アスリートとミュージシャンと コピーライターの新しい関係。

スポリューション №18

  • GLIM SPANKY
  • 落合 啓士
  • 松崎 英吾
  • 澤田 智洋

2015/10/19

アスリートとミュージシャンと
コピーライターの新しい関係。

スポーツコンテンツをメディア枠と捉えるだけではなく、ソリューションとしても捉えることで、新しいビジネスチャンスを生み出すことにトライしているソリューションユニット「SPOLUTION(スポリューション)」チーム。そのチームメンバーたちが、それぞれの視点から、これからのスポーツ関連のビジネスチャンスについて、リレーコラム形式でご紹介します。
スポリューション

リオパラリンピックの切符をかけて9月に日本で開催された、「ブラインドサッカーアジア選手権2015」。日本代表は惜しくもその出場権を逃しましたが、選手たちは既に「次」へと動きだしています。今回は、ブラインドサッカー日本代表キャプテンの落合啓士さん、日本ブラインドサッカー協会 事務局長の松崎英吾さん、ブラインドサッカー日本代表公式ソング「NEXT ONE」を書き下ろしたGLIM SPANKYのボーカル松尾レミさん、ギターの亀本寛貴さん、そして電通コピーライターの澤田智洋という異色の5人の対談をお届けします。

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左から、GLIM SPANKY 亀本 寛貴氏・松尾レミ氏、ブラインドサッカー日本代表 落合 啓士氏、電通 澤田 智洋氏、日本ブラインドサッカー協会 松崎 英吾氏
 

リオの先に見えているもの。

 

ーー改めて落合キャプテン、アジア選手権を終えていかがでしょうか?

落合:私たちも自信を持って挑みましたが、日本以上に中国、イランは強かったので、リオの切符は残念ながらつかめませんでした。とても落胆しましたが、結果は水物です。負けたことにいつまでもとらわれていても前へと進めません。
2020年まであと5年。多分あっと間に過ぎてしまうと思います。自国開催で、今まで一度もパラリンピックに出られていない日本がメダルを取るという、周りから見たら無謀な夢に挑戦していきたい。そのために必要なアクションを起こしていきたいです。

 

ーー本大会では全試合の選手入場時に、ブラインドサッカー日本代表のために書き下ろされたGLIM SPANKYの「NEXT ONE」が流れたそうですね。

落合:はい。実は日本選手団の会場へ向かうバス車中や、試合直前のロッカールームでも監督が曲を流して「これで気持ちを入れていこう」とみんなで言っていました。

レミ:ありがとうございます。「ブラインドサッカーと共にありたい」「一緒に上がっていきたい」、そんな思いを込めたので、この曲で入場する選手を見たときは胸が熱くなりました。

亀本:僕は、スポーツ選手をリスペクストしています。自分の手に届かないような人たち。そんな中、自分が音楽家としてスポーツに関われていることに誇らしい気持ちでした。

音楽は、スポーツのサポーターだ。

 
 

ーーGLIM SPANKYのお二人はブラインドサッカーを実際に体験したり、日本選手権を観戦したり、競技へ理解を十分に深めていただいた上で楽曲をつくったそうです。

落合:そうなんですね、ありがたいです。

レミ:とにかく、ブラインドサッカーの選手たちを鼓舞する楽曲をつくりたいと思いました。
そう考えると、リズムも軽すぎるとダメで、程よい重厚感があるべき。言葉も難し過ぎてはいけない。単純だけれど、強くて意味があるものに。この歌詞はブラインドサッカーに向けて書いたのですが、見える見えない関係なく誰にでも伝わると思います。

落合:「右も左も手引きは何も無いから」という歌詞が、ブラインドサッカーをイメージできてすごくよかったです。僕らは目が見えない状態で戦っているので、気持ちがプレーを左右します。「余計な不安を蹴れば 開くよ挑む世界が」という歌詞も、不安な時にこそ僕らに自信を持たせてくれました。

澤田:僕は楽曲タイトルの「NEXT ONE」が秀逸だと思いました。2020年という「次」に向けて、既に走りだしているブラインドサッカー選手たちとシンクロしていますね。

レミ:負けたとしてもNEXT ONEだし、勝ってもNEXT ONEだと思うんです。どんな結果であれ、NEXT ONEを求めたいという、私の人生の目標の言葉でもあります。

落合:今回の結果を受けて、ブラインドサッカーから離れようとしている選手もいるかもしれない。だけどこの楽曲は、その背中も押してくれる言葉だと思いました。

レミ:ありがとうございます。世界に向けて、次に向けて挑戦したいという私たちの気持ちと、世界と既に戦っているブラインドサッカーがそのまま重なり出てきた言葉です。

「NEXT ONE」が使われているブラインドサッカー日本代表公式PV
 

コピーライターの作業領域は広がっている。

 
 

ーーそもそも、なぜブラインドサッカーとGLIM SPANKYの組み合わせだったのでしょうか?

