井口理氏インタビュー

「今こそ目指す広告とPRの融合」第3回

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    井口 理
    株式会社電通パブリックリレーションズ コミュニケーションデザイン局 局長 チーフPRプランナー
今こそ目指す広告とPRの融合 電通パブリックリレーションズ 井口理氏

第3回

 
広告と同じテーブルに着き 最大公約数的な共感を図る

海外のアワード受賞作品や、国内成功事例を見ることで、企業における戦略PRへの期待が膨らむことはわれわれPRパーソンにとってうれしいことですが、これらを実際に取り入れるには、「広告とPRを融合させる」という考えを持つことが大切だと思います。

冒頭でお話ししたように、広告主企業での期待が高まったのと同時に、広告クリエーティブの面々にも「PRの力で広告のコミュニケーションをより深化できる」との考えが広がっています。これは僕らにとっては非常にうれしいことで、クリエーティブサイドに呼ばれて企画段階から参加できると、PR以外の全てが固まってから動く場合に比べて、PRの設計の深さが格段にアップします。コミュニケーションのより川上で、PRが広告と同じテーブルに着く。もっと言えば、商品開発から参加する。そんなケースが、これからどんどん出てくると思います。

当社が電通グループの一員であることは、これら広告とPRの融合・補完関係をよりシームレスに実現するために非常に優位であると考えます。補完関係という意味で、それぞれ広告はターゲットを絞り込み、究極的にはたった一人を動かせるクリエーティブを追求する。対してPRでは、複数のメディアやクチコミが重なって、生活者の塊としての納得をつくる、すなわち「最大公約数的な共感」の創出を図ることが役割と考えています(図3)。この二つは正反対のようですが、だからこそ補い合えると思うのです。このようなスキームを確立すべく、現在電通のクリエーターたちと、部門を超えた最適な融合の形を探るプロジェクトも立ち上げたところです。

  広告とPRの情報発信の考え方の違い(図3)

さらにその先に目指したいのが、マーケティングコミュニケーションとコーポレートコミュニケーションの融合です。先進的な企業は、現状の営業活動を踏まえて企業広告を見直したり、企業自体のロイヤルカスタマーを育てて営業活動を後押ししたりと、すでに動き始めています。製品単体での差別化の限界や、生活者がより企業の姿勢を重視するようになったことなどから、この潮流は確かなものになるはずです。詳しくは私の書籍『戦略PRの本質~実践のための5つの視点~』で(笑)。


〔 完 〕

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プロフィール

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    井口 理
    株式会社電通パブリックリレーションズ コミュニケーションデザイン局 局長 チーフPRプランナー

    1990年電通PRセンター(現電通パブリックリレーションズ)入社。コミュニケーションデザインを手掛けるチーフPRプランナー。
     
    企業のコーポレートコミュニケーションから、製品・サービスの戦略PR、動画コンテンツを活用したバイラル施策や自治体広報まで、幅広く手掛ける。最近では、熊本県の赤い特産物をアピールするため仕掛けた「くまモンほっぺ紛失事件」のPRプランを手掛け、世界的なPR業界紙「Holmes Report」が主催するアワードで「世界のPRプロジェクト50選」に選出された他、多数の口コミを起こしたキャンペーンとして、世界的な口コミアワードである「WOMMY AWARD」を日本で初めて受賞。Holmes Report「The Innovator 25 Asia-Pacific 2016」(アジア太平洋地域のイノベーター)選出。
    その他「Cannes Lions」「Spikes Asia」PR部門、「SABRE AWARDS ASIA PACIFIC」「PRWeek Awards Asia」「ヤングカンヌPR部門日本代表選考」審査員。2013年6月に「戦略PRの本質~実践のための5つの視点~」(朝日新聞出版)を上梓。自治体PR事例をまとめた「成功17事例で学ぶ自治体PR戦略」(共著:時事通信社)も好評発売中。

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