アジア発★ アドフェスト2014リポート①

アドフェスト2014

電通が史上初の3冠達成

ネットワーク/エージェンシー/インタラクティブ・エージェンシー・オブ・ザ・イヤー

 
第17回「アジア太平洋広告祭」(アドフェスト2014)が3月6~8日の3日間、タイ・パタヤで開かれ、53都市から約1100人が参集した。今年のテーマは「Co-Create the Future」(未来の共創)。同広告祭プレジデント、ジミー・ラム氏は「新しい絆やパートナーシップをつくり出すこと。私たちの将来は、広告の枠を超えたコラボレーションにかかっている」と説明した。アワードは全17部門。41都市から3253点の応募を集めた。審査団は計56人で構成され、電通グループからは日本、シンガポール、タイから5人が参加した。
 
左から、古川、菅野、テッド・リムの3氏
電通は5部門で最高賞のグランデを獲得。金6、銀16、銅19と受賞数を伸ばした。ファイナリスト(受賞選考通過作品)を含む受賞成績をエージェンシーごとに算出して表彰する年間の最優秀賞では、電通が日系ネットワークとして初めて「ネットワーク・オブ・ザ・イヤー」に輝いた他、「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー」「インタラクティブ・エージェンシー・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれ、3冠を果たした。博報堂が選出された「ダイレクト/プロモ・エージェンシー・オブ・ザ・イヤー」と合わせ、エージェンシーに贈られる最優秀賞は四つ。3冠達成というアドフェスト史上初の快挙に、電通コミュニケーション・デザイン・センター長の古川裕也氏は「オフィス単体対象のエージェンシー・オブ・ザ・イヤーは本来毎年取るべきものだが、ネットワーク・オブ・ザ・イヤーは構造的に無理だと思っていたのでとてもうれしい。これを起点にグローバルネットワークとして高度に構築されていくといいと思う。朝8時に集まって社内選考し出品物を修正してきたかいがあった。中身を見るとカンヌは決して楽観できないけれど」と、喜びと課題を率直に語った。共にネットワーク賞を手にした電通イージス・ネットワークのチーフ・クリエーティブ・オフィサー(アジアパシフィック担当)テッド・リム氏は「域内のクリエーターたちにとって大きな活力になる」と述べた。
 
 
電通グループは同広告祭会場で「電通イージス・ネットワークCDカンファレンス」を実施。ネットワーク内の知見共有と“共創力”向上のため、アジアのクリエーティブディレクターら約40人が集結した。
 
3冠に大きく貢献したのが、インテグレーテッド、インタラクティブ、プロモの3部門でグランデのホンダ「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」。伝説のドライバー、アイルトン・セナが1989年のF1日本グランプリ予選で樹立した世界最速ラップを、紙1枚の走行データから再現したエンジン音と、コース上に設置した無数のLEDライトで華麗によみがえらせた。インタラクティブ部門のグラハム・ケリー審査委員長は「異なるテクノロジーを融合した手法は見事。デジタルで感動を呼び起こした数少ない作品だ」と絶賛。作品を手掛けた電通コミュニケーション・デザイン・センターの菅野薫氏は「24年の時を経て、ホンダと共に世界を圧倒し再びポールポジションに立った、亡きアイルトン・セナにこの称賛をささげたい」と哀惜と感謝を表した。
 
フィルム部門を制したのは日清食品カップヌードルの「グローバリゼーション」。同作品は、これからを生きる若者たちに、今という時代ならではの困難を共に闘い克服しようと呼び掛ける「SURVIVE!」キャンペーンの第1弾。英語社内公用語化という波を乗り越えようとする若者たちの気持ちが、幕末から明治の西洋化に立ち向かう武士の世界観で描かれている。若者たちとの絆づくりという老舗ブランドの課題に、ブランドにふさわしいスケール感とユーモアで応え、「地域特有の課題が見事に笑いのあるエンターテインメントに昇華された。全要素が最高レベルにあって初めて起きる“マジック”だ」と、最大級の賛辞を得た。指揮を執った電通コミュニケーション・デザイン・センターの東畑幸多氏は「スタッフの総合力の結集。一人では絶対にできない仕事だけになおさらうれしい」と述べた。
 
デザイン部門のグランデは、医療グループ葵鐘会(ベルネット)の「マザーブック」。妊産婦の口コミを誘発するプロモーションツールで、妊娠・出産という大切なイベントを思い出深いものにするため、本の中でもおなかが膨らんでいく仕掛け。40週の妊娠期間に合わせて40ページで構成し、その時々の赤ちゃんの状態を表現した40パターンのデザインが施されている。デザインとコピー(例:26週目「ママが食べた味を赤ちゃんも味わえるようになります」)により、赤ちゃんの様子を具体的に想像できる。アイデア、クラフトワークとも最高の評価を受けた。制作は電通中部支社のクリエーティブチーム。受賞について土橋通仁氏は「表現を徹底して信じてくれたクライアントと、不可能と言われたアイデアを実現した制作チームのおかげ。一人でも欠けたら受賞は難しかった」と語った。
 
授賞式では、デザイン部門銀賞の一心堂本舗「歌舞伎フェイスパック」を手掛けた電通中部の小島梢氏と朱芳儀氏が同商品を着けて登壇、会場を沸かせた。
 
ヤング部門には13チームが参加し、台湾電通チームが優勝した。若手映像クリエーターによるショートフィルムの競作セッション「ファビュラス・フォー」には、電通クリエーティブXの畔柳恵輔氏、フリーのフィルムディレクター節田朋一郎氏らが出場。節田氏の作品「A Man」が最優秀に選ばれた。

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