通販王国発! マーケティング新発見! #03

発見!売りの大敵は、「気が散る」だった

  • 香月 勝行
    株式会社電通九州 CP局ダイレクトマーケティング部

通販王国、九州へようこそ!
ここは、広告は「どれだけ売れるか」がすべて、というシンプルな世界。
だからこそ、「売る」の本質に迫るヒントが、たくさん転がっています。

■コップに情報を注ぐのは難しい

今朝、わが家の娘(3歳)が持ったコップに牛乳を注ごうとしたとき、気の散った娘が勝手にコップを動かしてしまい、危うく床に牛乳をこぼしそうになりました。そんな私が言うのもなんなのですが、とにかくコップに注ぐときは集中して、常に慎重にやらないとダメ、というのが今回のお話です。なぜなら、自由気ままな女の子と同じように、モノを買ってくれる消費者も、売り手のことなんて気にかけてはくれないし、いつでも自由で移り気な存在だから。

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人は、目の前のモノ以上に気になることが現れたら、途端に興味がそちらに向いてしまいます。このような「移り気」、もっと簡単にいうと「気が散ってしまう」ことが、「売る」、つまりニーズというコップに情報を注いでいく上での大きな難関です。せっかくニーズというコップを手に取ってもらえても、気が散って途中でそのコップを放り投げられてしまうと、そこで全てが終わりになるから。
それゆえに私たちは、モノを売る際に、「気を散らせない」ことに細心の注意を払う必要があるのですが、困ったことに、このような「移り気」は驚くほど頻繁に起こってしまうのが、現実です。

■「移り気」に翻弄されないために

消費者の気を散らせず、途切れることなく最後まで広告を見てもらうためには、当然それを意識した広告作りが欠かせません。そのカギとなるのが、情報の「文脈」と「内容」の2点。この話はモノを買ってもらう上で非常に重要な部分となりますので、2回に分けて詳しくご説明しようと思います。

■「文脈」づくり、成功の2つのポイント

まずは今回のコラムで掘り下げたいのが、「文脈」について。
ここでいう文脈とは「情報をどのような流れで届けるか」ということ。言い換えれば、飽きさせることなく最後まで情報を注ぐために最適な流れ、ということです。最適な流れをつくるには、大きく2つのポイントがあります。私たちが発見したそのポイントを、以下にご紹介しましょう。

<ポイント1> 「ガリバートンネル」型構造
ガリバートンネルとは、ご存じドラえもんの秘密道具。大きな入り口から入り、途中でだんだんと小さくなって出てくる、という形のトンネルです。この形は、興味を途切れさせることなく商品へといざなうために、理想的な形となっています。

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人は広告と最初に接触するとき、ほとんどの場合その広告への興味など持っていません。そんな中でトンネルに入ってきてもらうには、多くの人が興味を持ちやすい大きな話題を入り口で提示すべき。だから入り口は大きい方がいいのです。
トンネルに入ってもらったら、今度は、さまざまな悩みやニーズを刺激しながら、出口である商品との「ご対面」まで誘導しなければなりません。つまり、関連する話題を提示しながら、徐々に興味を絞っていくことが大切。
そして、悩みやニーズがはっきり明確化したところで、それを解決できる商品を提示する。そうやって初めて、人は必要なものを、きちんと購入してくれるのです。
この流れを図にすると、まさにガリバートンネルそのものになります。テレビショッピング番組など、通販の成功事例のほとんどがこの構造となっています。その事実からも、この文脈の重要性をお分かりいただけるのではないでしょうか。

<ポイント2> 「サイドチェンジ」型構造
購買を決めるのは右脳、それをサポートするのが左脳、という事実を、連載1回目でお話しさせていただきました。そんな右脳と左脳それぞれに情報を届けながら、サッカーのサイドチェンジのように展開する文脈が、この「サイドチェンジ」型構造。これを実現するには、右脳と左脳それぞれが分かる情報の種類について、詳しく知ることが欠かせません。
まずは「右脳」。購買の主役であるこの右脳は、直観的にイメージを認識することは長けていますが、文章や数字などは苦手です。つまり「右脳に情報を届ける」とは、伝えたい内容を文章ではなく直観的に分かるイメージ化して届ける、ということを意味します。ただし数字や文字でも、記号化されたシンプルなものなら伝わります。よく言われる「13文字以内」が、まさに右脳に伝わる情報です。
「左脳」はその真逆。数字や文章などロジカルに組み立てられた情報をきちんと理解します。また、理解した情報をもって右脳の判断をサポートする「参謀役」も果たす、という点も見逃せません。
これらの両方の脳の特徴を踏まえ、双方に情報を伝えていくと、どんな文脈になるのか。ダイエットを例にして説明すると…。

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ご覧の通り、まさにサイドチェンジ型の構造になりました。論理的に考えると、同じことを2度繰り返していて変に思えますが、大事なのは論理ではなくきちんと伝わること。そのためにも、ぜひ一度この形を試してみることをお勧めいたします。

■「説得」するのではなく「納得」を作り出す

以上の文脈の話、いかがでしたでしょうか。実はこれらの話の本質は、一方的に情報を投げかけて「説得」するのではなく、自然に「納得」できる状態へといざなう、という部分にあると思います。そして、きちんと消費者の心の中に納得が出来上がると、今度は、納得をしているにもかかわらずそれを満たすモノがないというアンバランスな状態が生まれます。コップから水があふれ出した「買いたいモード」の正体とは、このアンバランスを正したい欲求の表れなのではないか、というふうにも思っています。
いずれにせよ、消費者はとにかく移り気ですし、売り手のことなど全く気にかけてくれません。それどころか、広告は邪魔者とすら思っています。そんな中で自分たちの商品に目を向けていただき、理解してもらうための方法が、今回ご紹介した「文脈」でした。そしてもう一つ大切なのが、届ける情報の「内容」。それについて、次回また、詳しくご紹介します!

プロフィール

  • 香月 勝行
    株式会社電通九州 CP局ダイレクトマーケティング部

    1997年電通九州入社。メディア・クリエーティブ・マーケティング・営業・デジタル部門を経て現在ダイレクトマーケティング部在籍。

    さまざまな分野での経験を元に、ダイレクトマーケティングにおける各種課題抽出~クリエーティブ制作~PDCAまでトータルに対応する、ダイレクトの「何でも屋さん」。

    何でも屋ならではの視点から生まれる企画で、全国の担当クライアントのCPO・LTV向上のために日々奮闘中。

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