UXという、当たり前の革命 #04

UX企業とUXを意識し始めた企業

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    水川 毅
    株式会社電通 Web&システム・ソリューション局 UXデザイン部

その企業が誕生した時からUX(ユーザーエクスペリエンス)と共に生きている企業もあれば、最近になってUXを意識し始めた企業もある。企業がUXそのものというケースは、誰もが知っているGoogle。この世界的有名企業のサービストップページは世界中の人々が知っているGoogleの検索窓のページである。この単純な検索窓が世界中を席巻した理由は明らかにUXが優れていたからに他ならない。

GoogleだけでなくYahoo!もまたUXから始まった企業といえよう。ポータルサイトを訪問する人がいて、その人たちが使うところから企業サービスが始まっているので、常にUXを考え続けて今に至っているのである。そこでのバナー広告もしかり。通信回線が太くなるにつれ表現力の豊かなバナーが普通になってきた。

こういったIT企業ではなく、インターネット出現以前から存在する企業にとってはUXをどうとらえるとメリットがあるのだろうか。

食品会社はどうだろう。自社WEBサイトからEコマースで商品を売る場合に、そのUXは重要であるが、UX以前に流通店舗での販売とEコマースでの販売のすみ分けや値段設定といった整理・調整が必要になるだろう。

ビール会社をたとえに出すならば期間限定で特別に工場直送ビールをプレゼントするキャンペーンや、そのビールをプレゼントではなく販売するといった従来にない付加価値を提供する際のUXは、WEBサイトを作るだけでなく、その特別な体験を継続できるような仕組みを設計しておくとユーザー側にもリピートする可能性が出てくる。
工場から生産、直送といったプロセスを動画で見せるファンサイトをSNSで構築し、次の直送時期がくるまで期待感を醸成するような設計も考えられる。

しかし、UXの考え方を突き詰めていくと、企業側の論理でなくユーザー側の論理になるので、工場直送ビールを例に出したがビールだけでなく、工場直送というジャンルでユーザー体験が醸成されるとすると、工場直送(あるいは産地直送も含む)の商品限定プラットフォームが存在する方がユーザーにとって良いのかもしれない。あるいはAmazonの中に工場直送商品カテゴリーがあれば良いだけの話かもしれない。

大きなビジネスがUXを考えると最終的には人々のスマートフォンの手元に収まる。手元のスマートフォンを操作する人々の風景は当たり前になっている。電車の中でも公園でも多くの人々がスマートフォンに向き合い何かしら操作をしている。何の操作をしているかは分からない。しかしその当たり前の風景の中に、今までにできなかったことをしている人がいても、私たちは気付けないのである。今までにできなかったことだということを、操作している本人ですら気付かないで暮らしているのだ。

今回の一言:
UXの考え方を突き詰めていくと、企業側の論理でなくユーザー側の論理になる。

プロフィール

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    水川 毅
    株式会社電通 Web&システム・ソリューション局 UXデザイン部

    1966年生まれ。コピーライターからキャリアを始め、CMプランナー、営業を経験。98年からインターネットビジネスに携わるが主にWEBディレクターとしてカンヌなど国内外の広告賞を50件以上受賞。2005年以降は電通の新規事業や、クライアントや、パートナー企業との事業の立ち上げを担当し、iPhoneアプリから事業プラットフォームまでを新たなビジネスモデルを作り出す。 共著に『企業のためのスマホ戦略羅針盤』。

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