セカイメガネ #16

激動の中、ゆっくりと

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    依田 洋
    北京電通 エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター

皆さん、中国と聞いたときにどんなイメージを頭に浮かべていますか? 昨今のさまざまなニュースを目にしていると、ネガティブなイメージの方が多いかもしれませんね。そこで今日は外国人の目を通した、中国の良いところをご紹介したいと思います。 

まず、少々のことでは怒らない寛容さを身に付けさせてくれます。あり得ないことばかり起こります、ホントに。激務なのでしょうか、タクシーの運転手が居眠り運転したことがこの3カ月で2回ほどあります。なんかブレーキのタイミングが微妙だなと運転手を見ると、眠気と必死で戦っています。ほとんど白目。こんなこともまああるよね、と怒りは覚えずに、日頃私が愛用している激強メントールのあめを笑って差し出すと、素直に口に入れてくれます。二人で目を合わせ苦笑いです。

ここ10年ほど中国はものすごい速さで変化し続けています。中間層を例に取ると、平均収入は倍増し、物価も上昇し、株価は高騰し下落し、スマホを手にし、テレビ番組をPCで見る人の割合は世界でも有数。そんな激動の時代の中国で変わることと、変わらないことがあります。

変わったこと。ネットの発達で、悪いことが白日の下にさらされ、正すべきだという共通認識が生まれていること。外国人が眉をひそめる行為は、中国の人たちにとっても同じように感じることになってきています。全体の知が蓄積され始めているのです。そして個々人の中での変化は、みんな自分が好きになっている。女子たちはいつも自分の写真を撮り、それを微博(中国版ツイッター)、微信(中国版LINE)にアップし続けている。自分を好きでいること、自分を肯定していること、決して悪いことではないですよね。

変わらないこと。この国の人たちは赤ちゃん連れに優しい。どんなレストランでも拒まれることはなく、ベビー用のいすが用意されてます(そのほとんどがイケア製です)。いろいろな側面はありますが、中国人は優しい人たちです。

中国はさまざまな問題を抱えてはいますけれど、他の国々が歩んできたのと同じように、より良い社会に向かって、悪戦苦闘し、いろいろなことをすり合わせながら、少しずつ少しずつゆっくりと歩んでいるのです。この国の良くないニュースを目にしたら、「頑張れ、中国」と心の中でつぶやいていただければ幸いです。再見。

(監修:電通イージス・ネットワーク事業局)


 

プロフィール

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    依田 洋
    北京電通 エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター

    電通本社で8年、ビーコンコミュニケーションズで5年勤務。コピーライター、CMプランナー、アートディレクター、クリエーティブ・ディレクターを経て、2005年より北京電通のエグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター。カンヌ、クリオ、ロンドンインターナショナルアワーズ、中国国際広告祭長城賞、中国Effie賞などの国際広告賞を受賞。2012年中国国際広告祭長城賞審査員を務める。中国で「挨拶しようよ」運動を一人で展開中。

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