ネットがもたらす新しい価値 #02

東南アジア 三丁目のインターネット

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    馬郡 健
    株式会社電通 デジタル・ビジネス局

年末の休みを使って、マレーシアのクアラルンプール、ベトナムのホーチミンシティ、ハノイに行ってきました。デジタル業務の中では新興市場の可能性やオフショア開発(海外などでWEBサイトやアプリを生産すること)についてしばしば語られます。私も人づてで聞いた話やソーシャルメディア、ニュースなどで見たり聞いたりしたことを知ったふりしてきましたが、いよいよこの目で見ていないことが何とも恥ずかしく後ろめたい気がしていました。今回は2か国3都市で見聞きしたことを記事にしたいと思います。

マレーシア、ベトナムは人口統計を見ると非常に若い国で、各都市に赴任している同僚や後輩、友人からも常々「活気あふれる街」であるということを聞いていました。そしてその言葉のとおりまず驚くのはやはり若い世代の比率とその勢いです。

(ベトナム・ハノイ中心部)
 

各都市で少しずつ表情は違うもののどこも車やスクーター、そして人があふれています。写真はハノイ中心部ですが、特別なことではなくどこでも見られる光景です。日系のオフショア会社を経営される方は「日本で言うとちょうど映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の頃くらいだと思います。」とおっしゃっていました。高度成長期初期の混沌としながらも活気あふれる様子はまさに今の東南アジアそのものかもしれません。

デジタルとネットに国境はない

ただ大きく違うのは先進国と同じようにインターネット回線が整備され、高速携帯電話網も整備されつつあるということです。誰でも手が届くというところまでは来ていませんが、パソコンやスマートフォンは確実に浸透しています。そして昭和30年代の日本で、先進国の情報を手に入れるのは容易でなかったことは想像に難くありませんが、ここではインターネットにアクセスするだけで最先端の情報を手に入れることができます。新しい別世界の価値観を手に入れた賢い若者はより高みを目指してチャレンジを続けています。

またインターネット/デジタルはもう一つの価値も提供しています。まだ見たことのない先進国などに行かずとも、世界共通の言語であるプログラミングを仕事にすることでアプリケーションやソフトウェアを作成し、スマートフォンなどのプラットフォームに載せれば東南アジアからも大きなコストやリスクを負わずとも世界にチャレンジすることができるのです。

スマホのアプリがブランディング

マレーシア・クアラルンプールでは、面白いタクシーアプリを教えてもらいました。“My Teksi”というスマートフォンアプリです。残念ながらマレーシアで走っているタクシーは、質がさまざまです。(5分ほど乗車したあと、「あれ!どこに行くんだっけ?」ととぼけた運転手さんもいました)安全で快適なタクシーを呼ぶためにはこのアプリを使います。

現在地と目的地を入力すると、近隣を走る登録タクシーに連絡が行きます。マッチングすると迎えに来てくれるタクシー運転手の顔写真と名前、携帯電話番号、車のナンバー、目的地までの料金目安が表示されます。GPSと連動しているため、今迎えの車がどこまで近づいているかもリアルタイムで把握できます。あとは乗車し目的地まで行くだけです。時折、顔写真やナンバーの違う車が来ることがあるようですが、通報すれば登録資格がなくなり質が担保される仕組みです。また万が一のことがあっても、乗客とドライバーのアプリがGPSで居場所を発信しているため、女性ひとりでも安心して乗車することができます。

アプリの課金の仕組みも工夫されています。アプリの利用者からは1回予約あたり2リンギット(≒60円)を徴収します。安全・安心料です。一方、タクシードライバーからも紹介料を徴収していますが、ある運転手さんのお話ではこのアプリを利用するようになって1日の売り上げが2倍になったとのことで紹介料も痛くない様子。

登録されたタクシーのフロントガラスには“MyTeksi”アプリシールが大々的に貼られ、後部座席でも“MyTeksi”アプリがアピールされていました。

 

すなわち、安全・安心なタクシーの担保とブランディング効果としてこのアプリが機能し、スマートフォンを持たないドライバーはその土俵にさえ上ることができず時間とともにお客を失っていくことになります。成長過程にある国ならではのスマートフォンとアプリ、インターネットの新しい使い方と価値観を発見しました。

余談ですが、現地のWEBサイトや旅行アプリ“TripAdvisor”などを駆使して一人では決して入る勇気の出ないレストランにもチャレンジしました。やはりソーシャルの評判形成は外しません。レストランの入り口やロケーションで判断してはいけませんね。間違いなく味は本物でした。これもインターネット/デジタルのお陰です。

 
(非常においしいうどんのような昼食「ホッケン・ミー」)

 

「ALWAYS 三丁目の夕日」の国のインターネット/デジタルも新しい価値観をもたらし、世の中を少しずつよい方向に導いています。


協力
電通メディアベトナム(ホーチミン) 松本渉さん
電通メディア・マレーシア 蔡 綉珊さん

 

プロフィール

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    馬郡 健
    株式会社電通 デジタル・ビジネス局

    YouTubeなどを活用したソーシャルメディアプロモーションやARや画像認識技術を使った企画開発を手がける。その後、Facebook社との提携に参画し、公認ナビゲーションサイトFacebook naviやソーシャルを活用した地域活性プログラム「いいね!JAPANプロジェクト」を立ち上げる。また、母校である慶應義塾大学の體育會水泳部競泳部門監督も務める。

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