Dentsu Design Talk #20

電子書籍 『ソーシャルデザインの広め方』(1)

  • Nagai
    永井 一史
    HAKUHODO DESIGN HAKUHODO DESIGN 代表取締役社長/アートディレクター
  • Fukushima2
    福島 治
    福島デザイン グラフィックデザイナー
  • 30
    並河 進
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター ソーシャルデザイナー/クリエーティブ・ディレクター/コピーライター
 

株式会社ブックウォーカーが展開するコンパクトな電子書籍専用レーベル【カドカワ・ミニッツブック】か ら、「DENTSU DESIGN TALK」シリーズの第三弾が配信されました。
第三弾は、HAKUHODO DESIGNを設立した永井一史さん、ADKを経て福島デザインを設立した福島治さん、電通ソーシャル・デザイン・エンジンの並河進さんによる『ソーシャ ルデザインの広め方』です。社会との関係を模索し、ユニセフ「祈りのツリープロジェクト」でつながった3人のトークを少しずつご紹介致します。

 

 

<ユニセフ「祈りのツリープロジェクト」ができるまで>

 

並河 2011年3月11日の後、たしか4月に入って福島さんから連絡をいただいてスタートしたのが、「祈りのツリープロジェクト」でした。福島さんにはそれ以前から連絡をいただいていたんですが、永井さんとはこれが初めての出会いで、電通と博報堂という普段一緒に仕事することは、まずありえないところで、いろんなプロジェクトに発展しました。

このプロジェクトを考えついた福島さんから、改めて最初の想いをお聞かせください。

 

福島 私たちは、普段広告を中心として、いろんな人にものを伝える仕事をしていますが、震災が起きた時に、そうした力を使って何か大きな支援活動ができなかったら、広告業界って超カッコ悪い業界になるって思ったんですね。ただし、自分たちだけで行なうのではなく、みんなが力を合わせていっしょになることで成立するプロジェクトができたらいいなあと思っていたんです。

でも私はまったく経験がなかったので、最初に書いた企画書がものすごく乱暴で「とにかく5億円集めましょう」というものでした。そうすると、クリスマスに被災地の子どもたち全員に1万円のおもちゃ券をプレゼントできますと。すると、永井さんに「ちょっと待って、違うんじゃないの?」と言われて、そこからプロジェクトの企画が始まったんです。

 

並河 そうでしたね。最初に福島さんの想いがあって、「デザイナーがサンタクロースになろう」と仰っていたんですけど、そこに永井さんが「祈りのツリープロジェクト」をオーナメント(記念品)でやったらどうかという提案をされたんです。

僕はそのとき、永井さんがデザイナーの方たちのモチベーションのこともすごく考えられているなと思いました。オーナメントが遠くに届けられることももちろん考えられているのですが、同じものが銀座でも飾られることで、みんなの気持ちを更に高めていくという設計になっていて、すごく感心したんです。

 

永井 福島さんは、プレゼントする寄付をどうやって集めるかということを主に考えていたと思うんです。もちろんお金を集めることも大事だけど、特にデザイナーの人たち中心のプロジェクトにするという前提で、多くの人が参加でき、デザイナーが自分の持つ力を復興支援にどうつなげるかを考えたときに、僕は、「気持ちをオーナメントのデザインに託して被災地に届ける」ということが一番真ん中にあるのが良いと思いました。そのオーナメントが無数についた大きなツリーを被災地に立てたい。それが最初に思ったイメージでした。

オークションでチャリティーもやったので、当然お金もついてきますが、お金が真ん中じゃなくて、やっぱり我々が信じているのはクリエイティブの力じゃないかなと。

そのアイデアを考えた後、さらに、こういう時ってどうしても想いが先に立つんだけども、このプロジェクトは多くの人が関わるので、デザイナーがどういう気持ちで参加するか、協力してくれる人たちがどのような気持ちで参画できるか、このプロジェクトをどう組み立てればちゃんと動いていくかまで考えてオーガナイズしないと、想いだけはあるけど広がらなくなってしまう。そう考えたんです。

(つづく)

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プロフィール

  • Nagai
    永井 一史
    HAKUHODO DESIGN HAKUHODO DESIGN 代表取締役社長/アートディレクター

    1961年生まれ。1985年多摩美術大学卒業後、㈱博報堂入社。
    2003年、㈱HAKUHODO DESIGNを設立。
    2007年、デザインを通じてソーシャルイシューの解決支援に取り組む活動を手がける、Hakuhodo+designプロジェクトを主宰。2008年から3年間、雑誌「広告」編集長を務める。
    毎日デザイン賞、クリエイター・オブ・ザ・イヤー、ADC賞グランプリなど受賞多数。

  • Fukushima2
    福島 治
    福島デザイン グラフィックデザイナー

    1958年生まれ。東京工芸大学デザイン学科教授。
    日本デザイナー学院グラフィックコース卒業、浅葉克己デザイン室、ADK を経て、
    1999 年福島デザイン設立。ソーシャルデザイン、デザイン教育、グラフィックデザイン、広告など活動範囲は多岐にわたる。障害者アートライブラリー「アートビリティ」の活動支援を始め、unicef祈りのツリープロジェクト、JAGDA やさしいハンカチプロジェクトの企画・実施や社会貢献をテーマとした展覧会の開催など、ソーシャルコミュニケーションを中心としたデザインや講演活動を行っている。
    東京ADC 賞、カンヌ国際広告祭 金賞及び銅賞、世界ポスタートリエンナーレトヤマ グランプリ受賞など、受賞多数。

  • 30
    並河 進
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター ソーシャルデザイナー/クリエーティブ・ディレクター/コピーライター

    1973年生まれ。
    電通ソーシャル・デザイン・エンジン代表。
    社会貢献と企業をつなぐソーシャル・プロジェクトを数多く手掛ける。「電通ギャルラボ」代表。ワールドシフト・ネットワーク・ジャパン・クリエーティブディレクター。上智大学大学院、東京工芸大学非常勤講師。受賞歴に、ACCシルバー、TCC新人賞、読売広告大賞など。著書に『下駄箱のラブレター』(ポプラ社)、『しろくまくんどうして?』(朝日新聞出版)、『ハッピーバースデイ 3.11』(飛鳥新社)、『Social Design 社会をちょっとよくするプロジェクトのつくりかた』(木楽舎)他。

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