、新聞広告を活用した祖父母世代へのコミュニケーションの有効性、更に3世代消費マーケティング成功のポイントについてお話ししたいと思います。