スポリューション #02

スポーツ×ウェアラブル 

「ウェアラブルで生活が変わる・・・

ブレークの鍵は?!」(前編)

  • Noguchi
    野口 嘉一
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター プランニング・ディレクター
スポーツコンテンツをメディア枠と捉えるだけではなく、ソリューションとしても捉えることで、新しいビジネスチャンスを生み出す ことにトライしているソリューションユニット「SPOLUTION(スポリューション)」チーム。そのチームメンバーたちが、それぞれの視点から、これか らのスポーツ関連のビジネスチャンスについて、リレーコラム形式でご紹介します。

「スポリューション」チームの野口嘉一と申します。チームの中で一番オジさんなのですが、【スポーツ×ウェアラブル】の話を2回にわたってしたいと思います。

 <今回のコンテンツ>
(1)ウェアラブルで生活が変わる?! 
(2)【スポーツ×ウェアラブル】・・・SO WHAT?
 
(1)ウェアラブルで生活が変わる?! 
あるシンクタンクの予測によると、2016年には、スマートウォッチは1億台、スマートグラスは1千万台の市場規模になるそうです。

    矢野経済研究所「スマートグラスとスマートウォッチに関する調査結果 2013」

が、ウェアラブルの市場は、何もその二つのアイテムだけでなく、その周辺に大きく広がっています。
 
何といいますか、みんなの生活が変わるわけです。
 
スマホが普及したとき、みんなの生活は変わりました。電車の中の過ごし方も、仕事の連絡の仕方も、おしゃべりや話題の共有の仕方も、変わりました。
 
ビジネスチャンスは、こうした「生活の変化」の中にあります。
「ウェアラブル生活」への変化をとらえた商品、あるいはもっと積極的に、この変化を主導する商品が売れるわけです。
 
(2)【スポーツ×ウェアラブル】・・・SO WHAT? 
さて、【スポーツ×ウェアラブル】です。
スポーツがからむと、ともすればオタク的テクノロジーの話題も、一気に明るく開かれたものになります。
スポーツで汗をかくと自然に笑みがこぼれるし、スポーツの話題ならほとんどの人と共有できるし、テクノロジーを使いこなしてスポーツをやる姿は、とても格好がいいですね。
 
この世界の可能性に、さまざまな商品やサービスが、どんどん生まれてきています。いくつかご紹介します。
 
ナイキのFuelBandは2012年のカンヌライオンズでグランプリをとりました。好きモノの間では結構話題になり、何とはなしにいつもしている人は随分増えてきました。

アンダーアーマー社のコンセプトビデオは、このスポーツ×ウェアラブルの近未来像を、魅力的に描き出しています。

 
縦横垂直3軸センサーで運動量を把握し、GPSを組み合わせて運動の記録を正確にとり、心拍数を測ったり、脳波を見たりする製品は、どんどん出てきています。

GOW, next release in USA.
Hexoskin Wearable Body Metrics 


一方で、手の動きやカラダの動き自体を読み取って、機器の操作ができるようなインターフェースもどんどんできています。指さしたり振り払ったりすることで出てくる情報が自由自在に変わっていく、映画「マイノリティレポート」の例のアレです。

センシングの精度を上げると、今度は、スポーツをやるときのさまざまな挙動のスピードや精度を測定できるようになります。走る、跳ぶ、泳ぐ、等々の挙動を詳細にセンシングし、記録し、解析することでパフォーマンスを上げる試みは、トップレベルのスポーツの現場には、どんどん導入されてきています。

 

 一般のアマチュアスポーツプレーヤーのためのデバイスも出てきました。ソニーの「スマートテニスセンサー」をテニスラケットのグリップに装着すると、ショットのスピードや精度が分かります。エプソンのゴルフスイング解析機をゴルフクラブにつけると、スイングアークの軌道や、インパクトのスピード・角度が分かります。

ソニー「Smart Tennis Sensor SSE-TN1」 2014年1月発表 5月発売予定。
エプソン ゴルフスイング解析機「M-Tracer」 2014年2月発表 4月発売予定。

 