澤田:僕は、縁あって2年ほど日本ブラインドサッカー協会のコミュニケーションを手伝っています。そんなさなか、車を運転していたら、ラジオからある曲が流れてきました。それがGLIM SPANKYの「焦燥」という曲だったんです。

ーー偶然の出合いだったのですね。

澤田:そうなんです。日本人離れした声量と曲調に衝撃を受けました。すぐに楽曲を購入し、レコード会社を調べ、たまたま知り合いがいたので、ライブに行かせていただきました。そのパフォーマンスも本当に素晴らしくて…。
その時にふと、「GLIM SPANKYとブラインドサッカーは似ている」と感じたんです。ブラインドサッカーは、協会としても競技としてもさまざまな逆風が吹き荒れていて、だけど同時に追い風も吹いている。そういった複雑な状況の中で、歯を食いしばって一歩ずつ歩んでいる。
僕はGLIM SPANKYの楽曲やアーティストご本人からも、同じような印象を抱きました。魂が似ている。しかも、これからが勝負という、同じようなステージにいる。両者が組むと、エネルギーが増幅されるのではないかと思い立ち、まずは日本ブラインドサッカー協会事務局長の松崎さんにコラボを提案させていただきました。

松崎:僕はあまり新しい音楽を聴かないのですが、たまたまGLIM SPANKYのことはテレビで見て、衝撃を受けていたんです。その翌々日くらいに澤田さんから連絡いただいたのでびっくりしました。さまざまな風が吹き荒れる中で、思いが僕らとピッタリ重なり合いました。

澤田:通常のビジネス的なタイアップだと契約期間が決まっていますが、今回のコラボは、魂と魂でつながり、刺激し合う関係値を築きたいと思っています。
雑音に惑わされず、ピュアな気持ちでアスリートとミュージシャンが手を組み続けていけるといいのではと感じています。お互い「これからの人たち」なので。

どんな状況にもNEXT ONEはある。

 
 

ーーアスリート、ミュージシャン、コピーライター。それぞれの立場で、ご自身の次の目標、“NEXT ONE”を聞かせてもらえますか?

落合:先ほどお話しした通り2020年に向けて大きな目標はありますが、その前に「サッカーが好きで好きでしょうがない視覚障がい者」がまだまだ少ない。一番近い“NEXT”として、僕は新しい日本代表選手を育てたいです。僕らだけではメダルを取れないと思うので仲間を増やし、追い風にしたいです。

亀本:僕らは今デビューして2年目ですが、もっと音楽シーンの中で重要な存在になりたいです。と同時に僕らは、今回楽曲で目指したようにもっと人に寄り添うロックでありたい。どんなに僕らが大きくなっても、人のすぐ隣にいたい。

レミ:一番大きな自分の活力は、「次へ行こう」という気持ちです。私たちには、日本のロックを世界に発信したいという大きな夢があります。ロックは輸入文化なのでその時点で日本語はロックに合わないものだけど、そこに挑戦し続けて私たちが突破したい。

澤田:僕はコピーライターというのは、何かと何かをつなげる役割だと思っています。例えばブラインドサッカー世界選手権の「見えない。そんだけ。」という言葉をきっかけに、ブラインドサッカーと新しい観客をつなげられたと思っています。
今回でいうと、明確に言葉が介在しているわけでないけれど、ブラインドサッカーとGLIM SPANKYをつなげた。次はこの「NEXT ONE」という楽曲を、しかるべき人やシーンにつなげていきたいです。

落合:ぜひ、2020年とそれ以降にもつなげてほしいですね。

インタビュアー:久保田健斗 / フォトグラファー:Yuri Fujiwara (Allegro Moderato INC.)
 

★「スポリューション」チームとは?

スポーツコンテンツを、「メディア物件」として捉えるだけではなく、事業課題や、プロジェクト課題を解決するための「ソリューション」として捉え、企画する電通社内ユニットです。
チーム内には、スポーツプランニングの実績が豊富な、戦略プランナー、プロモーションプランナー、コピーライター、アートディレクター、テクノロジスト、コンサルタント、プロデューサーなど、多種多様な人材をそろえており、ソリューションディレクター制によって、「表現のアイデア」だけでなく、「解決策のアイデア」を、ワンストップでご提供いたします。