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経営をクリエイティビティで拡張する、BXへの挑戦No.3

既成概念からの脱却!若手BXクリエイターの挑戦(後編)

2023/03/03

1954年の創業以来、水、空気、ガスといったライフライン設備の設計・施工を請け負うプロフェッショナルとして、長らく地域に愛されてきた若林設備工業。

同社は100年続く「三方良し」の経営を目指し、新たなコンセプトと経営戦略を立案。それを体現する新規事業として、電通とともに空間サブスクリプションサービス「room tailor」を開発しました。

前回に引き続き、当プロジェクトの電通クリエイティブチームに、room tailorにおけるチャレンジや、BX(※)を通じて新規事業を成功させるためのポイントを聞きました。

(※)=BX(ビジネストランスフォーメーション)
顧客企業の事業成長と企業変革を実現するビジネス変革領域。顧客企業のトップラインを伸ばすために、既存事業の変革や新規事業の創出、企業のインナー改革を含めた支援を行い、成長にコミットする。
 
room tailor
参加メンバー】(左から)金塚成美、油井俊哉、山口大空翔、アーロン・ズー

【room tailorとは】

若林設備工業による空間サブスクリプションサービス。暮らしに自分だけのテーマを設定し、テーマに合わせてクリエイター/女優/インフルエンサー/フィットネスモデルなど、第一線で活躍するプロのアドバイザーが必要な家具・家電を選定。入居後もアドバイザーと定期的にオンライン相談が可能で、今まで以上に暮らしを充実させていくことができる。
https://roomtailor.jp

 

イノベーションは、異なる知識と経験の組み合わせによって生まれる

──今回、事業計画やサービス設計だけでなく、ウェブサイトやコンセプトブックなどのアウトプットも制作していますが、コンセプトブックにはどのような狙いがあったのでしょうか?

油井:まず、若林設備工業がroom tailorを通じて目指す世界を具体化する狙いがあります。コンセプトブックを使ってステークホルダーの方々に新規事業のコンセプトやビジョンを伝えるなど、セールスツールとしての役割ですね。また、今までにないサービスなので、ユーザーに対して「暮らしにテーマを」というコンセプトが、自分たちの生活をどのように豊かにしてくれるのかを分かりやすく伝えたいという意図もありました。

金塚:新しい暮らしを提案するサービスだからこそ、単なる説明ではなくストーリー性のある絵本のような体裁にするなど、ワクワク感を訴求する工夫をしています。

金塚

アーロン:新規事業という形がないもの、しかも誰も見たことがないサービスを作る上で、実際に手に触ってイメージできる媒体を作ることは大事だと思います。ただのコンサルティングにとどまらないクリエイティビティは私たち電通のBXの強みの一つだと思うので、そこをうまく活用してクライアントの新規事業に貢献できたことは良かったですよね。

山口:そうですね。チームも専門分野も異なるメンバーが集まって有機的に動くことで新しい化学反応が生まれるので、新しいビジネスやサービスを作る新規事業との相性は良いですよね。

アーロン:本当にそう思います。イノベーションは異なる知識と経験の組み合わせによって起こるものなので、クライアントの新規事業に向き合うわれわれ自身も変革に挑戦することが大切なのだと、改めて学ぶことができましたよね。

room tailor
room tailorのコンセプトブック

「暮らしにテーマを」が当たり前になる世の中を作りたい

──room tailorはこれからも進化し続けると思いますが、まずはローンチされたサービスに対してどんな思いがありますか?

油井:今回は自分自身もユーザーとして使いたい、欲しいと思うコンセプトモデルを作れたことがすごく良かったと思っています。個人的にはウェブサイトの一部をコーディングしたり、コンセプトブックの制作に携わったりと、自分が手を動かして作っていった実感があるので、とても愛着があります。

山口:確かに。クライアントの先にいるユーザーに対しても、そして自分たちに対しても、自信を持っておすすめできるサービスを作れましたよね。

山口

──今後、room tailorをどのように発展させていく予定ですか?

アーロン:あくまでも今はサービスとして立ち上がった段階なので、次の目標は収益化です。そのためにはサービスのさらなるブラッシュアップも必要ですし、一緒に取り組んでいただけるパートナーを探すことも大事だと思っています。若林設備工業の次世代にも受け継がれていくような事業に育てていきたいので、そのためにもビジネスとして成立させることがポイントですよね。

油井:今まさに、次のステップをみんなで考えている最中です。暮らし方の変化のスピードも加速し、多様性もどんどん広がっている中で、アプリをアップデートする感覚で暮らしのテーマを変えられるようなサービスになったら面白いんじゃないかなって思います。

金塚:いいですね。私は「暮らしにテーマを」というコンセプトにとても共感できるので、このコンセプトが決して特別なものではなく、当たり前のものとして世の中に浸透してほしいと思っています。暮らしにテーマを持つことって普通だよね、という状態まで広がったらうれしいですね。

room tailor

山口:room tailorのシグネイチャーモデルを作るのもアリかもしれません。「暮らしにテーマを」というコンセプトを聞くと、一人一人の興味関心に合わせて暮らしを個別最適化していくようなイメージを持つ人が多いと思うのですが、それだけではなく「room tailorといえばあの暮らしができるサービスだよね」というシグネイチャーがあると、もっと多くの人に興味を持ってもらえる気がします。

油井:ユーザーの価値観や理想とする暮らしにフィットして、かつ若林設備工業にとっても嬉しい、そんなテーマを増やしていきたいですよね。

アーロン:そこはクリエイティブティの見せ所ですね。その切り口があったか!っていう驚きとワクワクのあるテーマを作っていきたいです。

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