これらの機器、それぞれとても素晴らしいです。
これらを導入すれば、確かに「トレーニング」は変わります。
ストップウォッチ片手に手首で脈を測りながらやるトレーニングとは、随分違うトレーニングの光景が生まれるでしょう。

また、ガジェットとしてはとても萌えます。持っている人がとても格好良く見えます。
実際、ウェアラブル機器の市場には、たくさんのファッションブランドがコラボレーションに名乗りを上げています。こういうモノたちを身に着ける、という新しい「スタイル」が生まれてきつつあるからですね。

 でも、SO WHAT?
そういうモノを導入すると、「生活」は変わるんでしょうか?
「生活を変える」ところまでいっているでしょうか?
 
新奇なテクノロジーの魅力に集まるのはテッキー(※テクノロジーオタク)だけ。
新奇なファッションに飛びつくのは新しモノ好きだけ。
それに対して、大きなビジネスチャンスを生み出すのは、生活を変えること。
 
ウェアラブル黎明期には、とてもたくさんの商品やサービスが乱立するでしょう。
でも、その中で、大きくブレークし、大きなビジネスチャンスをつかむのはごく一部だけ。
 
そうしたブレークを生み出す鍵は何か、考えてみました。
 
(3)ブレークの鍵を考える 
「スポリューション」チームでは、生活を変え、大きなビジネスチャンスを生み出すための鍵は、「UXデザインと話題化のセット」だと考えています。
 
「UX(ユーザーエクスペリエンス)」とは、つまり使ってみた感じやそこで起きること全部です。
「話題化」とは、一部の「好きモノ」たちにとどまらず、たくさんの人たちがそれに関心や好意を寄せるように仕組むことです。
 
どんなに素晴らしい技術でも、どんなに素晴らしい素材を使っていても、「これ、使ってみてよかった」と思わせる体験(UX)がなかったら、「欲しいもの」にはなりません。
 
また、どんなにいいUXがあっても、その良さをうまく伝えられないようなものだったら、ブレークしません。
 
単純なことですが、「これ、使ってみてよかった」という体験(UX)があって、しかも「こんなふうによかったよ」と話題化しやすいようなものこそがヒットする、ということです。
 
ブレークの鍵は「意味」です。
 
使う「意味」がなければ需要はありません。
使う「意味」が分かりやすくなければ需要は広がりません。
そして、生活の中でそれを使うことの「意味」が、使う人にとって明確になるようにすることこそが「UXデザイン」であり、「意味」を分かりやすい言葉や文脈にのせることこそが、「話題化」です。
 
分かりやすくて口の端に乗せやすい、つまり話題化しやすい「意味」をしっかりと規定し、そこから逆算してユーザーインターフェースも含めたユーザー体験(UX)そのものをデザインする。それが、このウェブの時代、ソーシャルメディアの時代のヒットのさせ方じゃないかと思います。
 
「技術」や「スペック」から発想するのではダメ。必ず「SO WHAT?」になります。
ユーザーにとっての「意味」から発想すべきです。


 
次回、例を挙げて説明します。
(続く)

★「スポリューション」チームとは?

スポーツコンテンツを、「メディア物件」として捉えるだけではなく、事業課題や、プロジェクト課題を解決するための「ソリューション」として捉え、企画する電通社内ユニットです。
チー ム内には、スポーツプランニングの実績が豊富な、戦略プランナー、プロモーションプランナー、コピーライター、アートディレクター、テクノロジスト、コンサルタント、プロデューサーなど、多種多様な人材をそろえており、ソリューションディレクター制によって、「表現のアイデア」だけでなく、「解決策のアイデア」を、ワンストップでご提供いたします。

プロフィール

  • Noguchi
    野口 嘉一
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター プランニング・ディレクター

    戦略プランナー/コンサルタントとして、IT系・外資系クライアントの担当を歴任。昨年から、スポーツをソリューションにするユニット「スポリューション」チームのプロデューサー。低成長・高齢化社会の中で、数少ない大きなビジネスチャンスとしてスポーツを捉えており、日本を、そして日本企業を、スポーツで元気にする野望を抱いている。

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