スポリューション #08

スポリューション×テクノロジー

今日から始める「拡張観戦」!

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    吉澤 健吾
    株式会社電通 統合データ・ソ リューションセンター コミュニケーション・プランナー
スポーツコンテンツをメディア枠と捉えるだけではなく、ソリューションとしても捉えることで、新しいビジネスチャンスを生み出すことにトライしているソリューションユニット「SPOLUTION(スポリューション)」チーム。そのチームメンバーたちが、それぞれの視点から、これからのスポーツ関連のビジネスチャンスについて、リレーコラム形式でご紹介します。
スポリューション

皆さんはじめまして。「スポリューション」チームの吉澤です。
FIFAワールドカップが始まって、皆さん毎日寝不足になっていますでしょうか?

さて今回は、テクノロジーを活用したスポーツ観戦体験の拡張について事例のご紹介を中心に少しお話しさせていただこうと思います。

リプレイテクノロジーの超現実!

まず最初は、米国Replay Technologies社が提供する「freeDTM」。ご存じの方も多いかもしれませんが、まずは動画をご覧ください。

Replay Technologies, Inc. (Replay), makers of the revolutionary, freeD™ (free dimensional video) broadcast technology.

この「freeDTM」では、複数のカメラを設置し時間同期させて撮影して、特定対象(選手)に対して各カメラからの相対的な位置関係をコンピューター処理して3Dデータ化しています。なので好きなタイミングで止めてあらゆる角度から見ることができるわけです。NHK放送技術研究所でも「ぐるっとビジョン」というデモンストレーションが昨年公開されていましたが、米国NBCでは実際の中継内リプレイとして使用されています。テレビ中継はスタジアムに行けない人の代替手段であったはずですが(今でもスタジアム体験に勝るものは無いと思っていますが)、すでに人間が想像できる領域を超え始め、スタジアムとはまた違った新しい価値を生み出そうとしているのではないでしょうか。

次世代放送規格「Hybridcast」の可能性

続いては国内の事例で、今年1月にTBSで放送された「全日本高校女子サッカー選手権」の準決勝戦と決勝戦です。サッカーの試合におけるさまざまなデータを、視聴者がテレビのリモコンやスマートフォンアプリを使ってテレビ画面上に自由に配置できました。

青メニュー

こちらはNHKが規格化し昨年9月からスタートした次世代放送規格「Hybridcast」を活用しています。従来のデータ放送はBMLという記述言語で放送波と一緒に伝送していましたが、「Hybridcast」ではインターネットと同じHTML5を採用していて、放送と通信両方を用いてこれまでよりもリッチな表現が可能になりました(対応するテレビが必要です)。
さて、少し長くなってしまいましたが話を戻しますと、高校女子サッカーの中継ではこの技術を用いて、試合中の各選手の走行距離やパス本数、成功率、ピッチ上のヒートマップなどのデータをリアルタイムにテレビ画面に表示して見ることができました。これまでもサッカーでいえばハーフタイムに紹介されることはありましたが、試合の経過に合わせて、自分が欲しいときに欲しいデータを選んで表示できるのです。データが並んだテレビ画面を見て、これからのひとつのスタンダードになっていくのではないかと確信しました。

スタッツ・データがもたらすスポーツの新しい楽しみ方

さて、いまお話ししたスポーツの試合における各種のデータをスタッツ・データといいます。もともとは、映画「マネーボール」で描かれていたように、チーム強化のために収集され始めたデータですが、こういったデータを基に選手の調子や試合・レース展開などを予想しながらスポーツ中継を見るのは楽しいですし、新しいスポーツの見方・楽しみ方を教えてくれます。
英国の老舗サッカー雑誌「FourFourTwo」が提供する無料サッカーアプリ「Stats Zone」では、欧州主要リーグや現在開催中のFIFAワールドカップの各試合のスタッツ・データを基に細かな分析を行えます。試合中継内でも紹介されるデータのほかに、選手単位や時間を区切ってなど、細かくいろいろなデータを見ることができるので、例えば試合を見た後に、あの選手今日はイマイチだったよなぁ、と思ったら自分1人で簡単に検証することができますし、次の試合の対戦相手がピッチのどの部分でボール奪取を行っているのか、どういう攻撃パターンが多いのかを調べてみたりすれば、試合の見方がきっと変わると思います。
ダウンロードはこちらから(現在はi-OSだけのようです)

