顧客を動かすデジタル・マーケティングの実践 #05

「ちょっと先行く“スマホ体験”の創造」前編

~O2O、セカンドスクリーン技術とコラボで生み出すイノベーション~

スマートフォンは企業のコミュニケーションには欠かせない存在となっている。特にアプリの活用は、売り上げに直結する導線をつくるために大きな意味を持つ。前編では、スマートフォンビジネスがなぜ重要なのか、そしてそこにはどのような課題があるのかを整理し、これからの活用におけるキーポイントを解説する。

 

スマートフォンビジネスのチャンスと課題

ビデオリサーチインターナショナルの調査によると、2014年2月時点でスマートフォンの個人所有率が半数を超えています。また総務省の最新データ(2013年1月)では中高年の所有率が40代で63.4%、50代で58.5%、60代に関しては前年の倍近い26.1%にまでなっています。地域別に見ると、関東、近畿では高い値ですが、北海道や東北といった普及率の低いエリアでも前年の関東の数値を超えている状態で、スマートフォンは、もはや若者や都会だけのものではなく、広く普及していることが分かります。

スマートフォンは、24時間常に携行しているデバイスであり、マス広告並みのリーチを持つアプリも出現していることから、もはや企業のコミュニケーションには欠かせない存在となっています。

スマートフォン活用の具体的なチャンスは3つあります。1つは、適切なタイミング・場所でユーザーにアプローチして、商品や店につなげていけることです。例えば、Bluetoothを使った「iBeacon 」という最新技術は、ユーザーが特定の売り場や場所に近づいた時に、自動でスマートフォンに情報やクーポンを送り込むことができます。2つ目のチャンスは、ユーザーごとにパーソナライズしたエンゲージメントをつくり、一人一人の都合やニーズに合わせて、より深いコミュニケーションが実現できることです。そして3つ目は、ユーザーがいつ、どこで、何を買ったかというデータを個別に取得できるということです。

一方で、スマートフォン使ったコミュニケーションにおける課題も3つあります。1つは、時間と労力をかけてつくったアプリを、どうやって知ってもらい、ダウンロードして使ってもらうかという課題です。そして2つ目は、たとえアプリをダウンロードしてもらったとしても、立ち上げてもらえない可能性があることです。たくさんのアプリがあるため、その中に埋没してしまい、プッシュ通知などをしても、うっとうしいと感じられる可能性があります。3つ目の課題は、アプリをつくった後の運用の手間が大きいということで、これが一番大きな課題ともいえます。

新しいOSに対応するための仕様変更や、クオリティーを維持するための既存端末への対応、不具合への対応、セキュリティー対策といった外部要因への対応などがあります。また内部的にも、長期にわたりコンテンツを制作していかなければならないという課題があります。このように、アプリの開発は簡単なものではなく、事前に投資対効果に見合うかをしっかりと見極めることが重要になります。

そして、これらの課題を解決するための2つの考え方があります。1つ目は、あたりまえのことですが、ユーザーのスマートフォンに既にインストールされているアプリを使用するということです。そうすることでダウンロードしてもらうというハードルがなくなります。2つ目は立ち上げる必然性のあるアプリを使うことです。例えばカレンダーや乗り換え案内、天気予報など1日1回は立ち上げるアプリに入り込むという方法です。これによって、運用の問題もクリアすることができます。手間がかかることはプラットフォーム側のアプリに任せ、企業はその文脈に沿って必要なメッセージを伝えていくことに注力すればよいということになります。

 

※後編は8/7(木)に更新予定です。

プロフィール

  • 20150706 maruyama dentsu ho
    丸山 裕史
    株式会社電通デジタル

    2000年から大手シンクタンクでビッグデータ解析に従事。
    2005年に電通入社後、マーケティング効果検証/コンサルティング業務を経て、現在は国内外のテクノロジー企業とのサービス/ビジネス開発をベースとしたソリューション提供を行っている。主な担当領域は媒体社、デジタルプラットフォーム、小売流通業など。

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