電通総研『情報メディア白書2014』発刊~巻頭で“イエソト”でのメディア行動分析を特集

 
 

電通総研『情報メディア白書2014』発刊

ここ数年普及が急速に進んだスマートフォン(スマホ)。手にした生活者の行動も大きく変わった。街中ではスマホを手にし、電車では操作する人が増えたことに気付く。『情報メディア白書2014』の巻頭特集では「イエソト」と題して屋外を7シーン(街中、電車・バス内、運転時、同乗時、駅構内、職場・学校、施設内)に分類して、各シーンにおけるメディア接触環境を把握した。 (電通総研メディアイノベーション研究部)

 
 
   

スマホの急速な普及で生活者の行動に大きな変化

 

今回の調査では、スマホの普及率は全国平均で50.8%と既に半数を超える水準であることが分かった(図1)。都道府県別に見ると、東京都52.9%、神奈川県55.2%、千葉県56.1%。関西圏では大阪府53.8 % 、兵庫県52.3%、奈良県50.0%など。いち早く地下鉄における通信環境が整備された福岡市を含む福岡県は48.8%。比較的多い人口を抱える地域での普及率が高い。ここ数年でWi-FiやLTEなどの高速通信環境が急速に整備されたことも後押しした。スマホを手にし始めた生活者の行動は大きく変化し、生活者の「目」をスマホが奪いつつある。接触率と接触時間の両側面(図2)から見ても、イエソトの最大のリーチメディアはスマホとなることが分かった。

使用に別途アクセサリーを必要とする「運転時」のスマホ利用が相対的に低い以外は、どのシーンにおいてもスマホの接触率が高い。特に「電車・バス内」利用時の45. 3%や、「駅構内」にいる時の40.2%など、公共交通機関利用時において存在感が大きいことが分かる。確かに、日々の通勤時や通学時の生活者を観察していると、スマホでSNSやソーシャルゲームなどに没頭している人が多いことも事実。従来型携帯電話のスコアも「街中」では33.4%、「電車・バス内」では25.0%など、依然として比較的高いスコアを維持している。

さらにイエソトの生活者がスマホや従来型携帯電話を使って利用しているサービスを探ると、「電車・バス内」においてはニュースサイト閲覧が47.2%、SNSではLINEが34.1%、ツイッターが19.9%、フェイスブックが14.6%という結果になり、比較的視覚情報を主体にしたコミュニケーションを行っている様子がうかがえる。一方、「街中」ではメールサービスが44.7%、通話が39.2%。電車やバスなどのクローズドな空間と異なって通話の割合が大きい「駅構内」では、乗り換え地図検索が34.6%と、駅という場所ならではの情報行動が目立った格好だ。

 

   

街中でのスマホ接触率は40%超。2人に1人が「良い暇つぶし」に

 

特定シーン以外の「街中」での接触率は、スマホが42.7%と最もスコアが高いことが分かった(図3-1)。実際、最近よく街で見掛ける「スマホのながら操作」を行う人や、その行為を防止するキャンペーンからも、日本社会の中にスマホが相当程度浸透していることが分かる。前述のように、従来型携帯電話も33.4%とスコアが高く、携帯電話市場がスマホにすぐ全て移行するとは考えにくいだろう。

街中における重要なメディアとして、看板などの屋外広告が挙げられるが、そういった媒体への接触も高いことが分かった。当初はスマホが生活者の「目」を奪っていると考えていたが、屋外広告の接触率自体は30.3%と比較的高い。一方、外に持ち出せるタブレットは接触率が7.3%と依然低くとどまっており、街中での情報源としてはまだプレゼンスが小さい。

接触時間(図3-2)で見ると、意外にもパソコンが平均して60.8分間という結果が得られ、全ての情報源の中で最大となった。Wi-Fiなどの無線技術やポータビリティーが向上した結果である。また、聴覚メディアとしては音楽再生プレーヤーも47.4分と長い。スマホは43.4分と、比較的長い時間使用されている。また、屋外の広告・看板とバスやタクシーの車体広告は、それぞれ12.6分、9.8分となっており、他の情報源と比較すると接触時間は少ないのが現状だ。