サッカー FourFourTwo Football Stats Zone: powered by Opta

さて、次で最後です。ちょっと長くなってきました。すみません。

さっそく体験、マルチアングル

スポーツ中継を見ていて誰もが一度は、カメラの視点を自由に自分で選んで見たい、と感じたことがあると思います。そう、マルチアングルです。
得点が入った瞬間、微妙な判定のシーン、素晴らしい技が決まった瞬間、もちろん放送ではさまざまな映像を提供してくれますが、監督やコーチ、他の選手の表情など、何度も繰り返して見てみたくなります。
また、スタジアムのどこかの席にいるような感覚で見られたり、特定の選手だけを見られたり、そんな視聴体験ももう現実になっています。
現在開催中のFIFAワールドカップで、さっそくマルチアングル体験ができる「レジェンド・スタジアム2014」という無料アプリもありますので、ぜひお試しください。
iOS版 FIFA ワールドカップ LEGENDS STADIUM 2014
Android版 FIFA ワールドカップ LEGENDS STADIUM

先日開催されたNHK技研公開では、先ほどの「Hybridcast」技術を用いてゴルフ中継のマルチアングルのデモを行っていました。ゴルフもマルチアングルに最適なスポーツ中継ですよね。好きな選手だけを追いかけたり、難しいグリーンだけを見て、選手ごとの攻略法を見比べてみたり。スポーツ観戦の楽しみは広がっていきます。
ちなみに、さまざまなアングルの映像をリアルタイムにテレビの大画面で切り替えて楽しもうとすると実はまだ時間的なズレが発生してしまったりするのですが、2020年には(正確には2018年ごろらしいです)、新しい技術により同期ができるようになるそうです。個人的には、これは本当に楽しみ。

さて、スポーツの拡張観戦について、リプレイテクノロジー、Hybridcast、スタッツ・データ、マルチアングル、といったキーワードでお話しさせていただきました。
2020年に向けて(もちろんその先も)、もっともっと新しい技術が開発されてくると思います。例えば選手の心拍や一球一打に込めた思いを感じられたり、逆に観戦者の思いを選手に届けられたり。あるいは、選手が感じる衝撃を体験できたり。
スポーツを応援する企業にとっても、新しいテクノロジーを上手に活用しながら、スポーツの新しい観戦体験、新しい楽しみ方をファンに提供するサポートを行っていくことで、スポーツとファンとをつないでいく新しいブランド・コミュニケーションの可能性が広がっていくと思います。

★「スポリューション」チームとは?

スポーツコンテンツを、「メディア物件」として捉えるだけではなく、事業課題や、プロジェクト課題を解決するための「ソリューション」として捉え、企画する電通社内ユニットです。
チーム内には、スポーツプランニングの実績が豊富な、戦略プランナー、プロモーションプランナー、コピーライター、アートディレクター、テクノロジスト、コンサルタント、プロデューサーなど、多種多様な人材を揃えており、ソリューションディレクター制によって、「表現のアイデア」だけでなく、「解決策のアイデア」を、ワンストップでご提供いたします。

プロフィール

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    吉澤 健吾
    株式会社電通 統合データ・ソ リューションセンター コミュニケーション・プランナー

    コミュニケーション・プランナー。2006年電通入社。営業局を経て2012年より現職。
    メディア企業やコンテンツ企業を中心に、O2O戦略やオンラインコミュニティーのコミュニケーション設計、商品開発、事業開発などに従事。

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