インサイトメモ #41

通勤・通学時における動画視聴

~電車やバスの中で、

何を視聴しているのか?~

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    庄野 徹
    株式会社電通 電通総研 メディアイノベーション研究部 主任研究員

近年、スマートフォンやタブレットの普及により、電車やバスの中で動画を視聴している人たちを多く見かけるようになりました。視聴されているコンテンツもドラマ・アニメ・ニュースなど、十人十色です。しかし、肌感覚で動画視聴者が増えたと感じていても、具体的にどんな動画コンテンツをどのようなプラットフォームで視聴しているのか、あまり把握できていませんでした。そこで、実態を把握するために18-49歳の通勤者と高校生~大学生の通学者に対して「通勤・通学時における動画視聴」についてインターネット調査を実施しました。通勤・通学中における動画の視聴方法、視聴コンテンツジャンル、視聴理由などを質問しましたので、その結果をご紹介します。

 

通勤・通学中に動画を視聴する人は約50%、若年層では約20%が毎日視聴

 

電車やバスに乗って通勤・通学する人に対して、通勤・通学中にどのくらいの頻度で動画を視聴するかを質問しました。すると、約50%は何かしら動画を視聴しており、学生に至っては約60%が視聴していました。また、通勤・通学中に動画を毎日視聴する(1日に1度以上視聴する)人の割合は、通勤者男性18-29歳で21.8%、同30-39歳で18.6%、通勤者女性18-29歳で18.4%、通学者男性で21.4%、通学者女性で19.6%と若年層を中心に約20%が毎日視聴しています。

【 通勤・通学時の動画視聴頻度 】

図表1
※通勤・通学時に電車やバスに乗る人を対象とするスクリーニング設問の回答結果。
徒歩や自転車、車で通勤・通学している人は含まれない。

 

電車やバスの乗車時間のうち、約3分の1は動画を視聴している

 

それでは通勤・通学時間のうち、動画を視聴している時間の割合(=動画視聴時間シェア)はどのくらいになるでしょうか。動画を視聴する日で、片道の通勤時間のうち平均的な動画視聴時間の割合を質問してみました。すると、通勤者男性18-29歳、通勤者女性18-29歳、同30-39歳、通学者男女が約35%となっており、電車やバスの乗車時間のうち約3分の1程度は動画を視聴している姿が浮かび上がってきました。

【 通勤・通学中の動画視聴時間シェア 】

図表2

 

視聴しているのは共有系動画サービスが圧倒的に多い

 

今度は通勤・通学者に対して、どのような方法で動画を視聴するかを質問してみました。すると、YouTubeやニコニコ動画などの共有系動画サービスの利用がどの年代でも約80%前後で圧倒的に多く、特に通学者女性では91.6%と群を抜いて多く利用していました。テレビ放送系動画は、通勤者男性40-49歳では51.8%、通勤者女性30-39歳で50.6%と約半数が利用していました。また、dビデオやHuluなどの配信系動画サービスは、どの年代でも約25%と一定の割合で利用されているのが興味深い結果となりました。

【 通勤・通学時の動画視聴方法 】

図表3
:共有系動画サービス
 
①動画共有サービス(YouTube、ニコ動、Dailymotionなど)
②ニュースサイトやソーシャルメディアにリンクされ(埋め込まれ)た動画
③動画共有サービスでダウンロードしておいた動画
:テレビ放送系
 
①テレビ放送(ワンセグ・フルセグなどの放送波を受信)
②スマートフォンやタブレットで直接受信して録画しておいたテレビ番組
③テレビ放送局のビデオオンデマンドサービス
④家の録画機などから(SDカードやWi-Fiで)スマートフォンやタブレットへ
持ち出し保存したテレビ番組
⑤家で受信したテレビ番組を宅外へネット転送(エリアフリーTVやリモート視聴、NAS)
:配信系動画サービス
 
①動画配信サービス(dビデオ、Hulu、GYAO!など)
②配信サイトでダウンロードしておいた動画(iTuneなど)
:その他
 
①自分で撮影し保存しておいたビデオ
②その他

 

テレビで人気のコンテンツジャンルも多く視聴されている

 

次に、どんなコンテンツジャンルを視聴しているかを質問してみたところ、若年層に人気の高い「PV/音楽」系ジャンルが多く視聴されていましたが、その他「報道/ニュース」や「スポーツ」「バラエティー」「お笑い」「ドラマ」「アニメ」などテレビで人気のコンテンツジャンルが多く視聴されているのも特徴的でした。

【 視聴されているコンテンツジャンル 】

図表4
 

つまり、共有系動画サービスがどの年代でも一番多く視聴されているにもかかわらず、視聴されているコンテンツはテレビで人気のジャンルが多く視聴されているのです。

 

通勤・通学中に動画を視聴する理由はひまつぶしの他、乗車ストレスからの解放

 

最後に、通勤・通学者に動画を視聴する理由を質問してみました。すると、隙間時間を埋めるため「ひまつぶしにちょうどいいので」という回答が圧倒的に多い結果となりました。これは当然の結果ともいえます。また、若年層女性に多く見受けられる傾向ですが、「乗車ストレスからの解放」目的に動画を視聴しているのも非常に興味深い結果となりました。

【 通勤・通学時の動画視聴理由 】

図表5
 

近年は、スマートフォンのディスプレーが大型化し、またタブレットの普及拡大が見込まれる中、動画が視聴されやすい環境が整ってきており、電車やバスの中での動画視聴は今後も増加すると予想されます。

 
 
 

【 調査概要 】

・調査会社 :株式会社電通マクロミルインサイト
・調査手法 :インターネット調査
・調査時期 :2014年06月19日(木)~21日(土)
・調査エリア:一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)
・回収サンプル数:男女15~49歳 664ss
(1) 通勤者:18歳~40代で働いている人で498ss
     (18~29歳男/30代男/40代男/18~29歳女/30代女/40代女の 6セル×83ss=合計498ss)
(2) 通学者:高校生・高専生・専門学校生・大学生(上限25歳まで)で166ss
     (男女別の2セル×83ss=合計166ss)
・対象者条件(本設問):通勤・通学時に電車やバスに乗る人のうち、通勤・通学中に週に1度以上動画を視聴する人

 

 

プロフィール

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    庄野 徹
    株式会社電通 電通総研 メディアイノベーション研究部 主任研究員

    2001年電通入社。営業にて飲料メーカー/人材派遣会社などのクライアントを担当。その後、マーケティングセクションで日本と中国の生活者の消費動向研究を行い、現在はメディア/情報通信/テクノロジー関連の研究開発に従事。特にメディア環境変化に伴うオーディエンスインサイト(生活者の情報行動)を専門に研究開発を進めている。

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