また、それぞれの情報源に対して求めているベネフィットを見ると(図4)、スマホは、「良い暇つぶしになる」が51. 3 %と最も多く、「手軽に情報にアクセスできる」47.7%、「欲しい時だけ情報を引き出すことができる」46. 3%が続いた。スマホを使って時間を有効活用しようというマインドが強いことが分かる。

これだけスマホの普及率が高くなると、それを持つ生活者の行動パターンを捉えることが重要になるのは明白だ。スマホは個別最適な情報ツールとしては非常に優れているが、広告媒体としての情報発信量は決して大きいものではなく、効率性ではマスメディアに劣ることも否めない。ただ、生活者を狙い撃ちできるツールであることは間違いなく、街中にいる生活者を消費者に変身させるためには綿密なマーケティング設計が重要となる。調査結果からスマホは暇つぶしの手段としての性格が強いことも分かっており、この「スキマ時間」をいかに有効に情報発信の受け皿として活用するかという、生活者の動線設計が必要だ。例えば、今後デジタルサイネージのネットワーク化によって、街中での情報発信手段が多層化することも考えられる。さらに、位置情報や購買履歴などの情報処理技術が進歩すれば、家の中にいる時から水面下で消費者の争奪戦が始まるだろう。

   

電車・バス内、車の運転時のメディア行動についても詳細分析

 

ここでは「街中」以外のシーンを個別に概観したい。「電車・バス内」では、スマホの接触率が45.3%に達し、ペーパーメディアで最も高い本(書籍)を上回っている。また、中吊りなどの車内広告への接触が32.6%となっている。音楽再生プレーヤーは21.8%で、接触時間は42.6分と最も長い。交通システムに対応したコミュニケーション設計が重要だ。「運転時」では、視覚情報よりも聴覚情報の方が相性が良く、カーナビの接触が最も高く42.2%で、ラジオも35.6%と健闘。カーオーディオを使用するユーザーも31.3%に達している。スマホのナビへの接触は4.3%にとどまる。「同乗時」では、スマートフォンの接触率が35.0%に達し、運転時よりも高い。カーナビとカーオーディオも15%前後。ただし、一方で同乗時に「特にない」、つまりメディア接触行動を行っていない割合も29. 2%。「駅構内」では、スマホと駅構内の広告・看板の接触が高いが、一方で24.0%が特に何も接触していない。音楽再生プレーヤーやタブレットを使うユーザーはいったん使うと比較的長い時間使用する傾向がある。スマホには良い暇つぶしになることを求めている。「職場・学校」では、パソコンとスマホの接触率が高く、他の情報源はそれほど高くなかった。パソコンに関しては接触率と接触時間の両方でトップクラスだが、スマホも存在感が高い。ラジオは接触率こそ低いものの接触時間が非常に長い。「施設内」とは、商業施設やカフェなどの公共の場所だが、全般的に情報メディアへの接触が少なく、スマホの接触率は他のシーンに比べて低調。情報メディアの中ではスマホへの接触が最多で26.7%だが、約半数は接触メディアがない。本や雑誌などのペーパーメディアの接触率は低いものの、接触時間は比較的長くなる傾向にある。

以上のように、イエソトでのスマホの接触率は多くの情報源の中でも高く、生活者の視覚情報の多くを占めている。そういったデバイスの普及に呼応するように、屋外広告とスマホを連動させる取り組みや、O2O的なリアル店舗とネット通販との融合が増えてくるとみられる。生活者が情報を検索して調べる行為も自然と増えていくことにより検索連動型広告の市場を後押ししていくだろう。

調査は、2013年8月31日~9月1日、
全国の15~69歳男女を対象に インターネットで実施。
有効サンプル数は2400
 

 


 
 

『情報メディア白書2014』

 電通総研
 メディアイノベーション研究部 編

巻頭特集は「変化が明らかになったオーディエンスのメディア接触行動」。本編は1部「情報メディア産業の動向」、2部「情報メディア関連データ」。2月14日、ダイヤモンド社発行。A4判、272ページ、1万6000円(税抜き)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