オウンドメディアについて私が知っている二、三の事柄 #01

オウンドメディアはおもてなしのココロ

4月になってからもう2週間たちましたね。
異動や転職だったり、大学を卒業して、この4月からウェブ担当になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このコラムでは、この何年か頻繁に聞かれるようになってきた「オウンドメディア」という題材についてお話をさせていただこうと思っています。

3月末や4月は多くの企業でサイトリニューアルが行われたり、新しく大きなサイトをオープンしたりする時期です。かくいう弊社も3月27日に3年ぶりのリニューアルを行いました。ウェブのトレンドはとても速いので、3~5年おきにリニューアルを行う企業がほとんどです。でもトレンドが速いといっても、基礎的な考え方は意外と変わらないものだと思っています。この連載では、そういった変わらないこと、そしてテクノロジーによって変わっていることを、双方まとめて語っていきたいと思っています。

さて、これから数回にわたって「オウンドメディア」というタイトルで連載をしていくわけですが、オウンドメディアって何でしょう?

いろいろな解釈がされていますが、字面通り解釈すれば、Owned Media=(企業や団体が)所有するメディア、となります。これはオンライン、オフライン問わずです。オンラインだったら企業(コーポレート)サイトやブランドサイト、商品サイトやECサイト、一時的なキャンペーンサイトだってオウンドメディアです。オフラインなら店舗やコールセンター、社内報や社員そのものまでオウンドメディアといえます。この連載では主にオンラインでのオウンドメディア、その中でも「顧客との中長期の関係構築を意識したオウンドメディア」についてお話ししていきます。

 

オウンドメディアに求められることは何なのでしょうか??

「顧客との中長期の関係構築を意識したオウンドメディア」ですが、代表的なところでは企業サイト、会員サイト、ブランドサイト、商品・ECサイトなどをイメージしていただけると分かりやすいと思います。企業やブランドが存続する限り存在するメディアであり、中長期にわたっての顧客を含むサイトユーザーとの良好な関係構築の視点なくしては成り立ちません。そういったメディアに求められることは何なのでしょうか??

究極に一言でそれを表そうとすれば、ありきたりなワードで恐縮ですが「おもてなし」という言葉に集約されると思います。
ウェブの世界では様々なテクノロジーやサービスが生まれては消えていきます。企業の担当者は、その採用可否に頭を悩ませることでしょう。しかしオウンドメディアの世界において採用すべきは、「利便性や心地良さがユーザーに還元されるテクノロジーやサービス」なのです。まずはユーザー視点で考える、ということを忘れてはなりません。

 オウンドメディアは「(企業や団体が)所有するメディア」だと書きました。そしてオフラインの世界では店舗は代表的なオウンドメディアです。店舗に例えると「おもてなし」の言葉の真意が分かりやすくなると思います。そう、オウンドメディアは店舗そのものなのです。

 

オウンドメディアをフィジカルに理解するには「おもてなし」の切り口で見てみる

例えば、店舗で以下のような体験をしたら、ちょっと嫌ですよね。

     
 

1

  オフィスやお店がゴチャゴチャしてると心地良い、という人はそうは居ませんよね?(もちろん業種によってはそれが売りの店舗もありますが)  
     

2

  じゃあトイレの位置が分かりにくかったらどうでしょうか?  
       

3

  値札が非常に小さいミミズ文字で書いてあったら?  
       

4

  カタログが整頓されておらず無造作に並べられていたら?  
       

5

  全ての商品に派手なPOPがついてて、どれが売りの商品なのか全く分からなかったら?  
       

6

  何回も来店して購入してるのに、店員が自分の好き嫌いを全く覚えてなかったら?  
       

7

  季節商品が並べられてなかったら? 逆に季節限定やキャンペーンの商品ばかり薦めてきたら?  
       

8

  お店自体はイイんだけど、店員の数が少なすぎて全く相手にしてくれなかったら?もしくは多すぎて逆に落ち着かなかったら?  
 
