電通スマプラ #06

大画面スマートフォン時代に、

ココロと指と経済を動かす3つの視点。

  • Kanzaki3
    歓崎 浩司
    株式会社電通 第3CRプランニング局 デジタル・クリエーティブ・センター コピーライター/CMプランナー

スマートフォンで読まれている方も、他のデバイスで読まれている方も、プリントアウトした紙で読まれている方も、はじめまして。電通スマプラの歓崎浩司です。私はスマートフォンなどスマートデバイス上のビジネスの立ち上げ、成長・拡大に貢献するプランニング・ユニット「電通スマプラ」に、クリエーティブ係として参加しています。

これまでスマプラのコラムは、スマートフォンの潮流やスマートフォンゲームにおける購買インサイト、テレビCM分析をテーマに連載してきました。クリエーティブ係の私にバトンが回ってきた今回、最近増えてきた「大画面スマートフォン」に注目し、ココロと指と経済を動かすヒントになりそうな3つの視点をお話しします。

1.快人二十面相である

大画面スマートフォンは、スマートフォンとタブレットのハイブリッドといえます。
あるときはカーナビに、またあるときは教材に。お絵描き帳にも、ビジネス文書作成ツールにも、もちろん音楽プレーヤーにもなり、ブラウザーも開けるし、本や漫画も読める。さまざまな顔を持つその正体こそ、大画面スマートフォンです。「怪しい人」ではなく、「人に快い」というという意味で「快人二十面相」と題しましたが、スマートフォンとタブレットのハイブリッドの価値は、まさにこの多様性にあるように思います。

以前からある電子書籍に加え、紙をメディアにするあらゆるものが、大画面スマートフォンによってさらにデジタル化されていく傾向を感じます。私自身、紙が好きで、本や漫画もどっさりとデスクに積んでいますし、本屋さんを用事もなくふらふらウインドーショッピングすることも多いのですが、デジタル化された紙媒体を大画面スマートフォンで利用することもまた、多くなってきました。

例えば教育の現場では、タブレット端末を活用した事例をよく聞きます。その子どもたちの多くがキッズ用のケータイを持っていたりしますので、近い将来タブレットとキッズ用ケータイをひとつにして「大画面キッズスマートフォン」に集約されていくかもしれません。ただ紙をスキャンしただけのデジタル教科書ではない、インタラクティブなエンターテインメント・エデュケーション(通称エデュテイメント)としてのファンクションと、子どもたちの安全安心のファンクション、2つをハイブリッドした端末というイメージです。

私事ですが、今月が「世界食料デー」月間に当たり、NPO/NGOの皆さまと協業して世界の食問題を考えるきっかけをつくろうと、ウェブサイトを制作しました。このコンテンツも、今後大画面スマートフォンで視聴されることを想定した動画コンテンツにし、アーカイブすることで、世界の食問題を身近に感じてもらうことを狙いました。「ねーねーコレちょっと見て」とその場で差し出したときの友達とのシェアのしやすさは、スマートフォンに比べてうんとやりやすくなっていると感じます。昔、兄と私とで1台のモバイルゲーム端末を取り合いになって、結果兄がゲームをすることになるのですが、小さな画面を兄のふところにもぐって食い入るように眺めていたのを思い出します。「大画面スマートフォン」の価値は、「リアルで画面をシェアできる」ことともいえるのかもしれません。

電通スマプラ06 のこりものがたり
参照:「世界食料デー」月間 食べる、を考えるウェブムービー
「のこりものがたり」(スペシャルコンテンツは10/16公開)
http://www.worldfoodday-japan.net/nokomono.php

 

電通スマプラ06 写真  
母が目を細めて
フィーチャーフォンをピンチアウトしていた写真
 

また、兄で思い出しましたが、以前父の還暦を祝って家族写真を撮影したとき。母に写真を送っても「なんやこれ、ちっちゃーてよう見えへんわー」と、目をしょぼしょぼさせてフィーチャーフォンの画面を拡大しようと、必死にピンチアウト(親指と人さし指で画面を拡大する動作)している姿に思わず笑ってしまったことがあります。実家の父と母がこれから大画面スマートフォンを持つようになるかは分かりませんが、夫婦で1台持つ、というスタイルならあり得るのかもしれないな、と思いました。パソコンでもなく、ケータイでもない。スマートフォンでもなければタブレットでもない、「高画質デジタルアルバム」としての大画面スマートフォンが両親に1台あったら、写真や動画、オンライン通話などで大活躍するのではないかと感じました。

2.目と耳と口と指とで体験する

スマートフォン大画面時代に突入して、通話のスタイルが変わってきたと感じます。私が子どもの頃は、ダイヤル式の固定電話で番号をひとつずつ指で「ギー」と回し、ハリウッド映画の刑事さながら大きな受話器を肩と耳で挟んで、左手にメモ用紙、右手に鉛筆、というスタイルをとっていました。やがて携帯電話を持つようになって、折り畳み式のケータイを、西部劇のガンマンのように手のスナップで「パッ」と開いて、脇を開き、耳に添えるスタイルになりました。そして大画面になったスマートフォンでは、大きさもさることながらその薄さから、肩とあごで挟もうとしてもかなり肩を上げなければならなくなり、脇を開いて耳に添えるにもやや大きく、結果マイク付きのイヤホンをつけて、スマートフォンを両手で持ち、アプリを開いて動画による通話をするスタイルをとるようになりました。

