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セカイメガネNo.20

生涯学び続ける能力

2014/01/22

私事で恐縮だが、今年11月に定年を迎える。そのとき、何が一番大事か。人によって答えはいろいろだろうが、僕は「生涯学び続ける能力」だと思う。13年1月に社の規則でライン職を離れた。怠け者の僕の半分はドッコイショと腰を下ろしそうになる。「ちょっと、待った!」と努力家の僕の半分が、怠け者の半分の尻を蹴る。
家人が仕事をしたことがきっかけで、石倉洋子慶應大大学院教授が講師を務めるアカデミーヒルズの「グローバル・アジェンダ・ゼミナール」を知った。4月半ばにトライアルレッスンを受け、石倉先生を自分のロールモデルに追加しようと決めた。
5月の連休中に3問の設問に英語で答えるエントリーシートに挑戦し応募した。セミナーは講義、発表を全て英語で行う。運良く32人の合格者の一人となり、6月から11月まで講義、個人課題、グループ課題に取り組んだ。

参加者は30代が中心で大学生もいる。女性たちが活発だ。58歳の僕が最年長だったろう。僕たちのグループは東北復興支援の第2段階をオンラインゲーム活用で推進する案をプレゼンテーションした。会社や業界とは異なるコミュニティーを自分たちの意志で構築し、積極的に参加できたことが最大の収穫だ。

ニューヨーク・タイムズは12年をMOOC (Massive Open Online Course=大規模公開オンライン講座) の年と宣言した。MOOCでも米国が世界をリードしている。Coursera, Udacity, edXなどが代表的なプラットフォームだ。Coursera(コーセラ)には世界の107大学・教育機関が参加し、500以上の講座をオンラインで公開している。受講者は世界各国で580万人を超えた。使用言語は全講座の約90%が英語。2番目に講座数の多いのが中国語で約7%。全て無料である。

参加者同士が助け合い議論するフォーラムがあり、互いを評価する仕組みができている。最終試験に合格すれば修了証を発行してくれる。オンラインの持つ利便を減らさず、人間同士が築くコミュニティーの長所を取り入れることがMOOCで可能になってきた。

60歳定年時の日本人の平均余命は男性23年、女性28年である。年齢を重ねること自体は恥でもなければ罪でもないと僕は考える。年齢に甘えて未来を見ようとしなくなることが次世代の道をふさぐのではないか。

僕の夢は80歳まで現役で働くことだ。現役とは、世界のどなたかのお役に立ち、金銭面でも評価されることだ。「生涯学び続ける能力」は、その夢をかなえる一番大事な基盤をつくってくれる、と僕は思う。