シンブン!今だからできること。今しかできないこと。 #06

東北復興のために新聞ができること(2)

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    北出 康博
    株式会社電通 MCプランニング局 メディア・ソリューション室 エリア・ソリューション部長

 ゆっくり急ぐ 

~つなぎ、つたえ、つづけていきたいこと~
東北復興サポートネットワークの活動

 

2014年の3.11は朝から何か雰囲気が違った。朝8時、仙台駅に降り立った時にふと感じた静けさ。肌に痛いほどの冷たい空気の中、街中を歩きオフィスに向かう間に何度も目にしたのは日の丸。そう、宮城県は今年から3.11を「みやぎ鎮魂の日」とし、小中高生が慰霊行事に参加できるよう、学校も基本お休み。それが、この荘厳で落ち着いた空気を生んでいたことにあらためて気が付いた。

 

(3.11朝の仙台市庁舎やオフィスビル。国旗も掲げられ、これまでの3.11とは違う空気に包まれていた。)

 
 
午後2時46分、私は夜に開催する「3.11大震災メモリアルイベント」(宮城県、河北新報社など主催)の会場にいた。その少し前、宮城県出身で総合司会をお願いしている山寺宏一さんが「時間大丈夫?」とスタッフにつぶやき始めるが、しばらくの間みなリハーサルに夢中でその意味に気が付かなかった。司会役のフリーアナウンサーである庄司さんが2分前に気が付き、慌ててみんなで黙祷。人には風化が一番の課題などと話してきた自分を猛烈に反省。

一方、街中では路上、お店の中など至る所で立ち止まり黙祷する人達の姿が例年以上に目立ったそうだ。ある百貨店の方が「2時46分、店内のお客さんがみな一斉に海に向かって黙祷した、これまで見たことのない光景だった。」とお話されていた。これも「みやぎ鎮魂の日」に制定された効果でもあるのだろう。忘れないことは大切だ。
 
4回目の3.11、人それぞれの状況、思いは少しずつでも確実に変化してきたのだろう。「3.11大震災メモリアルイベント」も昨年に続き2回目。もともとは宮城県の村井知事からの相談を受け、河北新報社が企画立案から実施まですべてを担い、われわれがそれをお手伝いするかたちで、趣旨にご賛同いただいた企業の皆様のお力を借りて実施している。普通、追悼式や慰霊祭というと、自治体が自ら予算化し実施するものと思われるかもしれない。確かにそうしたケースの方が圧倒的に多い。ただ、こうして企業と県民が一体となってつくり上げるイベントの良さもある。
 
今回のキーワードは「明日へ 未来へ」。まる3年たち、基本的な復旧段階から、前を向いて様々な創造的復興活動に取り組み始める時期にきた、そのキックオフとしての3.11にすることをコンセプトに実施した。
 
昨年以上に熱心な参加者が開始1時間以上前から開場前に行列をつくる、真冬並みの寒さの中。開始から約2時間半、詩の朗読あり、コンサートありの充実したコンテンツであっという間に大盛況にうちに閉幕。出演頂いた川嶋あいさん、岡本真夜さんは、お二人ともとても精力的に復興支援活動をされているが、その熱い思いが歌と語りからびしびしと突き刺さった。




(「3.11大震災メモリアルイベント」の模様)

 

川嶋あいさんは一つ一つ言葉を丁寧に選びながら、会場の人一人一人に正対して話すかのように被災者への思いを語った、「被災された方には、“がんばれ”ではなく“大丈夫だよ”と声をかけたい」と。
村井知事も最後の挨拶で「これからは創造的復興を目指し、様々なチャレンジをしていきたい、その主役はみなさんです」と前を向いた村井知事らしい決意を表明、会場も一体となった。

3.11周辺のメディア報道は、被災者一人一人の姿にフォーカスし、それを通じて被災地の現状や課題を浮き彫りにするスタイルが多かった。もちろんもそれも大切であることは間違いない。ただ、一方で自治体や行政にも一日の休みもなく復興に携わっている方は多い。住民と行政、お上と庶民といった上下の関係でもない、責任を押し付ける感覚でもない、それぞれがそれぞれの立場でしっかり自立し、真摯に対等に向き合って一緒に新しい東北を創造していく、今回のメモリアルイベントはそのスタートとなった。


(MCP局エリア・ソリューション部 東北復興サポートネットワーク(※)仙台駐在 北出康博)

※東北復興サポートネットワーク:2011年3月11日の東日本大震災を受けて、電通の本業を通じて現地でどのような復興支援が行えるのか社内で検討し、同年8月に活動を開始した社内横断的バーチャルプロジェクトチーム。現在、MCプランニング局エリア・ソリューション部を基幹部署として、ラジオテレビ&エンタテインメント局や第15営業局のメンバーを加えた計6名で構成し、社内や電通東日本の関係各署とも協業しながら、主に岩手・宮城・福島の3県で活動中。活動開始から2年半余りの中で、地元自治体や中央省庁の復興関連事業、地元メディアと協働した復興イベント、地元民間企業の復興支援等々、活動実績は多岐にわたる。

プロフィール

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    新聞メディアにとって、今は大きな変革の時です。そんな今だからこそ、新聞広告は様々なチャレンジが可能となり、広告クリエーティブの幅もグンと拡がっています。このコラムでは、電通新聞局員が、新聞メディアの「今だからできること。今しかできないこと。」をテーマに連載していきます。みなさんに「今、新聞広告が面白い!」と思って頂けるような、新聞広告の最前線をお届けします!

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    北出 康博
    株式会社電通 MCプランニング局 メディア・ソリューション室 エリア・ソリューション部長

    1991年電通に入社。新聞局で新聞社担当、マーケティング担当等を経て、東北復興サポートネットワークの立ち上げから担当し、2011年8月より東北駐在を開始。2014年から現職となるが、引き続き東北復興支援活動中。早稲田大学、青山学院大学、専修大学、駒澤大学、宮城大学等にて講師多数実施。共著に「実践マーケティング・コミュニケーションズ」(第4章メディア、2005年)等多数。京都市出身。

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