ろーかる・ぐるぐる #47

あん餅で新年は始まるか?

わが家のおせち

 

新年はいかがですか? 「わが家も平和にスタートいたしました」とご報告したいところですが、残念ながら勃発してしましました。

雑煮戦争。

ぼくは焼き餅にかつおと昆布のすまし汁。ぶり、たけのこ、かまばこ、しいたけ、小松菜、鶏肉、黒いもと、具は少し多めかもしれませんが、遠慮なく個人的な見解を申せば「ふつうの雑煮」が好きです。

NewYear06

一方、高松出身の嫁はあの悪名高き(?)「白みそにあん餅の雑煮」でないと正月を迎えた気がしないといいます。トローリ濃厚な讃岐の白みそにあん餅。そこへ金時人参や大根を入れるところまではなんとなく理解できるのですが、さらに「かしわ(鶏肉)も入れなくちゃ!」というのが彼女の主張です。想像してください。甘い小豆にまみれた鶏肉を!

讃岐三白としても有名な特産物のお砂糖をお正月に味わおうという伝統はよく理解できます。味噌とあんこの甘じょっぱい組み合わせだって悪くはありません。むしろ旨いかも、好きかも。でもね、そもそも「雑煮」とは室町時代、酒宴の最初に出されたものが正月用の料理に転じたのだとか。一年のオープニングを飾る一口を、なにもこんな不思議な味わいにしなくても…と思うわけであります。

これがあんこまみれの鶏肉!

しかし、きっとこれはマーケターとして正しくない態度です。以前「ぐるぐる思考」の「感じるモード」でもご説明しましたが、アイデアの材料を集めるためには、さまざまな情報をひとつひとつ正しいかどうか判断することなく、いったん受け入れてしまうことが大切になります。「まぁ、そんな話もあるんだね。とりあえず、ふむふむ」とカッコつきで受け取る感じです。こうすることによって、その情報は「経験」として身体に蓄積されます。いざ思考の材料として使うときにも、何かしら実感を伴って生々しく思い起こすことができるわけです。

 この観点からいけば、正月の一口目から「白みそにあん餅の雑煮(かしわ入り)」を頂くことは「香川」を全身全霊で実感する絶好のチャンス。すまし汁、すまし汁と因習にとらわれて新しい一歩を踏み出せないのは、精神が老化している証拠です。

  Bishonen1
「三が日にけんかをすると、その一年に悪い運勢を呼び込む」とも言いますし、ギリギリのところで戦闘を回避。切り餅とあん餅(時期になると新橋にある香川県のアンテナショップで購入可能です)の両方を用意しました。ここまで準備しても、やっぱり最初の一口には「すまし汁」を選んでしまいましたが。習慣って恐ろしい。

昨年1月にクモ膜下出血で倒れた母は、4月の退院時はトボトボ歩くのが精いっぱいだったのですが、いまでは一人で買い物に出歩けるまで回復しました。日本の素晴らしい医療制度と、その現場で懸命に働いていらっしゃるお医者様や看護師の方々のおかげです。

今年のおせちはぼくが相当つくらないとダメかなと思っていたのですが、甘えられるなら甘えちゃえ。「頑張って料理すると、きっと良いリハビリになるよ」なんて言いながら、結局お重の大半を母につくってもらっちゃいました。

何をするにもからだが大切。年初に皆様のご健康を心より祈念して。

どうぞ召し上がれ!

プロフィール

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    山田 壮夫
    株式会社電通 第1CRプランニング局

    1969年生まれ。アイデアを核として広告キャンペーンはもちろん、店舗開発からテレビ番組の製作まで手掛ける。特に最近は全国の地方新聞社厳選お取り寄せサイト「47CLUB」と連携してローカルにおける商品開発作業にチャレンジしている。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員。慶應義塾大学(メディア・コミュニケーション)、明治学院大学(経営学)非常勤講師。著書に『〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考』(朝日新聞出版)。

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