大画面スマートフォンが便利だなと感じるのは、両手持ちでイヤホン通話するというスタイルをとることで、カメラを介して顔を見ながら通話でき、なおかつ画面を操作できる、ということです。「人によるでしょ?」「今までのスマホでもできるじゃん!」と言われればそれまでですが、ここに活用のヒントがあるように思います。最近オンライン英会話を始めてみたのですが、講師の外国人の先生とカメラを通じて表情を見ながら英語を話せるのはもちろん、聞き取れなかった英語を、同時に文字のやりとりでコミュニケーションができれば、とても充実したレッスンになるのでは、と感じました。小さな画面ではやりにくかった、「見ながら、聞きながら、話しながら、タイピングしながら」コミュニケーションをとることを簡単に可能にする未来は、大画面のたまもののように思えます。

もちろん、パソコン、タブレットなら通話と同時にタイピングはできるのですが、常に持ち歩いているスマートフォンだから、いつでもどこでも実現できるところがポイントです。スマートフォンとタブレットの良いところをハイブリッドした価値がここにあると感じました。「目と耳と口と指」の4つの身体的体験をいつでもどこでも同時に提供できる大画面スマートフォンならではのビジネスが、表現が、新しいゲームやエンターテインメントが、これから増えてくるのではないかと思います。

3. 買う、得る、持つ、を直感的に楽しめるサイズ

大画面スマートフォンが、今このタイミングで世の中の何を解決するのか。それはどこをゴールにしているのか。そのためのアイデアは何なのか。結果、何を残すのか。社会的意義のようなものがきっとあるはずだ、と思うのです。この画面サイズは、なんだかんだしているうちにたどり着いたものなのか、理由があるのか、もしあるとしたらそれは何なのか。つまり画面が大きくなって、画面が見やすくなった、高画質になってきれいになった、タイプしやすくなった、ゲームがやりやすくなった、逆に大きくなってポケットに入らなくなった、片手でタイプできなくなった、という物性の側面だけではなく、なぜこのサイズに、大画面といわれる大きさに人類がたどり着いたのか、という理由に興味があります。

私が注目しているのは、漠然とした時代の変化によってあいまいになった、人間の根源的欲求である、買う、得る、持つ、ということを楽しむ素直な気持ち、遊びゴコロを持つことを、大画面スマートフォンによってより直感的に味わえるのではないか、という仮説です。大量消費、大量生産の時代を経て、もったいないを経て、不景気やデフレ、増税を経て、物を買う、という点において、生活者はある意味、理性的になっている実感があります。前述した、「快人二十面相」という、多様なニーズに応えるものであると同時に、「目と耳と口と指で体験する」今までにない行動を促すものでありつつ、今、「買う、得る、持つ」楽しさや喜びを直感的に思い出させてくれるのが、大画面スマートフォンなのかもしれないと思うのです。

これまで電通スマプラが連載してきたコラムにあるように、スマートフォンはキモチデバイスであり、スマホゲームで課金に応じている人たちはみな、「だって○○だから」という理由を持っていて、課金後も満足度が高いことが調査で分かりました。その流れでいえば、大画面スマートフォンは、「購買体験」における便利さとモチベーションを加速するのではないでしょうか。例えばスマホゲームでは、よりリッチな表現が可能となり「たかがスマホのゲームでしょ?」と距離を置いていた方々が振り向くようになるでしょうし、画像・動画のクオリティーがアップし、大画面スマートフォンでコンテンツを視聴する時間もどんどん増えていくでしょう。またEコマースにおいても、ファッションであれば全身コーデが、料理であれば簡単なレシピなら1画面で見られたり、より魅力的な商品の見せ方、またマルチ画面によって商品画像と決済画面の分割同時表示ができるなど、課金、コンテンツの購買がもっともっと直感的に、キモチに素直に行える機会が増えると思います。そのビジネスチャンスのお手伝いをするのが、私たち電通スマプラです。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございます。パソコンでもない、ケータイでもない、スマートフォンともタブレットとも異なる「大画面スマートフォン」は、画面が大きいだけではなく、未来の可能性も大きく広がっていると思います。そんな大画面スマートフォンで、ココロと指と経済を動かすべく、良いアイデアを考え、カタチにしていけたらと思っています。

電通スマプラ
電通スマプラロゴマーク

 

 
 

「電通スマプラ」とは?

スマートフォンを中心としたスマートデバイス(パソコン、タブレットなど)上のビジネスの立ち上げ、成長・拡大に貢献するプランニング・ユニットです。
チーム内には、スマートフォンのゲームやアプリなどのマーケティング・コミュニケーションの実績が豊富な戦略プランナー、コミュニケーションプランナー、コンサルタント、コピーライター、プロデューサーなど、多種多様な人材をそろえています。また、一人一人が何かしらのオタクであるため、課題への深堀りはもちろん持ち前の個性と人間力でクライアントに向き合うことをモットーに、マーケティング活動を支援していきます。

 

プロフィール

  • Kanzaki3
    歓崎 浩司
    株式会社電通 第3CRプランニング局 デジタル・クリエーティブ・センター コピーライター/CMプランナー

    2006年電通入社。営業局を経てクリエーティブ局へ異動後、コピーを書いたり、CMを企画したり、デジタル係としてチームに呼ばれたり、事業開発のお手伝いをしたり、あらゆる課題をアイデアで解決する統合的なクリエーティブディレクターを目指して日々奮闘中。
    D&AD、One Showなど受賞。

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