セカイメガネ #01

ソーシャルメディアに触ってみる

  • Pforile
    中山 幸雄
    株式会社電通 電通イージス・ネットワーク事業局 クリエーティブ・アドバイザー

2006年から08年まで勤務の傍らベルリン・スクール・オブ・クリエーティブ・リーダーシップという学校(Executive MBA)に通っていた。07年シカゴで実施されたデジタル講義で、リシャッド・トバコワラ(当時インタラクティブ・エージェンシーDenuo CEO)が「デジタル・ツナミ」と題するレクチャーを行った。

「今起きているデジタル革命は、老若男女を問わず一気に巻き込むもので、これまでの知識、経験にしがみついていては全く理解できない」とトバコワラは話した。

このセッションと梅田望夫『ウェブ進化論』を読んだことがきっかけで実名ブログを書き始めた。以来6年、毎日記事を書いているが一度も炎上せず50人から100人ほどの読者に累計80万ページビュー閲覧されてきた。続いてツイッターで1000人フォローし、フェイスブックで友人とつながり、フォースクエアでランキングを競いバッジを集めた。

アップル、グーグル、アマゾン、フェイスブックのデジタル四天王に挑み下克上を仕掛けるのはいったい誰だろうと観察していると、日本からアプリ「LINE(ライン)」が現れた。

スマートフォン、携帯を持つ同士が承認し合えば電話、メールが無料になると知り登録した。基本は一対一の閉じた関係で行われるコミュニケーションである。世界231カ国・地域で登録ユーザーが1億5千万人を突破した。数字の実感がつかみづらいのは、ツイッター、フェイスブックのタイムラインのようには商勢感が見えないからだ。

メールにおける絵文字の進化形であるスタンプにより人気に火が付き、課金可能なビジネスモデルへ成長してきた。オープンにつながる目的だったソーシャルメディアを、ある領域で閉ざすことでコミュニケーションが個人化し始めた。喜怒哀楽を豊かにユーモラスに表現するスタンプに、マンガやカワイイ文化など日本のお家芸が生きたことが面白い。LINEは僕の予測と違う場所から飛び出した日本発のsomething newである。デジタル・ツナミに巻き込まれそうになったときは、自分の触覚を使って立ち位置を確かめる。something newとの付き合い方が見えてくる。

さて、今回から始まった「セカイメガネ」は電通ネットワークの同僚であるクリエーティブ・ディレクターたちが自分の街、市場で発見したsomething newを読者の皆さんにお届けする小コラムだ。
世界の動きをクリエーティブ視点で観察する小窓になればいいと思っている。どうぞご愛読ください。(文中敬称略)

プロフィール

  • Pforile
    中山 幸雄
    株式会社電通 電通イージス・ネットワーク事業局 クリエーティブ・アドバイザー

    京都大学理学部生物物理学科卒業。ベルリン・スクール・オブ・クリエーティブ・リーダーシップMBA取得。カンヌ・フェスティバル・オブ・クリエイティビティ、クリオ、アドフェスト(プロモ・ダイレクト部門審査委員長)、スパイクスアジア、AdStars、The CUP、クレスタ、ニューヨーク・フェスティバル、ロンドン・インターナショナル・アワーズなどで審査員を務める。国内海外の広告賞で12のグランプリを獲得(テレビCM・ラジオCM)。電通の同僚たちと広告クリエーティブに関する著作3冊を執筆・出版。仕事をしていないときは、日本でナンバーワンのラジオコマーシャル・ライター/ディレクターの妻、二匹の猫とのんびりとした、幸福な生活を送っている。

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