ろーかる・ぐるぐる #15

ぐるぐる思考 散らかすモード②(七転八倒しよう)

きょうは若手コピーライターの各務さん、佐藤さん、アートディレクターの高橋さんと近所の居酒屋で頓挫したお仕事の反省会。甘いつぶ貝を噛みしめながら「今回、良い企画だったんだけどなぁ。申し訳ない!」「いや、ぼくが」「ぼくが」。鰹のたたき、マグロの刺身で「悔しいなぁ」「楽しかったけど」とビールをおかわり。

 

 

 

まさに旬の味!

 

 

「ん?秋刀魚の肝食べなよ」

「さんま、さんま、さんま苦いか塩っぱいか。『秋刀魚の歌』の佐藤春夫が『田園の憂鬱』を書いた武蔵野の隅っこでぼくは中学、高校時代を過ごしたんだ。あの頃から工藤夕貴さんのおっかけも、もう30年…」
「ぼくは某アイドルグループの黄色を一生応援する覚悟なんですけど、山田さんの話し勇気をもらいましたっ!」

例によって次第に脈絡なく、明るく、ひたすら陽気な反省会。脳みそを使う仕事なんだから飲み過ぎ厳禁なのはわかっちゃいるのですが、よくオフィスで二日酔いに苦しんでおります。ごめんなさい。

 

 

左から高橋さん、佐藤さん、各務さん。すでにゴキゲンです。

 

 

 

ところで各務さんや佐藤さんのような若手コピーライターは「明日までにコピー100案考えてきて」なんて宿題を出されることがあります。これこそぐるぐる思考でいうところの「散らかすモード」の実践です。単なる「てにをは」違いではなく、ありとあらゆるヒト(ターゲット)の側面と、ありとあらゆるモノ・コトの側面を行ったり来たりしながら「新しい結びつき」を考えるのです。リアルに考えれば考えるほど自分の人生経験や内面をさらけ出すことになるので、孤独で、恥ずかしくて、苦しい、文字通り七転八倒するようなプロセスです。

木村健太郎さんと磯部光毅さん※1によれば、その時に使う「思考ロジック」は8つに分類できるそうです。

【2つの分析ロジック】
①接続詞「だから」でつなぐ〝三段論法(演繹法)〟
②証拠をつみあげ「以上から」結論を導く〝帰納法〟

【6つの発想ロジック】
③AといえばB、BといえばCの〝連想〟
④AとBを組み合わせてみたら、の〝組み合わせ〟
⑤似ているものをヒントに発想する〝アナロジー〟
⑥「これが意味するところは」と推理する〝仮説法(アブダクション)〟
⑦現実を離れた状況から「もしも」を考える〝仮想〟
⑧常識と180度逆のことを発想する〝逆転〟

人によっていろいろなアイデア発想のコツがあると思いますが、それもすべてこの8つの思考ロジックの組み合わせで説明できそうです。  たとえばぼくはよく「極端に考える」なんてことをしてみます。扱う商品が「イチゴジュース」なら「エロいイチゴジュースってなんだろう?」「イチゴジュースが原因で離婚するとしたら?」などなど。固定観念を破壊し、発想の幅を広げるのが目的です。

これも思考ロジックでいえば「仮想」をベースに「連想」や「組み合わせ」などを併用している、ということでしょう。

 

 

さっぱり香味野菜と楽しむのが、この店流。

 

 

 

散らかすモードでは、こういったあの手この手を駆使して「新しい結びつき」を求めます。いずれの思考ロジックにせよ、結局は自分の内側に堆積した材料を思い出す(=引っ張り出す)作業です。ポジティブに言えば「きみのアイディアは、きみだから思いついたものなんだ。※2」ですが、「ぼくにアイディアが浮かばないのは、ぼくの内面が乏しいからなんだ。」と思い悩むこともしばしばです。

こうした七転八倒の真剣勝負をする前に、二日酔いで苦しんでいるようではお話になりませんね。改めて、ごめんなさい!

さて次回はこの「散らかすモード」と「ラピッド・プロトタイピング」についてお話ししましょう。

どうぞ召し上がれ!


※1 木村健太郎・磯部光毅『ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる』宣伝会議、2013年より抜粋。よく整理された刺激的な本です。
※2 杉山恒太郎『クリエイティブマインド』インプレスジャパン、2011年より抜粋。

プロフィール

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    山田 壮夫
    株式会社電通 第1CRプランニング局

    1969年生まれ。アイデアを核として広告キャンペーンはもちろん、店舗開発からテレビ番組の製作まで手掛ける。特に最近は全国の地方新聞社厳選お取り寄せサイト「47CLUB」と連携してローカルにおける商品開発作業にチャレンジしている。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員。慶應義塾大学(メディア・コミュニケーション)、明治学院大学(経営学)非常勤講師。著書に『〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考』(朝日新聞出版)。

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