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インサイトメモNo.34

「イエソト」のメディア行動は?

2014/02/07

最近のスマートフォンの普及は目覚ましく、屋外における生活者の行動が大きく変わりました。街中では伏し目がちにスマートフォンを手にしながら、歩いたり電車に乗っている人が増えたことに気づきます。このようにスマートフォンの普及が家の外でのメディア環境に大きな変化を与えたのではないかという仮説のもと、自宅外を「イエソト」=7つのシーン(街中/運転時/車などの同乗時/電車・バス内/駅構内/就学・就業時/施設内)に分類し、それぞれにおけるメディア接触環境を把握しました。

■日本人の半数以上がスマートフォンユーザー

スマートフォン(以下スマホ)の普及率は全国平均で50.8%と既に半数を超える水準に至っていることが分かりました(図表1)。都道府県別にみると、東京都52.9%、神奈川県55.2%、千葉県56.1%、関西圏では、大阪府53.8%、兵庫県52.3%、奈良県50.0%、いち早く地下鉄におけるネット環境が整備された福岡市を含む福岡県は48.8%という結果となり、比較的多い人口を抱える県での普及率が高くなっています。ここ数年でWi-FiやLTEなどの高速通信環境が整備されたことも後押しし、スマホを手にし始めた生活者の行動は変化を迎えたと考えられます。駅や街中などでの「ながらスマホ」を防止するPR活動が活発化したことからも分かるように、スマホは「イエソト」において生活者の「目」を奪いつつあることは明らかです。

図表1 主要県および上位の県におけるスマホの普及率

図表1 主要県および上位の県におけるスマホの普及率

■イエソトで存在感を増すスマホ

生活者が「イエソト」においてどのような情報摂取行動を取っているかをマクロ的に把握しました(図表2)。

図表2 自宅外の主要情報メディアの行為者率と接触分数

(表側は接触情報源、表頭は屋外シーン)
図表2 自宅外の主要情報メディアの行為者率と接触分数

その結果、行為者率と接触分数の両側面からみて「イエソト」の最大のリーチメディアはスマホであることが分かりました。【運転時】のスマホ利用が相対的に低い以外、「イエソト」ではスマホの利用率が最も高くなっています。また、スマホは【電車・バス内】利用時の45.3%や、【駅構内】にいる時の40.2%など、公共交通機関においても接触する生活者の割合の高いことが分かります。確かに、日々の通勤時や通学時にスマホでSNSやソーシャルゲームなどに没頭している生活者が多いのは事実。最近では東京の地下鉄で通信環境が整備されて、携帯端末の利便性が向上したことも後押ししているでしょう。一方、フィーチャーフォン(従来型携帯電話)のスコアは【街中】では33.4%、【電車・バス内】では25.0%など、依然として比較的高いスコアを維持しています。

では、「イエソト」の生活者はスマホや携帯電話を使って何をしているのでしょうか?
【電車・バス内】においては、ニュースサイト閲覧が47.2%、SNS利用率ではLINEが34.1%、Twitterが19.9%、Facebookが14.6%となっています。【街中】では、メールサービスが44.7%、通話が39.2%。【駅構内】では、乗り換え地図検索が34.6%と、駅という場所ならではの情報行動が目立った格好です。【運転時】では、通話が36.2%、メールサービスが28.7%、ニュースサイト閲覧が22.3%という結果となりました。運転手は携帯端末だけでなくカーナビなどの据え付け型の固定端末を注視することが法律上禁止されているため全般的にスコアが低くなりますが、Bluetoothを経由したハンズフリーフォンやメール読み上げサービスなどを活用すれば、通話やメールサービスなどを利用することも不可能ではありません。

■イエソト×スマホ=?

最近の「イエソト」において、スマホの接触率は他の多くの情報源の中でも高く、生活者の視覚情報の多くを占めていることが分かりました。例えば、今後は駅ナカの広告とスマホを連動させる取り組みや、売り場とネットの垣根を埋めるO2O的なコミュニケーションが浸透してくるとみられています。スマホの普及は最近の「イエソト」にいる生活者の情報行動の変化を加速し、その動きを捉えることはますます重要なファクターとなることでしょう。「イエソト」において生活者の争奪戦が水面下で始まっています。


※調査概要
・調査時期 :2013年8月31日~9月1日
・調査手法 :インターネット調査
・調査対象者:15歳から69歳の男女
・調査エリア  :全国
・有効サンプル数:2400ss