広告同人誌こみゅしふ〜僕と野良袋の思考的冒険〜 #01

広告外生命体と対談したい。

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    並河 進
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター ソーシャルデザイナー/クリエーティブ・ディレクター/コピーライター

「広告とは何か、広告とは何者になれるのか」というテーマについて、コピーライターの並河進が、野良袋(くん?さん?先生?)といっしょに哲学的に語り合 うコラムです。哲学とは、必要に迫られてはじまるもの。だとしたら、広告には、今こそ哲学が必要なのかもしれない?いわば、広告のこれからのカタチを探る Communication Shift。いやいやでもそこまでおおげさなものじゃなくてもいいよね、ということで「こみゅしふ」。ではでは、どうぞ。

 

はじめまして、コピーライターの並河進です。
僕のところに、この連載の相談が来たのは、昨年末のこと。宣伝会議のウェブサイト、アドタイでの連載「Communication Shift」が終わるタイミングで、今度は、この電通人語で何か書きませんか、という依頼でした。ちなみに、Communication Shiftは、「広告の未来の話をしよう」というテーマで、広告業界で活躍する人たちと話をしていく連載だったので、今度何か書くとしたら、人間との対談じゃないほうがいいなあ。そうだ、人間以外との対談のかたちにしよう、と思ったのです。

で、そのとき、頭をよぎったのは、永井均さんの「倫理とは何か-猫のアインジヒトの挑戦」という本のこと。人間の倫理観にしばられない猫との対話によって、「倫理」とはよりはっきりとあぶりだされてくる本です。この本と同じように、広告について、思想的に考えるためには、広告内生物である我々だけではなく、「広告外生物」との想像上の対話が必要なのではないか。その「広告外生物」との想像上の対話を通して、僕自身、僕の中にある思考の材料を整理しなおしてみたい、と思ったのです。

では、その「広告外生物」とは一体何者か?

最初に思いついたのは、サボテンです。少し発言に刺があったりして。でも、なんか、違う。近いのは、うーん、野良犬のような存在か……。現代美術家の大竹伸朗さんが、エッセイの中で、心が通い合うような人との出会いを、「野良犬と野良犬が互いのケツの穴の匂いをかぎあうような時間を過ごせた」と表現しているのがかっこいいなあーとずっと思っていて、人間生活を知りつつも、自由でい続ける野良犬とじっくりと話してみたいと思ったのです。

で、アートディレクターの田中偉一郎くん(彼の口癖は、「僕は、無意味な血のつまった皮袋です」)に相談してみたところ、「犬じゃなくて、いいんじゃないですか? しゃべれたらいいんだったら、袋でじゅうぶんなんじゃないですか」ということで、野良袋という存在が生まれました。まあ、袋でいいかと。こんな感じの奴です。

近所の野良袋のイメージ
題して、「こみゅしふ〜僕と野良袋の思考的冒険〜」。Communication Shiftまでおおげさなものじゃなくて、こみゅしふ。高校時代、自分がマンガ同人誌をつくっていたことを思い出して、「広告同人誌こみゅしふ〜僕と野良袋の思考的冒険〜」としてみました。

 


ところで、僕が10年ぐらい前からずっとよく考えつづけている「広告とは何か、広告とは何者になれるのか」というテーマ。このテーマの設定自体が、構造主義的な考え方であり、昔の人間はこんな風に物事を考えなかったらしいんですけどね。次回はそのあたりから、野良袋(さん?さま?先生?)と話していけたらと思います。

プロフィール

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    並河 進
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター ソーシャルデザイナー/クリエーティブ・ディレクター/コピーライター

    1973年生まれ。
    電通ソーシャル・デザイン・エンジン代表。
    社会貢献と企業をつなぐソーシャル・プロジェクトを数多く手掛ける。「電通ギャルラボ」代表。ワールドシフト・ネットワーク・ジャパン・クリエーティブディレクター。上智大学大学院、東京工芸大学非常勤講師。受賞歴に、ACCシルバー、TCC新人賞、読売広告大賞など。著書に『下駄箱のラブレター』(ポプラ社)、『しろくまくんどうして?』(朝日新聞出版)、『ハッピーバースデイ 3.11』(飛鳥新社)、『Social Design 社会をちょっとよくするプロジェクトのつくりかた』(木楽舎)他。

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