セカイメガネ #09

最新テクノロジー世代がここにいる

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    Noel San Juan
    ノエル・サン・ウアン
    電通フィリピン エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター

テクノロジーといえばすぐに若者たちと結び付けるのが現代の常識だ。けれど僕の暮らすフィリピンでは、輝いて、かっこよくて、ハイテクな物に徐々になじもうとしている別の層がいる。年配の人たちだ。おじいちゃん、おばあちゃん、引退した人、高齢の方たちが、驚いたことに技術トレンドに追い付こうとしている。タブレットを持ちインターネットを使い、ソーシャルメディアを楽しみ、モバイルゲームに夢中なのだ。

まるで日替わりメニューのように新技術が次から次へと出てくる時代だ。お年寄りたちがスカイプ、iPadなどについてそれなりにご存じなのに僕はびっくりする。試しに何人かのおじいちゃん、おばあちゃんに彼らの光り輝く「新型オモチャ」について尋ねてみた。その答えに僕は目が開かれる思いがした。

「ああ、このiPadかい? せがれがくれたのさ。自分は最新機種を買ったもんだから、要らなくなっちまったのさ」。別のお年寄りはこう言う。「このタブレットを使ってニューヨークで看護師をしている娘と話すのよ。おかげで国際通話料金がすっかり節約できるわね」。高齢の紳士は僕に教えてくれる。「息子がゲームをインストールしてから、すっかりはまりましてね。おまけに孫たちの写真をダウンロードしておいてくれるから、顔が見たくなったら、ほら、こうしてタブレットを開くんです」

フィリピンの若者たちは、やたらガジェットの最新機種を欲しがるけれど、親たちの世代にとってはいいこともあるようなのだ。

「自分の愛する人たちとつながっていたい」。その人たちが外国に住んでいるならなおさらだ。お年寄りがテクノロジーを物にしたくなる動機は、その思いなのだ。もちろんそうしたテクノロジーに、自分の子どもたちの世代はとうの昔になじんでいる。

最近、家電販売店をのぞいたら、お年寄りがガジェットにすっかり夢中になっていた。その姿に僕は思わずほほ笑んだ。だって彼らは自分のiPadにかぶせるカバーを、人気キャラクターの「アングリーバード」にすべきか、それとも「キャンディクラッシュ」にすべきかでさんざん悩んでいる様子なのだから。

(監修:電通イージス・ネットワーク事業局)

プロフィール

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    Noel San Juan
    ノエル・サン・ウアン
    電通フィリピン エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター

    シンガポールを本拠地とする広告会社でジュニアライターとしてキャリアをスタート。以後、多数の外資系広告会社に在籍したが、10年勤務したフランス系広告会社では、3年間で手がけたブランドのうち6ブランドが業界大手に成長した。クリエーティブへの評価ではローカル広告賞に加え、ロンドン・インターナショナルアワーズやニューヨークフェスティバルでも受賞。2011年に電通フィリピン入社、エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターとして活躍中。プライベートでは、サッカーを愛する息子とアーティスト志望の娘との時間を楽しんでいる。

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