     
 

平凡な視点と思われるかもしれませんが、オウンドメディアをフィジカルに理解するには「おもてなし」の切り口で見てみることが一番です。まずは「一番うるさいユーザー」になってみてください。そしてその不満を言葉にする努力をしてみることです。

先ほど例に出した店舗での「おもてなし」要素を、オウンドメディアでの「おもてなし」要素に置き換えてみましょう。

     
 

1

  そのお店の品ぞろえは十分か = コンテンツ
基本コンテンツとオリジナルコンテンツの比率や競合他社と比較してのキラーコンテンツの存在。
 
     

2

  そのお店の導線設計(例えばトイレの位置とか)は親切か = 情報設計
まずは検索性に優れていて情報に到達しやすいか。そして到達したページでさらなる興味をかきたて、関連情報に触れてもらえるように設計できているか。
 
       

3

  POPだらけでお店のデザインが損なわれていないか = デザイン
自社らしさやアイデンティティーは表現できているか。トップページやカテゴリートップに要素を詰め込み過ぎていないか。多デバイス化に対応したデザインとなっているか。
 
       

4

  商品は分かりやすく整理され配列されているか = ユーザビリティー
使いやすいナビゲーションやエリア設計、ラベリング設計がされているか。統一性は担保されているか。
 
       

5

  値札は読みやすいか = アクセシビリティー
障がい者や高齢者の方々でもキチンと情報を取得できる作りになっているか。構築および運用負荷を考えてJIS基準への対応を決めているか。
 
       

6

  好き嫌いを覚えてくれたり、オススメを分かりやすく話してくれるか(接客) = パーソナライズ
マイページでは、キチンと自分向けの情報を出してくれて、使用に対するインセンティブを与えられているか。さらには一度来訪したお客様の好みに合わせたコンテンツの出し分けを行ったり、その礎となるプライベートDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)が導入されているか。
 
       

7

  季節の商品などがオススメで並べられているか = プレゼンテーション
効果的な文脈上でプレゼンテーションされているか。またそのプレゼンテーションは印象に残り得るものか(例えば動画など)。
 
       

8

  適正な人数で店舗が運営されているか = 運用面
更新作業の効率化、デジタルアセットの一元管理のために、適切な機能や価格帯のCMSが導入されているか。それらは実際に機能して、適正人数でサイト運営できているか。さらにお客様の体験のクオリティを高めるためにCMSを有効活用できているか、通常のCMSで表現可能な範囲を超えたユーザー体験を提供するいわゆるCXM(Customer Experience Management)導入を検討したか。
 
 
     

 

あなたの会社のサイトはどうでしたか? お店に例えてみたとき、行きたくなるお店だったでしょうか?上に挙げたなかで、いくつかお悩みのことがあったのではないでしょうか?

こういったオウンドメディアにおける「おもてなし」要素は、ウェブサイトが登場してから連綿と続いているものもあれば、最近のテクノロジーによってやっと精緻に実現できるレベルになったものもあります。
この連載では、オウンドメディアでの「おもてなし」要素をできるだけ分かりやすくお話ししていければと思っています。

個人的な感想では、オウンドメディア業界は昨年から今年にかけて大きな節目を迎えていると思っています。静的な「設計・デザイン重視」のサイトから、テクノロジーの変化および廉価化の波が、もっと動的にコンテンツを出し分けしていく方向に大きく振れていく、そしてそこから得られるデータをサイト改善だけでなくデジタルマーケティングに活用する流れが本格的になっていくだろうと予測しています。ただそういった時代にあっても、従来から重視されていた設計・デザインのクオリティは軽視すべきではありませんし、むしろますます重要になっていくだろうとも考えています。

次回はゴールデンウイーク前の掲載を予定しています。
長期のお休みは思いっきり遊ぶのもイイですが、お勉強するチャンスでもあります(笑)。
ですので、次回は「オウンドメディアのお勉強の仕方」について書きたいと思います。
ゴールデンウイークは思い切り遊ぶぞ!と思っている人にもピッタリな勉強方法も紹介しますのでお楽しみに♪

プロフィール

  • 福山 一樹
    株式会社電通デジタル

    1999年電通入社。入社後、クリエーティブ部門で広告制作に従事。その後、営業部門で自動車、アパレル、エンタテインメント業界を担当。2009年より現職。エネルギー、運送、通信、製薬・医療器具、食品、金融、エンタテインメント、大学などの業界で数千~数万ページの大規模プロジェクトに従事。
    <共著>
    オウンドメディアコミュニケーション 成功の法則21(ソフトバンク・クリエイティブ/2012)

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